黒本を購入する

鍼灸師の国家試験の勉強法とは 合格者が語るポイント

はり師・きゅう師の国家試験(以下、国試)まであとわずか!受験を控える学生の皆さんは勉強漬けの毎日を送っていることでしょう。そこで受験生はもちろん、専門学校2年や大学3年の皆さんも気になる合格までの勉強法を、今年国試に合格した鍼灸師の先生にインタビューしました!

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国試の勉強 本格始動は2年生から

私が本格的に勉強を始めたのは専門学校2年の終わり頃のことです。中だるみして成績が中々上がらない時期だったのですが、同級生たちの成績が伸び始め、先生からも発破をかけられてやっと本格的に勉強に取り掛かった感じです。

国試黒本を購入したのは2年生の中旬頃です。黒本は過去に出た問題を抜粋して大事なところだけをまとめているので分かりやすいです。一番大切なのは教科書と先生からもらったプリントです。国試黒本も含め、この3つは徹底的にやりこみました。

特に難しい臨床医学総論・臨床医学各論の勉強法

得意科目は人によって違います。私にとって一番辛かったのは臨床医学各論(以下、各論)でした。とにかく覚えることが多くて大変なんです。そのため、言葉ごとにどういう概念、疾患、分類、症状なのか要点をノートに書いてまとめました。教科書の内容を自分でまとめることで頭に入ってきますし、理解の助けになりました。

臨床医学総論(以下、総論)は各論と内容が重なる部分があるので、勉強する時は先に各論を理解してから総論を勉強した方が頭に入ってきました。個別の細かい内容を各論で頭に入れたうえで、総論を勉強するとイメージがすごく湧いてきます。

また、総論は一問一答を自分で作って勉強するとよいと思います。自分で努力したように偉そうに話していますが、実は私は先生に作ってもらいました(笑)。先生に作ってもらえなかったら、自分で作ってひたすらやるとよいと思います。

解剖学と生理学も苦手だった

解剖学も苦手科目でした。全体的に勉強しようとすると覚えられないので、とにかく血管系、神経系、静脈、筋肉など、一項目ずつ覚えていきました。これも先生からもらったプリントで繰り返し徹底的に勉強していました。

生理学は解剖学の応用なので、まず解剖学を覚えてから、解剖学と生理学を同時に勉強していました。解剖学で覚えた項目と同じ生理学の項目を勉強していました。

解剖学で血管系を勉強したら、生理学も血管系を一緒に勉強していくとリンクして覚えられます。こうすることで、事前に臓器名や機能などを覚えている状態で、生理学でメカニズムを学ぶので無理なく理解できますし、解剖学で忘れているところのチェックができるようになりました。

東洋医学概論・経絡経穴概論 暗記のコツ

東洋医学概論は聞いたことがないような単語が多いので、最初に一つ一つの単語がどういう意味なのかを覚えていきました。五行色体表を完璧に覚えてから、各臓腑がどういう働きをしているかを覚えていく感じで進めていきました。

五行色体表は、暗記に苦労する人もいましたが、私は知らない言葉を調べて覚えることが面白かったのであまり苦になりませんでした。

経絡経穴概論は、1年生の頃にも取り入れていたのですが、まずツボの名前を歌で覚えました。奇穴は後回しにして、3年生の終わり頃に覚えるようにしました。12経絡のツボの名前を全部覚え、その次に横並びを順番に覚えていきました。

最初にツボの名前を漢字で覚えてから、大まかにどこにそのツボがあるかを覚えて、どうやって通っているかも大まかに覚えてから、横並びを覚えていきました。経絡経穴に関しては、先生からもらったプリントも使っていましたが、自分の身体を使ってシールを貼って覚えたのが効果的でした。

奇穴は規則性がないので、経穴といっしょに覚えようとすると頭の中が散らかりそうでしたし、国試で出題される問題数も少ないので3年生の終わり頃に少し見て勉強するくらいでよいと割り切りました。過去問を解く際に自然に覚えていくと思います。

他教科は過去問を徹底的にやりこんで暗記した

はりきゅう理論、医療概論、衛生学、公衆衛生学、リハビリテーション医学は、過去問を中心に勉強するのがよいでしょう。ただ、数回やって終わりではなく、繰り返し何度も過去問を解いて丸暗記しました。過去問以外から出たら諦めるしかないと考えて勉強していました。

関係法規は学校で教えてもらったノートを丸暗記し、病理学概論も過去問を繰り返し解き、授業で教えてもらったところをひたすら復習していました。東洋医学臨床論は先生からもらったプリントでひたすら勉強していました。

1年生〜国試までの過ごし方、勉強時間や勉強内容

1〜2年生秋:授業以外であまり勉強せず

学生時代、授業以外の勉強は1年生の初め頃は1日2時間くらいでした。仲間で集まり、東洋医学概論を中心に単語を覚えるためのまとめノートを作っていました。東洋医学概論と経絡経穴を除いて授業以外ではほぼ勉強していませんでした。

ただ、1年生の夏頃までは勉強していたのですが、その後はあまり勉強しなくなってしまいました(笑)。本格的に頑張り始めたのが遅かったので、最終的に経絡経穴を完全に覚えたのも2年生の秋頃でした。周囲と比べ、かなり遅い方だと思います。

