柔道整復師がスポーツトレーナーになるには

柔道整復師は、いわゆる「接骨院の先生」として働いている職業です。

しかし、柔道整復師は接骨院だけでなく、スポーツトレーナーとして活躍することもできます。

本記事では柔道整復師がスポーツトレーナーとして働くメリットや、スポーツトレーナーとして活躍するために有利になるスキルについて解説しています。

柔道整復師の資格でスポーツトレーナーになることはできる？

結論から言えば、柔道整復師の資格を持っているとスポーツトレーナーとしてのキャリア形成に有利になります。

スポーツには脱臼や捻挫などのケガがつきものです。柔道整復師は脱臼や捻挫などの外傷に対して、医師の指示を受けずに応急処置を行うことができるため、スポーツ選手のサポートに向いています。

練習中にケガが発生してしまっても、柔道整復師の資格を持っていることでその場ですぐに適切な対処が可能です。

このように、柔道整復師はスポーツとレーナーとして活躍できる可能性を持っています。

 

柔道整復師とスポーツトレーナーの仕事内容の違い

本章では柔道整復師とスポーツトレーナーの違いについて、仕事内容の違いを中心に解説します。

柔道整復師の主な仕事内容

柔道整復師の仕事では、主に手技を用いて骨折や脱臼、打撲、捻挫などの外傷に対して施術を行います。

施術では、「整復法」や「固定法」、「後療法」を用いて治療を行います。

・整復法：折れた骨や外れた関節をもとに戻す治療
・固定法：包帯や副木、テーピングなどで患部が動かないようにする
・後療法：ケガの回復を促すための物理療法や運動療法を行う

柔道整復師は、骨折や脱臼の応急処置では医師の指示を受けずに治療を行うことが可能です。

スポーツトレーナーの主な仕事内容

スポーツトレーナーは、スポーツや運動をする人が最良のコンディションで競技に打ち込めるように、トレーニング方法の提案や日々の健康管理、メンタルケア、ケガの予防やリハビリなどさまざまなサポートを行います。

スポーツトレーナーは、プロスポーツチームや実業団での選手のサポートをするだけではなく、フィットネスクラブやトレーニングジムで健康を目的に運動を行う人のサポートを行う場合もあります。

スポーツトレーナーには民間資格がありますが、スポーツトレーナーを名乗るために必須の資格はありません。しかし、現実的にはケガの多いスポーツの現場に対応するために医療系の国家資格を持っていることで幅広いサポートが可能になります。

柔道整復師がスポーツトレーナーになるメリットと補うべきスキルや知識

スポーツトレーナーになるために柔道整復師の国家資格は必須ではありませんが、資格を持っていることでスポーツトレーナーとしてのメリットがあります。

一方で、柔道整復師がスポーツトレーナーとして働くには、一般的な整骨院で働くときには必要にならないスキルや知識の習得も必要になります。

柔道整復師の強みを活かせるメリット

スポーツトレーナーが柔道整復師の国家資格を持っていることで、競技中や練習中に発生したケガに対して早急に対処することが可能になることはメリットといえるでしょう。

スポーツの現場ではケガを完全になくすことは困難です。また、ケガの予防や体調管理などのコンディショニングにおいても解剖学や生理学などの専門知識を活かしたサポートをすることができます。

柔道整復師の国家資格を持っていると行くこと自体が、専門知識や技術を持っていることの証明になるため、選手やチームからの信頼も得やすくなるでしょう。

柔道整復師が持つべきスキルや知識

スポーツトレーナーとして役立つ柔道整復師の資格ですが、柔道整復師の資格を取得するだけではスポーツトレーナーとして活躍することは難しいでしょう。

ケガの応急処置や、人体の構造と機能などの知識については柔道整復師の国家資格を取得するうえで必須ですが、スポーツ選手のトレーニング方法やスポーツ科学、メンタルケアなどは、柔道整復師としては専門外の知識です。

