柔道整復師に最短3年でなれる!その方法や費用について解説
業界動向・知識
柔道整復師
ここでは最短3年で柔道整復師になる方法や費用、経験に基づくアドバイスを記載していきます。
柔道整復師とは?
柔道整復師の歴史
ルーツは戦国時代の武術である「殺法」と「活法」です。この時代の武将は、敵を殺める「殺法」と負傷者を手当てする「活法」の双方の技術習得が必要でした。
時が経つにつれ「殺法」は柔道などの武道やスポーツ競技として、「活法」は医療技術として「接骨術」「骨継(ほねつぎ)」などと呼ばれながら、現在の「柔道整復術」として継承されてきました。
その名残もあり現在でも柔道整復師養成校では授業に柔道が取り入れられ、人を殺めることは当然ないですが自身の目指す資格のルーツ知り、身体の使い方や礼儀作法などを学ぶ機会があります。
柔道整復師の仕事
柔道整復師の仕事は骨折・ねん挫・打撲などのケガに対して手術や投薬はせず、整復・固定・後療などを行ってその人本来の回復力を高めていき改善させます。
柔道整復師は国家資格です。免許を保有しない人は柔道整復師を名乗ることはできません。医師以外の者が柔道整復師の業をなすこともできません。
整復・固定・後療などを具体的に説明すると、どこを痛めているのか見たり触ったりして見つけ、骨が折れ関節が抜けていれば元の状態に整復して戻し包帯などで固定します。また冷やして腫れを引かせたり温めて硬くなった組織を緩めたり、電気刺激で痛みを緩和させるなど治癒までの邪魔な因子を取り除きながら、その人の本来持つ自然治癒力を高めて回復に導きます。
ケガの程度によりますが治るまでにはある程度の時間がかかるため、患者と柔道整復師の関係は短時間、単回だけの付き合いではないです。柔道整復師は相手の話をよく聞いて問題を正確に理解し、双方が納得するような説明や施術を行っていく必要があります。そのためにも判断力や知識、人間性も重要です。
身体面のサポートのみならず相手に寄り添う力もあるため、接骨院・整骨院以外にも、整形外科などの医療機関、スポーツ現場、介護業界でも活躍する場面が増えています。
柔道整復師は国家資格!取得までの流れは?
高等学校卒業→養成校に入学→教育課程修了(国家試験の受験資格取得)→国家試験受験→合格(資格取得)
流れは上記の通りです。
養成校の受験には高等学校卒業または卒業見込み、もしくはそれと同等なものが必要です。
養成校には厚生労働省の許可した専門学校、文部科学省の指定した短期大学および大学があります。
柔道整復師の国家資格を取得するためには養成校にて3年以上の教育課程を修了し、厚生労働省が毎年1回実施する国家試験に合格する必要があります。
そのため養成校での教育課程を修了しないと国家試験の受験資格を得ることができないため、独学での取得は不可能です。
最短での取得を目指せる学校は?おおよその費用も解説
前述から柔道整復師になるためには養成課程のある学校に通う必要があることが分かったかと思います。
それぞれの学校について解説していきます。
☆最短☆ 専門学校
最短3年で取得可能です。より実践的で専門的なカリキュラムを学ぶことができます。
指導者も現役バリバリだったり臨床の話を授業に盛り込んだりと応用力も身につけれます。
早く現場に出て臨床経験を積みたいという人や既に大学を卒業されている人にオススメです。
夜間部を設置する学校もあるため日中は仕事をし、その後に学校へ通うこともできます。
費用については、公益社団法人 全国柔道整復師協会のHPに掲載されている45校の専門学校を調べたところ、入学金・教科書代など各学校のHPから分かる範囲での諸費用をほぼ全て含め、約350~450万円が多いです。
北海道・東北、東日本、西日本での地域差は特になく学校によるという印象です。
中には海外研修など+αで学びの場を増やせるところや寄付金が必要なところもあります。
☆最短☆ 短期大学
現在、帝京短期大学の1校のみで、こちらも最短3年で取得可能です。
卒業した場合、短期大学士が授与されます。費用は約350万円です。
一部の専門学校と同様に昼間部と夜間部があり、様々な生活パターンに対応して学ぶことができます。
医師とのつながりが強いことや最新の医療機器を使用して組織や骨の状態を実際に見ながらの講義など、より専門性の高い環境です。
所定の単位を修得すると社会福祉主事任用資格も同時に取得できます。
身体の構造について理解を深めたい人やその知識を活かしてクリニックで働きたいと考える人に特にオススメです。
じっくり学べる! 大学
最短4年で取得可能です。卒業した場合、学士が授与されます。
入学金など含め約650~700万円が多いですが、教科書代や生活費等の諸経費は含めていない金額のため、実際はもっとかかります。
専門学校や短期大学に比べ期間が1年長く、現時点で私立大学のみのため学費が高くなってしまう傾向にありますが、設備が充実しており様々な学問をじっくり学ぶことができます。
また、更に学びたいときは修士課程や博士課程に進学できる大学もあり、実務経験などの条件を満たす場合は、専科教員科目を修得可能なところもあります。
柔道整復師専科教員になると、柔道整復師養成校にて専門基礎分野や専門分野を教授できるようになります。学校卒業後は専任教員となったり開業や企業勤務をしつつ非常勤講師や外部講師として学生指導に従事したりと出来ることの幅が広がります。
時間をかけてより広くより深く学びたい人や柔道整復師にもなりたいが将来の選択肢を広げたいという人にオススメです。
学校に通うだけでは免許はもらえない!
