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鍼灸師の初任給は約21万円!これまでの流れと給与を高める方法

社会人になり働き始めて、初めてもらえるお給料である初任給ですが、鍼灸師はどの程度が相場なのか気になっている学生さんは多いのではないでしょうか。

今回は、鍼灸師の初任給がどれぐらいなのかをご紹介すると共に、どのようにスキルアップすればお給料も増えていくかについて考察していきます。

鍼灸師の初任給

鍼灸師は、指定期間において3年以上の就学ののち国家試験に合格して初めて就業することが許される、医療技術職のひとつです。技術職である以上、働き始めは給料が低く設定されることが多くありますが、経験年数や技術力が高まることによって評価されると、年代を問わず増加する傾向があります。

鍼灸師の初任給は、毎月決まった額をもらえる固定制、患者さんの対応数などによって変動する歩合制、さらに、固定給に上乗せされる固定制+歩合制など様々な形態があります。

 

鍼灸師の平均初任給

2016年に行われた全日本鍼灸学会の調査によると、鍼灸師全体の給料の中央値は約260万円、平均給与は324万円だと考察されています。年代別で見ると20〜30代など若い世代でも給料が高い傾向もある一方、給料が下がっていく傾向にある60〜90代までデータが含まれている ことから一般的なサラリーマンの給与形態とは違っているとも言えます。

鍼灸師の初任給について、実際に各種求人情報サイトを見てみると、月収で20万円前半(年収240〜260万円程度)という求人が多く 、上述した年収の中央値である260万円に近くなっています。鍼灸師の求人のなかには、初任給でも300万円近くというものもあり、法人や個人なのかといった事業形態や規模によって大きく異なっています。

また、中央値や平均給与は全国で集計されていることもポイントです。都市部と地方ではやはり都市部の方が給与は高く、月給で数万円の違いがあることも珍しくありません(系列店でも地域によって給与に差を持たせていることもあります。)。

・鍼灸師の年収中央値:約260万円
・鍼灸師の平均年収:約320万円
・新卒鍼灸師の年収平均:約240〜260万円
・鍼灸師の平均初任給:約21万円

鍼灸師の初任給の年々の推移

厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧から、全国加重平均の最低賃金データの推移を見ると、1980年357円、1990年516円、2000年659円となっており20年間で2倍近くに増えています。近年では、2010年730円、2020年902円へ増加しており、2023年には1002円と初めて全国で1000円を超える水準となる見込みです。
鍼灸師の初任給についても、同じ水準で増加することが見込まれますので、2023年以降は鍼灸師の最低時給は全国で1000円を超えると予想されます。

初任給の地域差

実は、鍼灸師の給料は西高東低の傾向が見られます。厚生労働省が行っている令和2年賃金構造基本統計調査によると、全職種の地域別の給料のランキングは、東京、神奈川に次いで大阪となっており 、最低賃金でも同様です。しかし、鍼灸師の求人サイトを見てみると滋賀県や奈良県、和歌山県といった近畿地方でも東京都などの都心部と同程度の給料となっており 、未経験である初任給へも影響を与えています。

西高東低となる原因として関西の方が鍼灸が盛んであることが考えられます。平成30年に厚生労働省が行った衛生行政報告例の調査によると、全国の鍼灸院の約3万件のうち関西に約2万件あるというデータがあります。 関西の方が関東よりも鍼灸の需要が高いため、初任給も高くなることが考えられます。

近年は美容鍼灸の需要が高まっており、約1〜3万円など単価が高く設定されていることから、東京や大阪といった都市部で鍼灸師の初任給は年々高まると予想されます。

初任給に影響する要素

鍼灸師の初任給がどの程度になるか、影響する要素はあるのでしょうか。ここからは、鍼灸師の初任給に良い影響を与える、それまでの経験やその他の資格などについてご紹介していきます。

