柔道整復師の資格を取得!必要なことまとめ
業界動向・知識
柔道整復師
柔道整復師は主に接骨院や病院のリハビリテーション科で活動する医療技術職の一つです。
そんな柔道整復師の資格を取得するのに必要な流れや勉強をまとめました。
柔道整復師の資格は養成課程で取得できる
柔道整復師は厚生労働省及び文部科学省の定める養成課程を経て国家試験に合格し、資格取得した者が行える医療技術職の1つです。
その対象は主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷が中心で、当然ながら養成課程ではこれらをメインに勉強していきます。
柔道整復師になる為には専門学校または大学で4年間以上座学および実習形式で勉強し、理論や技術を習得します。
カリキュラムの一つには外部での接骨院実習などの講義もあり、指導してくださる先生の間近で珍しい外傷、学校で習っただけで実際には初めて目にする実症例や、臨床でしか聞けない話し、先生方の働き方など幅広いことを勉強できる時間となります。
これらの課程を経たのち最後に国家試験を受験します。
例年3月の第1日曜日に行われる柔道整復師国家試験の総問題数は250問で、200問は一般問題、50問は必修問題です。
合格するためには、必修問題の得点率が40点以上かつ、一般問題で120点以上を得点する必要があります。
これらの合格基準に達しており、柔道整復師免許を申請し名簿に登録されたものが、柔道整復師として認められ、接骨院や整骨院、整形外科などで働くことが出来ます。
専門学校の特徴
柔道整復師養成課程の一つに専門学校があります。
専門学校の特徴は1学年の人数が少なく、少人数で授業を受けることが出来るため、わからないことを先生にすぐ聞くことが出来ます。
実技授業でも、生徒の人数が少ないため先生の目が届きやすく、間違った包帯の巻き方や整復をしてしまってもすぐに指摘して頂けます。
また先生との距離がとても近いため、勉強以外のことにも相談に乗って頂いたりすることが出来ます。
少ない中でクラスメイトとも3年間同じクラスであることから、年齢の差を越えてなんでも言い合えたり、勉強をみんなでシェアし合いながら一丸となって国家試験に合格するという目標達成に向けて頑張ることが出来ます。
また一部の専門学校では、3年生の後期になると認定実技審査というものを受けます。
これに合格しなければ卒業判定を受けることが出来ず国家試験の受験資格を得ることが出来ません。
認定実技試験は、認定実技審査員が、実際の医療面接や整復・固定など評価し、柔道整復師として十分な水準の知識や素養を備えているかを判断する試験です。
筆者の学校では2年生の後輩学生を患者・助手役におき、正しい手法で施術が行えているか、患者さんに対しての接し方、どのような疾患はどういった症状出現するのかなどを、定められた時間内で喋りながら行いました。
昼間部、夜間部と選べる為バイト・仕事と両立することが出来き、また年齢にとらわれずを通学出来るのが魅力です。
臨床現場で実践できることを学べることから、卒後すぐに現場で活躍したいようなイメージを持っている人は専門学校がお勧めです。
大学の特徴
大学では専門学校より1年長く勉強することが出来るため、時間をかけて勉強することが出来ます。また、柔道整復師の勉強と両立してアスレティックトレーナーや保健体育教論などのことも学べるのが魅力です。
勉強したい、興味がある科目を自分で時間割を作成し履修することが出来る一方で、授業が1-5限まであったり、サークルの日がある為バイトとの両立には調整が必要なことがあります。
また、国家試験を受験するため自分で履修した授業以外の専門知識や、必要な科目を自ら進んで学習する必要があります。
高校から大学にストレートで入学する人がほとんどで人数が多く、また自分の勉強したい授業を受けられるので、同年代のクラスメイト達と学校生活を楽しみたい方は大学をお勧めします。
就職先としては、接骨院や整形外科の、臨床現場だけではなく一般企業に就職する人も少なくありません。
柔道整復師になるために学ぶ科目
