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柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師として働く前に知っておきたいこと4選

治療家業界に特化した就職・転職支援サービスとして、業界最大級のウィルワンエージェントで、学生を専門に就職サポートを行うキャリアパートナーの中山さんにお話を伺いました。

記事を書いた人

中山 茜

株式会社エス・エム・エス ウィルワンエージェント キャリアパートナー
新卒専任のキャリアパートナーとして3年間担当(2022年現在)。
年間200名以上の治療家学生の就職活動をサポート。
 
学生が、治療家としての土台となる大事なファーストキャリアを自信をもって決められるよう、就活のプロとしてアドバイスを行う。
企業の良いところだけでなく懸念になり得ることもしっかり伝え、正しい判断ができるよう、その方に寄り添った誠意ある対応を心がけている。

国家資格が必要となる柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は、将来性が期待できる職業です。働きがいもある一方で、どのような職業や業界にも困難はつきものです。自分が働く業界を把握するためにしっかり分析しておきましょう。

業界全体のトレンドや傾向を理解しておこう

就職活動をしているうちは、企業分析などに力を入れることはあっても、業界全体の傾向やトレンドまで把握することは難しいものです。
身近に、現場で働いている資格者がいれば、業界ならではだと思う特徴や、最近の患者さんの傾向などを聞くこともできますが、必ずしもそういった繋がりを持つ方ばかりではないでしょう。

キャリアプランを考えるためだけでなく、入社前後のギャップを少なくするためにも、学生のうちから、企業だけでなく業界の傾向についても調査・分析しておくことが大切です。

業界の傾向として知っておきたいことは、主に4つ挙げられます。

  • 治療だけでなくコミュニケーションのスキルも必要
  • 卒業後も、自分の意識次第でどんどん成長していける
  • 院内勤務の場合、拘束時間が長いことが多い
  • 業態によって、他の資格やスキルを持っておく方が有利になることも
  • こうした傾向を捉えたうえで、どうしたら就職後もやりがいを持って働いていけるか、模索していきましょう。

    ポイント1:治療だけでなくコミュニケーションのスキルも必要

    早速ですが、「良い(現場の)先生」と聞いて頭に思い浮かぶのは、どんな特徴を持った方でしょうか?
    正解があるものではありませんが、「患者様の状態を正しく理解し、適切な治療を提供する」というようなイメージが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?

    柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は技術職と言えますが、コンビニの数以上の施術所が展開されている昨今は、施術のスキルが高いだけでは患者様はついてこなくなってきました。
    患者様の状態を正しく把握するヒアリング力や、良好な関係を築き、次につなげる能力も必要とされます。つまりコミュニケーションのスキルも求められるということです。

    専門学校でもこうした視点を持って実習を受けてきたと思いますが、実際に就職したあとは同じ患者を長い期間にわたって担当することもあるため、一人ひとりと良好な関係を保っていく能力が重要になります。

    コミュニケーション能力は一朝一夕には身につくものではありませんが、できることからはじめましょう。
    笑顔やあいさつなど基本的なコミュニケーションのほか、聞き上手になることは大きなポイントです。

    より能力を高めたい場合は、お友達・先輩・学校の先生などに協力してもらいながら、「相手の状態や気持ちを正しく聞き取る訓練」を重ねることもおすすめです。
    関連した本を読んだりセミナーに参加したりするのもよいでしょう。

    ポイント2:卒業後も、自分の意識次第でどんどん成長していける

    「コミュニケーション能力を磨くことが大切」と前述しましたが、では、技術は二の次でも良いか、というと、そういうわけではありません。
    難しい事ではありますが、コミュニケーション能力・治療技術のどちらも伸ばしていくことが必要です。

