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【治療家のためのキャリアの作り方】医師との「共通言語」を学生時代から身につけよう|大榎良則

はじめに|治療家のためのキャリアの作り方

卒業したらどんな道があるか?各分野で活躍する先生にインタビューしました!

これからどんな治療家を志し、どんなキャリアを描いていくのか”わくわく・どきどき”しつつも、「不安」の方が先立っている学生の方も多いかもしれません。

治療家のキャリアは様々です。

どんな選択肢があるのか悩んでいる学生の方々に向けて、各分野で活躍している先生にインタビューしています。

ぜひ、今後のキャリア形成に活かしてみてください!

大榎良則(おおえのき・よしのり)先生

  • 一般社団法人日本柔整外傷協会 代表理事
  • おおえのきトータルヘルスケア 代表取締役
  • 株式会社鈴鹿アンリミテッド 取締役 ほか4社の外傷顧問

    救急指定病院で10年勤務し外傷経験を積み、その後3年間米国認定DCのもと脊椎手技治療法取得。
    後に開業し一日最高365人施術する東海最大級の鍼灸接骨院本院を鈴鹿に創設。医療・介護・福祉・健康増進を生涯ワンストップでサポートする会社を運営中。
    また、一般社団法人日本柔整外傷協会を設立して王道柔整師育成の教鞭をとる。

  • 治療家の道に進んだきっかけ

    学生の頃に、おじいちゃんが脳梗塞を患いました。医師から「もう車椅子ですね」と告げられるなか、理学療法士の先生が一生懸命、リハビリをしてくれて、退院時には車で帰れるほど回復したんですね。

    「これはすごいことだな」と感動したことを今でもよく覚えています。そのことをきっかけに医療職に関心を持ち、調べているうちに出会ったのが、柔道整復師という仕事です。

    病院に勤めてリハビリもできれば、開業して外傷の治療もできるという点に惹かれて、柔道整復師の専門学校に入学しました。幸いなことに、学生でありながら、総合病院の正社員になれました。

    朝7時に起きて4時まで勤務して、5時から9時まで学校で勉強し11時に帰宅するという毎日を、3年間続けました。

    ハードな学生生活で得たもの

    総合病院の救急指定病院で勤務していたので、35人もの医師とかかわることができました。

    医療の現場を経験すればするほど「学校を卒業してすぐの開業は、自分にはできない」と思いました。見逃してはいけないレッドフラックを鑑別できるようになるには、3年ではとても足りないというのが実感です。

    医療の現場での共通言語は、西洋医学です。西洋医学を学ぶことで初めて、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、介護士などあらゆる医療職や介護職と連携することができます。病院で働くにしても、トレーナーの現場に出るにしても、この共通言語を理解しなければ、スタート地点にも立てません。

    総合病院で10年にわたって、医師のそばで診察や治療をできたことは、今思えば、大きな財産になりました。

    共通言語を学ぶために学生時代からできること

    国家試験のための勉強するのではなくて、学生時代からさらにその上を目指すという意識が大切です。

    学校で習う解剖学、 生理学、病理学は、共通言語を理解する基礎となります。学生時代から、そういう重要性を踏まえて取り組むとよいのではないでしょうか。 加えて、本をできるだけたくさん読みましょう。医師の書いた専門書などにチャレンジしてみるのもよいですね。

    学生時代は 高額なセミナーに通うのがなかなか難しいですが、本ならば3000~4000円で専門知識が得られます。「膝関節の診察法」 のような運動器疾患について、西洋医学的な知識をざっとでも身につけておくと将来、現場に出たときに慌てることもありませんから。

    あとは、整骨院や病院をとにかく見学すること。学生ならば、大体の先生は受け入れてくれるはずです。これがいったん社会に出てしまうと、相手も警戒するので、なかなか難しくなります。現場の見学は、学生ならではのフリーパスのようなものです。使わない手はありません。

    学校の勉強にプラスして読書を重ね、かつ、外に出かけて現場を体験する。そのことで 将来のビジョンが見えてくれば、さらに学ぶモチベーションも上がるという好循環を生む と思いますよ。

    柔道整復師のやりがい

    いろんな仕事ができることですね。

    接骨院を開業する以外にも、トレーナー活動もできれば、デイサービスの機能訓練士としても活躍することできます。予防事業に取り組んだり、美容へのアプローチをしたりすることもできます。グループホームで利用者さんを支えるという道だってありますよね。

    働き方が無限にある楽しさが、柔道整復師という仕事にはあります。ただし、どの道に進むにしても「学んだことしかできない」という点では同じです。

    特に開業の道を選んだ場合、例えば「介護を全然知らないけれども、開業したら介護をやろう」と思っても絶対にできません。少なくとも開業当初は「新しいことを一から学ぶ時間はとれない」と思っていたほうがよいです。

    開業に踏み切る前に、学びたい方向性を明確にしたうえで就職し、院長の方針と合っているかどうか見極めながら、知識と技術を磨いていく。コツコツ一つずつキャリアを積み重ねるのが、治療家として成功する一番の近道ではないかなと思います。

    大榎先生から学生の方へワンポイントアドバイス!

  • 接骨院の商品価値は治療家にあり。自分の商品価値を上げるキャリア形成を。
  • 柔道整復師の武器となるアイデンティティは3つ。「エコーを診られる」「ギプスを巻ける」「医師と連携できる」。外傷をしっかり診られて、医師とタッグを組める治療家を目指そう。
  • 「 スポーツ・美容・介護」などどの分野に進むにしろ、医療の知識がベースとなる。“国家試験のための”ではなく、その先にある医療連携を見据えた勉強を日々心がけること。
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