【治療家のためのキャリアの作り方】学生時代は圧倒的に行動してほしい|光井宏
キャリア・働き方
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はじめに|治療家のためのキャリアの作り方
卒業したらどんな道があるか?各分野で活躍する先生にインタビューしました!
これからどんな治療家を志し、どんなキャリアを描いていくのか”わくわく・どきどき”しつつも、「不安」の方が先立っている学生の方も多いかもしれません。
治療家のキャリアは様々です。
どんな選択肢があるのか悩んでいる学生の方々に向けて、各分野で活躍している先生にインタビューしています。
ぜひ、今後のキャリア形成に活かしてみてください!
光井 宏(みついひろし)社長
治療家を目指したきっかけと学生生活
学生のときにサッカーをしていて、足首をひねってしまいました。当時に付き合っていた彼女のお母さんから「整骨院に行ってきたら」と勧められたのが、整骨院の存在を知ったきっかけです。
もちろん、整骨院に行くのも初めてでしたから、衝撃を受けましたね。
一歩足を踏み入れた瞬間から「こんにちは!」という気持ちの良い挨拶と、弾けるような笑顔で迎え入れられて……。静かな病院のような場所をイメージしていたので「こんなところがあるのか!」と。実際に施術を受けて症状も良くなったので「この仕事をしてみたいです」と院長さんに相談したら、専門学校を紹介してくれたのです。
大学では公務員試験の勉強中でしたが、進路を変更して、大学卒業後に柔道整復師の専門学校に通い始めました。
入学後は整形外科や整骨院でアルバイトをしながら、400件以上の整骨院で初診料を払って、とにかくいろんな治療を受けてみました。学生時代に患者の立場として「なぜ、この整骨院は流行しているのか」「どうしてこの整骨院には患者が少ないのか」と徹底的に洞察したのは、開業してから大いに生かされましたね。
開業を見据えた学生生活とアルバイト
やっぱり時間の使い方が一番大切だと思います。
私がよくスタッフに伝えるのが「高校野球で甲子園を目指すんじゃなくて、甲子園優勝を目指しましょう」ということ。学生時代にあてはめれば、国家試験の合格を目指すのではなく、「国家試験を受かってからどうしたいのか」をしっかり考えて目標を決める。そのうえで目の前の壁に挑んでいくことが重要です。
もちろん、すぐには答えが出ないと思います。専門学校に入学した経緯もそれぞれでしょう。なかには、そこまで希望した道じゃないという学生もいるかもしれません。でも、結果として専門学校に通っているわけですから、改めて「自分が今ここにいる意味」を掘り下げて考えてほしいんですね。
試験やアルバイトで忙しいとは思いますが、開業して経営者になればもっと忙しくなります。そうなる前に、考える時間をしっかり確保して、目標に向けてプラスになりそうな行動はどんどん起こしてほしいです。
開業してからの苦労
開業していれば、どんな経験も経営に活かせますので、嫌だと感じる苦労はありません。経営は楽しさしかないと思っています。
ただ、自分だけの人生ではなくなるので、責任は重くなります。スタッフを1人雇えば、その人の人生も抱えていくわけですからね。
つらいことでいえば、今は社員が100人以上いますから、なかには退職する人も出てきます。
前向きな退職でない場合は、やっぱり落ち込みます。ただし「59秒まで思いっきりへこもう」と決めています。1分以上は引きずりません。今、かかわっている人たちを大切にしていくことに意識を向けるようにしています。
私は社員全員の誕生日を手帳に書いています。100人以上いると3日に1度くらいの頻度で、社員の誕生日がありますが、そのたびに、感謝のメッセージを送るようにしています。普段はなかなか密なコミュニケーションがとれないので、せめて誕生日には「大切に思っているよ」と伝えたいです。
人を大切にする光井社長の学生へのメッセージ
私たちの仕事は患者さんが「腰が痛い」といえば、「腰を治す」ことがゴールではありません。腰痛が治ることで、趣味の山登りができたり、孫の結婚式に参加したりと、患者さんの夢を叶えるお手伝いをするのが、私たちの仕事です。
そんな素晴らしい職業を目指していることに、まずは誇りを持ちましょう。そして、それぞれ理想となる治療家像を持ちながら、圧倒的に行動してほしい。その積み重ねは開業した時に、きっと財産になると思いますよ。