国家資格って?鍼灸師になるために必要なこと。はり師ときゅう師の資格が必要?
業界動向・知識
鍼灸師
この記事に目が留まったみなさんは、少なからず鍼灸師のお仕事に興味があるということでしょう。
ここでは、鍼灸師の国家資格についてご紹介していきたいと思います。
ぜひ最後までお付き合い頂けたら幸いです♪
鍼灸師って国家資格必要?
鍼灸師とは
鍼灸師とは患者さんの証をたてた上で鍼もしくはお灸を使い経絡の流れを整える職業です。
鍼とお灸では役割が違います。
鍼だと効果はないがお灸なら改善がみられるという場合もあります。
鍼では施術が危険な場所もお灸なら安心して施術をすることが可能です。
たとえば鎖骨のあたりには肺の上端が突出している個所があるため、鍼で施術するのは危険です。
間違った施術をすれば改善し、誤った施術をすれば増悪するというのが鍼灸の力です。
患者さんによっては鍼もしくはお灸での施術が禁忌となる場合もあります。
また、患者さんの気持ちにも左右されます。
鍼灸に対してマイナスなイメージや施術について不安がある状態では治るものも治りません。
そうならないためには適切な処置をする必要があります。
適切な処置ができるよう、しっかりと知識を身につけていくことが大切です。
国家資格とは
みなさんは鍼灸師になるには国家資格が必要だと知っていましたか?
文部科学省のサイトによると、
法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
–文部科学省 国家資格の概要 より引用
と記載があるように専門的な知識をつけて国に認められる必要があります。
国家資格は医師国家資格や看護師国家資格など医療系以外にも、
美容師さんは美容師国家資格が、図書館の職員さんは図書館司書が必要なようにその種類は様々です。
ちなみに国家資格が必要だということをわたしが知ったのはあん摩マッサージ指圧師の学校を検索したときでした。
その際に初めて鍼灸師という職業を知りました。
わたしは自分の能力云々を置いておいて、
鍼師と灸師とあん摩マッサージ指圧師の国家資格をトリプルで取得することに決めたのです。
というのも、学校によっては鍼灸学科のみのところもありますが、鍼灸+αで学べる学校も存在します。
そもそも鍼灸師は「はり師」と「きゅう師」を合わせた呼び名になります。
なので、「はり師」と「きゅう師」をセットで2つの国家資格に合格する必要があります。
もちろんどちらかが落ちることもあるので、注意が必要です。
現在総得点の6割を超えていれば、はり師、きゅう師の両方が合格となるようです。
国家資格と聞いて怯えてしまったみなさん、鍼灸師になるのはいばらの道なのかどうか次の項目で説明します。
国家資格って難しいの?
鍼灸師は医師や看護師さんと同様に医療に携わります。
だからといって同様に「医療行為」がおこなえるわけではありません。
鍼灸師はあくまで「医業類似行為」として国に認められています。
この「医業類似行為」が認められているのは
- はり師、きゅう師
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
そのため「すごく難しいのでは・・?」と不安に思う方もいらっしゃると思います。
結論としては、難易度はそれほど高くないです。
試しにいくつか問題を見てみましょう。
問題.3 2017年の被用者保険で加入者が最も多いのはどれか。
答えを見る
1.共済組合
2.船員保険
3.協会けんぽ
4.組合管掌健康保険
これは「医療概論」という科目の問題になります。
こういう問題だったら、なんだか親しみやすいですよね。
みなさんはわかりましたか?