鍼灸師の職場の種類と初任給の関係

鍼灸師の初任給は携わる職場によって大きく異なります。鍼灸のみを行っている鍼灸院や、柔道整復師も多く在籍している鍼灸整骨院、クリニック、介護施設など様々です。患者さんの対応人数が違っていたり、物理療法や温熱療法の有無など行う施術範囲が異なることから、職場によっては初任給の変動が見られます。
 
一般的には、保険診療を行うことも多い鍼灸整骨院やクリニックの方が、鍼灸のみを行っている鍼灸院よりも、初任給と給料は高い印象があります。

学歴、専門性、経験が初任給に与える影響

鍼灸師はセカンドキャリアとしても期待されている職業のひとつです。全く別分野であっても、それまでに培った経験や知識を活用することで、学歴によっては初任給へ良い影響を与える可能性があります。例えば、看護師の資格があれば同じ医療系としてアピール可能であったり、異形種でも、営業や接客業などの経験は仕事の進め方や対応能力を認めてもらいやすいとも考えられます。

また、鍼灸師以外で初任給に関わる資格として多いのが、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格です。これらの資格があると初任給は、鍼灸師の資格のみ保持している場合よりもアップすることが想定されます。

業務独特の技術・専門性が初任給に与える影響

厚生労働省が令和3年に行った賃金構造基本統計調査によると、鍼灸師はその他保健医療従事者というカテゴリーで、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などと合わせて調査が行われています。そのデータによると、平均年収は406万円 となっており、全日本鍼灸学会が行った調査の鍼灸師の平均年収324万円 と80万円もの差があります。

鍼灸師の初任給は、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の資格がある場合には影響があると考えられ、鍼灸師のみの資格よりも高くなる傾向があると考察されます。

他の医療系職業との初任給比較

鍼灸師の初任給は約21万円程度ですが、その他の医療系の職業の初任給は以下のようになっています。比較すると鍼灸師は少ないように見えますが、看護師であれば夜勤や休日出勤がベースにあるという勤務状況も加味して考える必要があります。また、理学療法士や作業療法士に関しては病院やクリニックでの勤務が基本となります。看護師も同様ですが、独立開業はできないという点が鍼灸師との大きな違いです。

・鍼灸師の初任給平均:約21万円
・看護師の初任給平均:26〜27万円
・理学療法士の初任給平均:約24万円
・作業療法士の初任給平均:約24万円

鍼灸師の給料を増やすためのステップ

鍼灸師の初任給も気になりますが、その後できるだけ給料を増やしたいと考える方は多いかもしれません。鍼灸師の資格を取得した後、または同時並行で柔道整復師の資格取得を目指す学生さんも多く見られます。

柔道整復師は、同じ学校で学べることも多く、より幅広い範囲での施術が可能になり、就職時の基本給のアップが見込めます。その他、スポーツ、美容、ハーブやアロマの勉強や資格取得などを合わせて行うと、鍼灸師の資格だけの場合よりも給料アップが見込めます。

まとめ

鍼灸師の初任給は約21万円程度で、事業所の規模や内容、地域、鍼灸師がその他に保持する資格や経験によっては増えることが分かりました。通常は60代で定年を迎えることが多い会社員と違って、生涯現役で長く働き続けることができる職業でもある鍼灸師の初任給は、一見すると少ないように見えますが、自身の体調管理に気をつけて長く働くことで生涯賃金のアップも見込めます。

鍼灸師の初任給がどの程度であるかという基準で、資格取得後に働く職場を選ぶのも大切ですが、長い目で見て、どのような鍼灸師になっていきたいかという目線で学生のうちから求人情報をチェックしておくと良いかもしれません。複数の資格取得を希望する場合も、キャリアプランに盛り込んでいくようにすると良いでしょう。

 
【参照URL】
全日本鍼灸学会
求人ボックス 給料ナビ
リジョブ
グッピー 求人情報サイト
厚生労働省 賃金構造基本統計調査
衛生行政報告例 平成30年度衛生行政報告例 統計表 隔年報
厚生労働省 令和3年 賃金構造基本統計調査
日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」
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