また、スポーツの種目ごとに使用する筋肉や使い方が異なるので、スポーツごとの知識も必要となります。

このように、スポーツトレーナーとして活躍するには、より多くの知識を身につけアップデートしていく努力が必要です。

スポーツトレーナーとして働くには

実際に柔道整復師が、スポーツトレーナーになるためのスキルアップや就職先について解説していきます。

柔道整復師からスポーツトレーナーになるためのステップ

スポーツトレーナーとして働くために必須の資格はありません。しかし、スポーツトレーナーの民間資格を取得することで、柔道整復師の資格ではカバーしきれないスポーツ分野の知識の証明にできます。

主な民間資格には以下のものがあります。自分の目指すスポーツトレーナーとしてのキャリアを明確にして適切な資格を取得すると良いでしょう。

公認アスレティックトレーナー

日本スポーツ協会が認定する資格です。スポーツ中のケガや障害の予防、コンディショニング、健康管理、医療資格者に引き継ぐまでの救急対応などの知識を持っていることを証明できます。

認定アスレチック・トレーナー

ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会が認定する資格。認定試験は無いものの、資格取得のためには柔道整復師や理学療法士などの医療系の資格を持っているか、スポーツ科学系の専門学校や大学で所定の単位を取得する必要があります。

NSCA-CPTM

NSCA(National Strength and Conditioning Association)が認定している資格です。NSCA-CPTは年齢や運動の目的を問わず幅広い方を対象とした指導を行うための資格です。フィットネスクラブやパーソナルジム、介護施設での就職に有利になるでしょう。

NATA-ATC

全米アスレティック・トレーナーズ協会の主管しているアメリカの国家資格です。資格取得のためにはアメリカの大学院で所定の学科を修了する必要があり、取得のハードルは高いでしょう。

しかし、資格を取得することができれば、世界的に活躍できるスポーツトレーナーを目指すことができます。

健康運動指導士

財団法人健康・体力づくり事業財団が2007年に設立した資格です。健康運動指導士は医療関係者と連携して、心身の状態に遭わせた安全で効果的な運動を行うための取り組みを行います。

生活習慣病や高齢化社会の日本では健康運動指導士の需要が増していくと考えられます。

柔道整復師の資格を活かせる就職先

柔道整復師がスポーツトレーナーとして活躍できる就職先を見ていきましょう。

スポーツチーム

プロスポーツチームや実業団のスポーツトレーナーとして働きます。

スポーツトレーナーと聞いて一番にイメージする働き方ではないでしょうか。ただし、スポーツチームの専属トレーナーとして働くことは狭き門であるといえます。

スポーツジムやフィットネスクラブ

スポーツジムやフィットネスクラブの従業員として就職し、スポーツトレーナーとして働く道もあります。

また、パーソナルジムでは直接雇用では無くフリーランスや業務委託で働く場合もあります。フリーランスや業務委託の場合は直接雇用に比べてジムのマニュアルに縛られずにすむといったメリットもあります。

仕事内容としては、パーソナルトレーニングでトレーニング内容を考えたり、マシンの使い方を指導します。また、グループエクササイズのインストラクターとして働く場合もあります。

柔道整復師としての知識やスキルを活かす場面は少ないかもしれませんが、スポーツトレーナーの実務経験を積み、キャリアアップを目指せるかもしれません。

スポーツチームと契約している接骨院

接骨院の中には、スポーツチームと提携しているところもあります。そのような接骨院に就職することで、スポーツトレーナーとしての仕事を担当できることもあります。

スポーツチームと提携している接骨院でも、スポーツトレーナー以外の業務もあるので、柔道整復師としてのキャリアとスポーツトレーナーとしてのキャリアの両方を積むことができます。

まとめ

柔道整復師は、スポーツトレーナーとして活躍することができます。

柔道整復師は、ケガに対する応急処置を行うことができるので、ケガの多いスポーツの世界では重宝されます。また、国家資格としての信頼を得ることもできます。

スポーツトレーナーは狭き門ではありますが、柔道整復師に加えてスポーツトレーナーの民間資格を取得することで、スポーツトレーナーとしてのキャリアに近づくことができるでしょう。

自分の目指すスポーツトレーナーの姿を明確にして、スキルを磨いていきましょう。