つづいて次の問題です。
問題12.施術所の名称を考えるときに遵守しなければならない法律はどれか。
答えを見る
1.医師法
2.医療法
3.保健師助産師看護師法
4.理学療法士及び作業療法士法
これは「関係法規」という科目で、当たり前ですが法律についても少し学びます。
覚えることはそんなに膨大ではありませんが、
資格保持者として業務をおこなっていく上で必要な知識になります。
最後にもう1問見てみましょう。
問題25.脛骨神経について正しいのはどれか。
答えを見る
1.腰神経叢の枝である。
2.梨状筋上孔を通る。
3.大腿二頭筋短頭を支配する。
4.膝窩中央を通る。
鍼灸師として施術をおこなっていく上で、こういった神経の問題は解けるようにならなければなりません。
難しいと思った方は解剖学の参考書をみて勉強をしていく覚悟があるか考えてみましょう。
もっと問題がみたい方はこちら。
難しくても覚悟があればなんとかなります。
なぜなら、鍼灸師の国家資格の試験を受けるには、国が認定した学校に3年以上通う必要があるからです。
つまり最低3年はじっくりと勉強することが可能ということです。
厚生労働省のサイトによると、このように記述があります。
どうでしたか?
たとえ先ほどの神経の問題が難しかったとしても問題ありません。
3年間きっちりと学ぶ時間があります。
ですが、時間があるからといってのんびりしていると、合格できないということももちろんあります。
「ウサギとカメ」というお話の「カメ」のように、コツコツまじめに根気よくがんばっていけば、
合格という明るい未来が待っているはずです。
鍼灸師になるという覚悟と絶対に合格するんだという気持ちがあれば、
どんな困難にも打ち勝てると個人的には信じています。
合格率が知りたい!
こちらは平成4年から直近までの合格推移になります。
この数値は厚生労働省のサイトで過去の受験者数という項目を参照にしています。
気になる方はこちら。
現在はり師は平均76.9%、きゅう師は平均77.6%です。
第1回平成4年度の合格率は90%近くで初期と比べると難化傾向であるのが分かります。
実は、この合格推移が医師国家資格試験よりも低いのです。
その理由として、医学部への合格率自体が低いというところにあります。
つまり、医学部へ入学する段階でかなり精査されるということです。
そのため医師を目指す学校とは異なり、鍼灸師の学校への入学は比較的しやすいと言えるでしょう。
また試験当日の天候には注意が必要です。
夜型、夜間部関係なく国家資格の試験開始は全員朝からです。
病気になったとしても、電車が止まったとしても、その年試験を受けるチャンスは1回のみになります。
天災や人身事故などで、試験会場までの交通網がなくなる可能性もあるので、当日最悪徒歩でも試験会場へ行ける距離でホテルを確保しておく受験生もいるぐらい、国家試験は大きなイベントの一つです。
入学してから気をつけたほうがいいこと
無事学校に入学できたから資格が取得できるかというとそうではありません。
勉強にブランクがある方や、自分に合った勉強法を確立できていない方など、
人によっては合格してから一生懸命勉学に励む必要が出てきます。
毎年約30%の方々は合格できていないといのが現実です。
頑張れば合格する補償なんてどこにもないのです。
勉強に自信がない方は自分に合った勉強法を見出したり、どんな科目があるのかといった下調べをするなど、
授業についていけるように準備をした方がよいと思います。
これはこの記事を執筆しているわたし自身の体験談でもあります。
実際、学校へ入学してから授業のスピードの速さに驚きしかなかったです。
3年間は本当にあっという間に過ぎ去りました。
実は鍼灸師の需要は増えすぎている?
今は鍼灸院や整骨院の需要が増えすぎているため、
鍼灸師の試験はこれからもどんどん難しくなることが予想されます。
厚生労働省のサイトで施術所数等の推移という項目によると、施術所は平成28年度時点で全国で28,299件も存在します。
ちなみに下記資料によるとさらに施術所は増えており、年々増加傾向にあるということが言えます。
る。--厚生労働省 令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況 より引用
セブンイレブンが全国に21,488店舗存在(2023年12月末のデータ)するので、それよりも多いということになります。
セブンイレブンってよく見かけるイメージがありますよね。
それよりも多いということは、ライバルはたくさんいるということになります。
もし鍼灸師を目指すのであれば、+αで何か集客力を高められる強みが必要になるでしょう。
それでもこの道を目指したいという覚悟があるならば、ぜひ燃えたぎっていただきたいです。
鍼灸師になるためには
どのくらい勉強が必要?