初めにお伝えしましたが、学校の教育課程を修了しても国家試験に合格しないと柔道整復師にはなれません。
日々の学習を大切にきちんと勉強し国家試験に備えましょう。
通信制はあるのか?
柔道整復師になるためには座学のみならず、実技や実習も非常に重要になり当然これらも教育課程に含まれます。そのため、通信制での取得は不可能です。近くに養成校がない場合は引っ越しなどが必要となります。
国家試験の内容について解説!
問題数など含めやや変更がある年もありますが、最新の第31回国家試験の場合で記載していきます。
チャンスは年1回のみ
柔道整復師の国家試験は、厚生労働省が毎年1回のみ実施しています。例年3月第1週の日曜日です。
合格発表日はその年によって前後しますが、同月下旬の平日午後2時~が多いです。
受験地は北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県および沖縄県で、「東京都に住んでいるなら絶対に東京都の会場で受験しろ!」ということはなく、受験願書記載時に北海道でも沖縄県でも好きなところを選ぶことができます。
大体の人は学校の先生が指定した会場で見知った友人と励まし合い、先生からの激励を受けながら会場入りします。当然ながら、試験問題や日時などに地域差はありません。
公共交通機関の乱れや地域によって雪の影響を受ける可能性もあるため、学習と並行して会場入りまでの計画もしつつ余裕を持った行動をしましょう。
形式・合格基準・問題数・科目
≪形式≫
マークシート方式の筆記試験。
≪問題数≫
必修問題50問と一般問題200問の計250問。
≪合格基準≫
必修問題80%(40問)以上の正答と一般問題60%(120問)以上の正答の両方を満たすこと。
≪時間≫
午前・午後ともに2時間30分の合計5時間。午前に必修問題50問と一般問題78問の計128問、午後に残りの一般問題122問。
≪試験科目・科目別出題数≫
解剖学(30問)、生理学(25問)、運動学(10問)、病理学概論(13問)、衛生学・公衆衛生学(12問)、リハビリテーション医学(11問)、一般臨床医学(22問)、外科学概論(11問)、整形外科学(11問)、柔道整復理論(55問)、関係法規の全11教科。※出題科目順。出題数は各科目名の後につく( )内に記載。
国家試験は午前と午後に分けて行われ、必修問題と解剖学~病理学までが午前科目、衛生学・公衆衛生学~柔道整復理論までを午後科目として試験は行われます。
関係法規は必修問題にちりばめられ7問程度問われます。
合格ラインが厳しい必修問題が気になると思いますが、内容としては柔道整復学を中心とした各教科の押さえておくべきポイントの他、柔道の歴史や医療倫理など幅広く問われますが、養成校できちんと対策して本番に臨むので安心してくださいね。
費用の負担を減らすには?
柔道整復師になるには時間とお金が必要です。
時間は3年より短くできませんが、金銭面の負担を減らす方法を紹介します。
奨学金制度と教育ローン
どちらもお金を国や金融機関などから借りて少しずつ返済していく部分では同じです。
返済義務が誰にあるかが大きな違いです。奨学金制度だと学生本人、教育ローンは保護者です。他にも資金の受け取り方や利息の発生時期などに違いがあります。基本的には返済義務のある貸与型ですが、奨学金制度では給付型も存在します。
専⾨実践教育訓練給付⾦・教育訓練⽀援給付⾦
社会人経験があり厚生労働大臣が指定する学校の講座を受講する場合、負担した費用の一部がハローワークから支給されます。
雇用保険に加入して働いている期間があり、入学希望の学校が指定校の場合は要件を満たす可能性があります。
学校独自の支援制度
学校により様々な支援制度が設けられており、多いのは成績による特待生制度です。入学時や日々の試験成績で学費の免除や独自の奨学金が利用できたり、Wスクール制度といって同じ学校の他学科にも通うことで入学金や授業料が安くなったりします。勉学以外にもスポーツ特待生制度や有資格者向きの制度など、各学校で実に多様な支援制度があります。免除額も10万、20万から100万円近く適応となるところもあります。
先輩やフリマサイトから『おさがり』を入手
教科書代や実技で着るユニフォーム代なども意外と出費がかさみます。
卒業生から譲り受けたり、フリマサイトで購入したりすることでコストを下げることができます。
メリットとしてはコスト面のほか、ちょっとしたメモ書きなどが学習に役立つことがあります。
デメリットとしては改訂がある場合、内容やページが変わっていることがあります。
教科書の内容が基本なので、この場合は非常に使い勝手の悪いものになるでしょう。
個人的にはフリマサイトでの購入より、「同じ学校の先輩からのおさがり」の方がオススメです!