    治療技術を伸ばすために、職場環境で学べる研修や、毎日対応する患者様一人一人の施術を大切にして過ごせるとよいでしょう。

    現場に出ている若手の先生から、「あまり技術研修が豊富でない職場なので、どのように技術を伸ばしていけばいいかわからない」というお声を伺うこともありますが、技術力を伸ばすことができる場所は職場だけに限りません。
    数多くの先生・学会が、随時勉強会やセミナーを開催しています。対面で有料の会もあれば、オンラインでも参加できる会や、無料のセミナーもあります。
    読み物になりますが、学会で発表されている研究資料や、治療家向けのメディア(Webサイトやコラム)も、明日の患者様の治療に役に立つヒントが隠されているかもしれません。
    学校によっては、卒業後の卒後研修に参加できるところもありますね。

    職場外のつながりを強めていくことで、業界の最新情報が手に入りやすくなるだけでなく、
    トレーナー活動の相談や、自分がゲストスピーカーとして話す機会等のチャンスが回ってくる可能性が高くなります

    就職した初めのうちは、目の前の仕事に慣れる事に精一杯になりがちだと思いますが、与えられた環境だけで学ぶのではなく、自分から一歩踏み出して学びに行くと、より先生として成長ができますよ。

    ポイント3:院内勤務の場合、拘束時間が長いことが多い

    鍼灸整骨院・整骨院の営業時間は、9:00~20:00など、11時間程度あることが一般的です。
    その話を聞くと、中には、「そんなに長い時間働くんですか」と驚かれる方もいらっしゃいますが、
    院内勤務の場合、間に2時間程度の休憩時間があることがほとんどで、フルで働かなくてはならないわけではありません。

    ただし、営業時間の前後で、準備・片付けの時間が入ってくることも多く、拘束時間自体は確かに長くなりがちです。
    今までの生活スタイルと異なる場合は、始めのうちは体力の消耗が激しく感じるかと思います。

    ご持病やご家庭の事情で、院内勤務の拘束時間では生活ができない場合は、デイサービスなどの介護施設や往診などの業態を選ぶと、拘束時間自体は短く働ける可能性が高いです。

    ポイント4:業態によって、他の資格やスキルを持っておく方が有利になることも

    柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師ともに、その資格のみでも活躍できる環境は数多くあります。
    ※はり師のみ、きゅう師のみだと、活躍の幅はかなり限られます。

    ただし、
    「鍼灸師の資格のみでも往診で働けるが、あん摩マッサージ指圧師の資格も持っている方が圧倒的に有利」
    「柔道整復師の資格のみでも病院で働けるが、理学療法士の知識や資格を持っている方が選ばれやすい」など、
    他の資格を取得することでより就職に有利になる、ということは往々にしてあります。

    資格、特に国家資格の取得は、時間もお金もかかるものなので、就職に有利になるからと言ってすぐに取得できるものではありませんが、
    就職先の中には、従業員の資格取得を支援する制度がある企業もあるため、選ぶ際の判断基準の1つにしてもよいでしょう。
    資格やスキル、実績に応じた昇給システムをしっかりと用意している企業に就職することで、より確実に収入アップにつなげられます。

    そのほか、就職先で経験を積み、将来的に独立・開業を目指すという道もあります。
    独立には院長経験があれば有利です。施設経営のノウハウやスタッフのマネジメントなどを経験した上で、独立後に成功を果たせば、年収1,000万円以上も見えてきます。

    独立を目指すなら、積極的に事業を拡大していたり、社員教育に力を入れていたりして、院長を経験できる企業に就職するのが良いでしょう。
    治療家としてのレベルアップだけではなく、ビジネスについて学ぶ機会に恵まれるからです。

    将来、介護系施設や往診での就職も考えている場合は、利用者の送迎(運転)ができないと応募ができない企業がほとんどなので、
    少なくとも普通自動車免許は取得しておけると良いでしょう。

    自分がどう働きたいかをイメージする

    専門学校や大学で専門知識を身につけて、晴れて柔道整復師、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師として働くわけですから、
    「気合でなんとかなる!」といった状態でやみくもに働き始めては、理想とのギャップに大きなショックを受けることもあるでしょう。

    また、理想を描きつつも自身の思い通りに働くことができるわけではないことも認識しなくてはなりません。
    そのためにも業界全体の傾向を押さえながら、働き方のビジョンを持って、より自分の価値観に合う就職先を見つけることが大切です。

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