【治療家のためのキャリアの作り方】気遣い溢れる自己中になれるかどうかが自分の人生を左右します|花前裕太
インタビュー
はじめに|治療家のためのキャリアの作り方
卒業したらどんな道があるか?各分野で活躍する先生にインタビューしました!
これからどんな治療家を志し、どんなキャリアを描いていくのか”わくわく・どきどき”しつつも、「不安」の方が先立っている学生の方も多いかもしれません。
治療家のキャリアは様々です。
どんな選択肢があるのか悩んでいる学生の方々に向けて、各分野で活躍している先生にインタビューしています。
ぜひ、今後のキャリア形成に活かしてみてください!
花前 裕太(はなまえ・ゆうた)先生
治療家を目指したきっかけとは
学生時代は野球に打ち込んでいたので「スポーツに関わる仕事をしたい」という思いはずっとありましたね。
それならトレーナーだと考えるようになり、高校を卒業するときには、治療家の道に進むことに迷いはありませんでした。
まずは柔道整復師の専門学校で外傷について学んでから、鍼灸師の専門学校で治療技術の幅を広げることにしました。
トレーナー活動を行えるようになったきっかけは、専門学校時代にボクシングの亀田三兄弟に出会えたことです。もともと亀田興毅選手の大ファンで、「がんばってください」と伝えられたらいいなと思って、同じボクシングジムに通っていました。
ちょうど柔整の資格を取り、鍼灸の国家試験を控えていた頃だったので、そんな自分の話も亀田選手のマネージャーにするようになったんです。そしたら、実際に亀田選手に会う機会をいただいて、トレーナーとして契約することになりました。
トレーナーとしての働き方
亀田選手やサッカーの岡崎慎司選手など、選手専属トレーナーとして活動していた頃は、朝から晩まで一緒に過ごして、かなり密な付き合いをしていました。
常に心がけていたのは「いかに選手が気持ちよく試合に臨めるようにするか」ということ。そのためならば、ユニフォームの洗濯もしましたし、飲み物も買ってきたりもしました。
海外に帯同する機会も多かったですね。
治療院開業と、トレーナー活動の並行
治療院で一般の患者さんや地域の学生さんを治療しながら、営業時間の前後や昼休みに、選手に来てもらうかたちで、身体のメンテナンスやトレーニングを行っています。
かなりハードな日々ではありますが、トップアスリートから信頼されていることで、一般の患者さんの治療院への期待度も上がります。
その期待に応えようと努力することで、さらに成長できるので、刺激的な働き方ですよ。
トレーナーになるための初歩
できるだけ学生の患者が多く来る整骨院に勤務し、経験を積むのがよいと思います。
学生がスポーツに打ち込んで、ケガをするのは日常茶飯事です。そんな学生のケガを治せないで、選手のケガを治せるわけがありませんからね。あとは実際の患者さんと対峙して、接遇を身につけるのも大切です。
治療技術はもちろん重要ですが、それ以前に身だしなみをきちんとして、立ち居振る舞いが洗練されていなければ、アスリートでも一般の患者さんでも、信頼を勝ち取ることはできません。治療院での経験から得るものは非常に多いです。
自分が開業して2年が経つ今、そのことを日々実感しています。
治療院に勤務しながらチャンスを待つ
最も重要なのは、チャンスがいざ来たときに、本当に飛び込めるかということです。
実際、私のところにはいろんな依頼が来るので、トレーナー志望の学生に「やってみますか?」とチャンスを与えても結構ひるんでしまいがちです。
「まだテーピングの勉強中で……」「施術経験がないんですけれど大丈夫ですか?」など、トレーナー志望の割には、準備ができてなくて、いざ目の前にチャンスがきたときに、それをつかむ勇気がなかったりします。
もちろん、チャレンジには不安がつきものです。それでも本当にトレーナーになりたいのであれば、来たチャンスは逃さずにつかむべきだし、そのための準備を日頃からしておく必要があります。
「迷惑をかけるだろうけど、自分がやりたいからやらせてもらおう!」というある意味、自己中になってもいいわけです。
ただ、忘れてはいけないことがあります。それは相手への気遣いです。実力に不安があるならば、なおのことで「せめて気持ちの良い仕事をしよう」という誠実さは必要不可欠です。トレーナーのなり方に正解はありません。ただ、王道があるとすれば「人と人との縁を大切にすること」だけです。
ぜひ「気遣いあふれる自己中」になって、自分の夢に向かって邁進してください。