理由は後述します!
先輩からのおさがりがオススメ!
大事なのは「同じ学校の先輩から」です。理由としては「同じ先生の授業を受けているから」です。
先生方はシラバスに沿って授業を進めていきますが、国家試験の傾向をみながら更に重要ポイントを話してくれます。時には少し声が聞き取りづらい先生、重要なところもサラサラッと説明している先生など千差万別な上、1回の授業時間は短くないので、終始集中するのはなかなか大変です。やはり聞き逃してしまうことはあります。
先生が話した内容を1人で全て完璧に把握するのは難しいですが、そんな時に先輩の勉強の軌跡は役に立ちます!勉強法にも個人差はありますが、順調に進級・資格取得した先輩のノートや教科書は非常によくまとまっています。勉強法について迷走している時や学習に行き詰った場合にも、とても参考になりますよ。
向かうべき道は先ずは国家試験合格で、どこの学校の生徒も同じではありますが、学習スピードや定期試験範囲は違うため同じ学校の先輩のおさがりは貴重なのです。頂戴した際には心から感謝し有効活用しましょう。
いずれにせよ教科書や実習着など学校指定のものもあったりするので、確認をして購入する必要がありそうです。
オープンキャンパスへの参加
先輩の尊さは十分に伝わったかと思います。
いざ入学をするとなった際に入学前から先輩と接点を持っいるかどうかはスタートダッシュにもかかわる大きなポイントです。
オープンキャンパスへの参加
先輩との繋がりを作るうえで1番手っ取り早く確実なのはオープンキャンパスへの参加です。
お金問題も重要ですが、学習環境も大切です。先生方、先輩、学校自体の雰囲気は実際に行かないと分かりませんし、これが思いのほか重要です。お金は払えば終わりですが、学校や人を変えるのは最短で柔道整復師になるという考えからは大きく外れることになるでしょう。
気になる学校がある場合は、ぜひ足を運んでみてください。資料やHPでは分からないことが知れ、在校生や先生方と話す機会も得られることでしょう。
先輩と仲良くなっておくと学校の情報やオススメの勉強法、おさがりも貰えるかもしれませんね。
就職フェアへの参加
もし既に他の資格を目指して学校に通いつつ柔道整復師の資格に興味を持っている方は、就職フェアへの参加もオススメです。
私は他資格の取得を検討中の時と転職を考えている時に就職フェアに参加しました。企業のブースで隣に座っていた学生に学校のことを聞いたり、実際に企業にその資格の働き方なども含めて相談したりしていました。
在校生と知り合うきっかけにもなりますし、企業によっては学生バイト・学生社員OKのところもあるので、柔道整復師の資格取得も検討していると素直に相談してみるのも良いと思います。
向上心を持つことはいいことです。サポートしてくれる企業や有資格者にも出会えるため、将来ビジョンがより明確になるかもしれません。
まとめ
最短で柔道整復師になるには3年制の専門学校および短期大学でみっちり学び、そのまま国家試験に合格することです。成績不良や学費未納などがあると取得までの期間が延びてしまうことがあるので、3年間で絶対に取るという強い気持ちと色んな意味での余裕が必要です。
また、柔道整復師の仕事は人と接する機会が多く、学校では実技にも力を入れています。
学生期間は覚えることが膨大で辛い時もありますが、同じ道を志す仲間と共に過ごした時間は無駄にはなりません。資格以外にも得るものが多い日々になることでしょう。
ちなみに柔道整復師になるための要件に年齢制限はありません!
何歳でもチャレンジできますし、実際にセカンドキャリアを見据えて50代で入学してくる方もいます。
この記事を読んで挑戦してみようと思う人が増えたら嬉しいです。
【参照URL】 ・公益社団法人 柔道整復師会 柔道整復師・整骨院・接骨院について ・厚生労働省 柔道整復師国家試験の施行 ・JFC 日本政策金融公庫 国の教育ローンと奨学金の違い ・厚生労働省 教育訓練給付制度 |
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