【治療家のためのキャリアの作り方】コンプレックスが患者さんへの共感につながる|光本朱美
キャリア・働き方
鍼灸師
はじめに|治療家のためのキャリアの作り方
卒業したらどんな道があるか?各分野で活躍する先生にインタビューしました!
これからどんな治療家を志し、どんなキャリアを描いていくのか”わくわく・どきどき”しつつも、「不安」の方が先立っている学生の方も多いかもしれません。
治療家のキャリアは様々です。
どんな選択肢があるのか悩んでいる学生の方々に向けて、各分野で活躍している先生にインタビューしています。
ぜひ、今後のキャリア形成に活かしてみてください!
光本朱美(みつもと・あけみ)先生
治療家を目指したきっかけとは
鍼と出会ったのは、中学生のときです。学校の特別授業で鍼灸師の先生に来てもらったときがあって、治療の体験もあったんですね。そのときに「肩が上がらない」と言っていた先輩の肩が、鍼一本で見事に上がるようになって……。先輩の驚きと満面の笑顔を見て、直感で「これだ!」と思いました。
鍼灸のなかでも美容分野に進んだのは、両親がエステサロンを経営していたことと関係していると思います。
小学生の頃から、女性のスタッフさんと会う機会が多かったのですが、みんなキラキラしていたのがすごく印象的でした。
「生き生きと働く女性になりたい」という思いが、鍼灸と出会ったことで「美容に携わる女性鍼灸師を目指そう」という夢になりました。
高校を卒業してからは、フランスの専門学校に1年通ってエステの国家資格をとり、帰国後に鈴鹿医療科学大学で学びました
フランスまで飛び出す行動力
目標ができると、じっとしていられないんですよね。やっぱり美容といえば、本場はフランスかなと。フランス語は全くできませんでしたが、語学教室で3カ月学んで、現地に飛び込んでいきました。帰国後に鈴鹿医療科学大学に入学したのも、国内で最先端の美容鍼灸を実践していたからです。
卒業後の就職先は起業することを前提で選びました。「これが人生で、最初で最後の就職になるな」と思ったので、後悔のないように就職先は徹底的にリサーチしましたね。
就職先について事前によく調べる
ただ、その前に、意外と知らないのが「自分のこと」なんですよ。
私の場合は大学1年生から27カ所くらい国内の治療院に回ったのですが、しっくりこなくて……。国外に目を向けて、アメリカやヨーロッパを7カ国くらい回って、就職先を探したんですけれど、それでも見つかりませんでした。
ドバイの空港で「どうしてこれだけ探して、自分が就職したいところに出会わないんだろう」と考えに考えました。するとわかったんですね。「自分がどういうところで働きたいかが明確になっていない」と……。
そこから「どんなところで働きたいのか」をノートに書き出したら、130個くらいありました。そのなかから譲れないものとして「女性スタッフが活躍している場」「美容と健康を提供している場」「チームワークに優れている」「お客さん目線で物事が確立している」など10個に絞って選んだ結果、兵庫県の鍼灸院で就職することになりました。
ポイントを挙げて、優先順位を絞る
思考が整理されるので、リストアップするのが好きなんですよ。
そのことに気づいて習慣化していました。何となく学生生活を過ごさないようにするには、よい方法だと思いますよ。例えば学生時代は「必ずこれだけは今日やる」というのを毎日3つ決めていました。「解剖学のこの単元を勉強する」といったふうに、未来につながることや今やらないといけないことを、一つずつやっていく。
そうすると、積み重ねでやりたいことがどんどん広がっていく。そのことに気づいて習慣化していました。
何となく学生生活を過ごさないようにするには、よい方法だと思いますよ。
美容鍼灸の現場で働きたい学生に向けたアドバイス
小学4年生の頃に、かわいい友達と比べられて「おまえブスやな」って言われたのをずっと覚えています。すごいショックだったと同時に、美容に興味を持つきっかけの一つになりました。
どうしたら、キラキラとした女性になれるかなって小学生の頃からずっと考えた結果、今に至ります。
美容鍼を受けに来る患者さんは、基本的には際だった身体の不調を持っていないことが多いです。「小顔になりたい」「ほうれい線を目立たなくしたい」など、美容への願望を持って鍼灸を受けに来るんですよね。
じゃあ、その先にあるのは何か。それは「自信を持ちたい」ということなんです。美容鍼灸の施術を重ねていくと、患者さんがどんどん自信をつけて、驚くほどキレイになっていきます。その変化に施術者もまた自信をつけることができます。
治療者と患者で、お互いとてもよい関係になれるんですね。なので、患者さんの悩みやコンプレックスに寄り添える人は、ぜひ美容鍼灸の世界で活躍してほしいですね。もし、「自分に自信が持てない」「年をとるのが不安」と悩んでいたとしたら、それが患者さんへの共感の第一歩です。
患者さんを磨いて、自分も磨きたい。そんな人には、美容鍼灸はこれ以上ない仕事ではないでしょうか。