週/約20時間授業を受けることで、3年間で約3000時間以上になります。
加えて外部実習など臨床の授業時間も必要なであり、総じると間違いなく3000時間は超えるでしょう。
当然ながら授業のみの勉強で資格が取得できるほど甘くはなく、授業時間外に毎日最低3時間勉強したとすると、1年間で1000時間となるので、1000×3=3000なので3年間で約6000時間は最低でも勉強する必要があるということになります。
私一個人の意見としては3年間で10000時間は勉強が必要と考えています。
果てしない勉強量ではありますが、勉強が好きな方はもちろん、重要なのは努力を惜しまない姿勢に、合格の秘訣はあるのかもしれません。
どのくらい費用が必要?
学校の費用は3年間でだいたい400万円前後となっています。
もちろん学校によって費用は異なってくるので、いろんな学校を見てみてください。
学校を卒業してからすぐ開業するならその分の費用も考える必要がありますし、お金と相談しつつ良き学生ライフを送ってください。
学校によっては奨学金制度や、授業料が免除される制度、給付金などがあり、費用面での負担を多少抑えることが可能です。
学校へ通うことを機に学生マンションでの生活もいいかもしれません。
食事や家具、家電付きで安くて4万円程度なので、一般物件よりはコストを抑えられます。
また、他の学生とコミュニケーションが取れることもあるので友達になれる機会もあるでしょう。
自分だけの勉強空間があるのは学生にとっては重要な環境です。
勉強に集中することができ、よりよいコストパフォーマンスを発揮できます。
このように鍼灸師になる前に、鍼灸師になるまでの費用をざっと計算しておくと後々助かると思います。
鍼灸師になりたい方へ
先ほどお伝えした合格率を見ていただくと、年々国家試験が難しくなっているのがわかります。
鍼灸師は医業類似行為がおこなえる職業なので、
そう簡単に国家試験に合格できないようになってきているということでしょう。
また、鍼灸師は年々増加傾向にあり、あり余っているくらいなので、これも難しくなってきている要因かと言えます。
つまり需要がありすぎるということですね。
今や患者さんの取り合いになってきています。
これから先はどんどん狭き門になっていきますので、強い気持ちを持って乗り越えていけるかどうかが重要になってきます。
自分の現在の能力と相談して、自分に合った学校選びや勉強方法をしっかり見極めていく必要があります。
国家試験は1年に1度なので1回で合格できるよう心に留めておきましょう。
問題の日本語もややこしかったりするので、読解力もあるといいかと思います。
学校では友達もできますが、あまり勉強をしない友達に流されてしまわないように注意しましょう。
あとで自分の首を絞めることになりかねません。
完全に個人戦というのもアリですが、せっかくの学生生活なので息抜き程度に楽しむのもよいかと思います。
卒業後に仲間で助け合えることもあるかもしれないですし、同じ道を歩むものとして情報共有もできます。
きっとここでの仲間は一生ものではないかとわたし自身実感しています。
まとめ
おわりに
いかがでしたか?
ざっくりまとめると、鍼灸師になるには国家資格を取得する必要があるということ、
そのために3年間専門の学校へ通う必要があるということ、
しっかりと勉強をする必要があるということが挙げられます。
学校ではもちろん座学だけでなく、臨床実技の授業もあります。
知識だけでなく技術も学べるということです。
3年間は長いようであっという間に過ぎていきます。
後悔のないような選択をしていけることを願っています。
【参照URL】 ・厚生労働省 施術所数等の推移 ・セブンイレブン 国内店舗数 ・文部科学省 国家資格の概要 ・厚生労働省 はり師国家試験の施行 ・厚生労働省 過去の試験問題等 ・令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況 ・文部科学省 令和3年度医学部(医学科)の入学者選抜における男女別合格率について |
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