3年生の4月からは過去問をひたすら解いていました。授業以外で2~3時間は勉強していました。春先は過去問と並行して横並びなどの暗記系をひたすら覚えていました。

3年生夏:夏休みでも登校して強制的に勉強

3年生の春から夏にかけては、朝に登校したら授業前に過去問を解き、苦手な科目を中心に復習していました。答え合わせだけじゃなく、間違ったところは自分で正解の解説を書いて理解できるようにしていました。後は各論を中心に勉強していました。総論と各論が国試で最も問題数が多いのが理由です。東洋医学系も問題数が多いのですが、そちらは得意だったので、授業以外の時間は苦手分野を中心に勉強していました。

夏休みも、授業がなくても毎日学校に通いました。自宅では集中できないことを自覚していたので、学校に行くことで自ら勉強する環境に身を置こうとしたのです。

苦手科目に時間を集中、得意科目は効率的に

全ての科目に満遍なく時間を使うのではなく、得意科目は過去問中心で効率的に時間を使い、苦手科目に時間を集中させていました。

秋になるとひたすら過去問を解きながら、夏同様に総論、各論を中心に勉強していました。苦手な科目なので煮詰まってくると、息抜きに得意な東洋医学を勉強していました。

解剖学、生理学は問題数が少ないし、すごく苦手で覚えるのも大変だったので、ほぼ諦めていました。苦手なところは少しでも勉強しなくてはなりませんが、国試の受験日から逆算して、問題数が少なくて苦手な科目に時間を割くのではなく、問題数が多くて苦手な科目に時間を割いていました。解剖学、生理学を勉強し始めたのは11~12月になってからです。

年末年始は過去問を中心に勉強

年末年始は、ほぼ息抜きしないで勉強していました。家では絶対勉強できないタイプだと分かっていたので、学校に登校して自然に勉強する環境をつくっていました。12月頃から授業以外で8時間は勉強していました。午前8時に登校して、授業時間以外は学校が終わる21時頃まで勉強していました。この時期は皆さん同じだと思いますが過去問中心です。

国試直前の時期は「覚える系」に再び取り組んでいました。先生からもらった一問一答をひたすら繰り返していました。この時期に今まで覚えていたことの確認に加えて奇穴を覚え始めました。

国試前日は黒本を見て再確認をする程度にしました。今まで勉強してきたことを信じて、後は心身ともに万全の状態で国試に臨むためです。

 

成績は必ず上がる!そのために後輩たちに伝えたいこと

私の試験対策は大きく2つです。

①問題数が多い科目を中心に時間を使って勉強すること
東洋医学概論、経絡経穴、各論、総論の勉強方法が参考になればうれしいです。

②問題を見たらパッとすぐ答えが出るぐらい過去問を全部覚えること
国試でも「あ、この問題見たことあるな」と絶対出てくるので、それで解けたりもします。1、2回解くのではなく、見た瞬間に回答が出るまで何度でも解いてください。

最後に、成績は絶対に上がるので諦めないでください。

私の同級生で国試に落ちた人はいませんでしたが、留年した人はいました。一緒に勉強していたのですが、本格的に勉強を始めた頃から集中して身を入れることができなくなっていました。点数が取れなくてネガティブになっていってしまうんです。

勉強をやり始めた頃に点数を取れなかった人が、どんどん落ち込んでいき、「自分はできないんだ」と途中で諦めて留年してしまいました。

学力には差があるので、最初に差が開くのは仕方がないです。私も勉強を途中あまりしなかったので、成績に差を付けられていました。

でも、いつか成績が伸びる時は来ます。その時までコツコツと勉強を頑張って続けるしかないです。その地点に行くまで頑張れないと、現状維持どころか成績は落ちていってしまうでしょう。

絶対に成績が上がる時は来ます。それが夏なのか秋なのか年明けなのかは人それぞれ違うだけです。途中で投げ出さないことが大事です。最後にもう一度言います。いつか必ず上がる時が来ます!

鍼灸師を目指す後輩たちに伝えたいこと

経験から伝えたいことは3点です。

  1. 時間を使って勉強をする
  2. 成績がすぐに伸びなくてもコツコツやり続ける
  3. 分からなかったら自分で悩まずに、すぐに学校の先生に相談する

特に学校の先生には自分から思い切り頼った方がよいと思います。受け身で待つことが悪いわけではありませんが、先生たちは国試に合格させるプロフェッショナルなのですから、聞かないより聞いた方が絶対に伸びます。

私は分からないところがあればすぐに、先生のところに行って教えてもらいました。「ここの分野のプリントが欲しいです」とグイグイ相談していたので、かなり図々しい生徒だったかもしれません(笑)。先生は、生徒それぞれの性格を把握しながら、授業とは違った個別の勉強のアドバイスをしてくれます。

後は、同級生を大事にすることです。単に友人同士で励ましあうだけでなく、例えば一緒に勉強していて問題を出し合う時に、友人の視点で大切だと思う問題を出してくれることで自分では思い付かなかったポイントや弱点に気付けたのでとても参考になりました。一人で黙々と勉強するのではなくて、皆で目標に向かって取り組んでいる仲が良いクラスの方が合格率は良いと思うし、先生もそういっていました。

今から振り返ると、1年生から頑張っていれば良かった(笑)。そうすれば3年生の時にもっと楽できたのにと反省しています。入学して「あと3年ある」ではなく、1年生からちゃんと勉強することが国試合格への近道であり、王道だと思います。

   

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