柔道整復師になるために必要な内容は以下の通りです。
・柔道整復理論(総論、骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷、後療法、物理療法、画像)
・柔道整復実技(整復、固定、手技療法)
・関係法規
・社会保障
・職業倫理
・解剖学
・生理学
・運動学
・病理学
・公衆衛生学
・リハビリテーション学
・一般臨床
・外科学
・整形外科学
基礎科目
基礎科目は柔道整復師として活動していくうえでの基礎となる科目です。
人の身体の構造や働き、また柔道整復を行う上での考え方などはほぼすべての人に共通する要素であることから、これらを総合して基礎科目と呼ばれます。
柔道整復理論
柔道整復師の施術できる、骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲について学びます。
そのほかにも総論(骨、骨折や脱臼の詳しい理論)、患者さんが接骨院に来院した際に受ける電気療法、寒冷療法、超音波のしくみや効果、手技療法についても学びを深めます。
頭部から下肢までどうやって受傷したか(発生機序)、転位(骨折や脱臼した骨はどこに移動するか)、症状、整復方法(骨折、脱臼の場合)、テスト法(筋肉、靭帯損傷の場合)、固定方法(包帯、テーピング)、後療法(どうやって今後施術をしていくか)などを一つ段階を踏んで疾病の変化を学ぶ科目です。
また、整形外科で撮影されたレントゲンなどを持ち込まれる場合も多いことから、レントゲン、MRI、CT、超音波の読み取り方も勉強します。
近年では国家試験の臨床問題で画像問題としてこれらが出題されることが増えてきたため、なおさら重要な科目の1つとなっています。
生理学
主に筋肉(仕組み、構造)、神経(伝導、分類、働き、反射)、感覚(どうやって感覚が脳まで伝わっていくか)、内分泌(ホルモン分泌、作用)、血液、循環(心臓の仕組み、心電図、血圧)、泌尿器、消化(ホルモンとの関連、栄養)などを学びます。
実際に接骨院で働くとなるとあまり関係がないのではと思われがちですが、生理学が理解できていないと、どういった現象で症状が現れるのか病態の理解が出来ません。
また単独でこの科目が必要なのではなく、一般臨床や病理学で必要な基本知識になる為、病気の全体図を理解するためには避けては通れません。
解剖学
細胞、骨、筋肉、心臓(動脈、静脈、リンパ)、内臓(消化、呼吸、泌尿、生殖、内分泌)、神経(脳、神経)、感覚を主に学んでいきます。
特に骨、筋肉、神経は柔道整復師には必須のものです。
骨折や脱臼でどの骨が関与しているのか、転位(従来の位置からずれてしまう事)をしているのに関係する筋肉はどれか、痺れが起きるのにはどの神経が関与しているのか、など患者さんの症状からどうなっているかを考える必要があります。
実際に患者さんの身に起きていることを説明するためにも一つ一つの場所や位置がどこにあるかを明確に理解しておく必要があります。
解剖学も単独で使うのはもちろん、一般臨床や病理学で必ず繋がるものになるので細かく深く覚えておくことが大切です。
また解剖見学実習では教科書で勉強したことを実際のご検体で観察し触ったりすることが出来ます。
臨床科目
柔道整復師特有の科目ではありませんが、患者さんの歩き方の異常や、レントゲンを見たときの腫瘍など、接骨院に来院したものの柔道整復術では対応できないこと判別したりとを、他医療機関と連携を図るうえでも重要な科目です。
外科学概論
感染症、消毒、麻酔、出血、心肺蘇生法、脳神経外科(くも膜下出血、頭部外傷など)などを学んでいきます。
施術中の会話において「最近めまいがして頭痛もある」との話があった際に、脳の損傷を疑い、病院へ紹介したりと万が一患者の命にかかわる可能性を踏まえた勉強を行います。
整形外科学
骨にかかわる疾患、痺れ、腰の痛みの原因となる疾患を学びます。
接骨院には骨折や脱臼以外にもねん挫などの痛みで来院することが多いです。
日常生活を安心して過ごせるように固定具を作るなど工夫を行います。
リハビリテーション医学
病院で勤務する際は主に理学療法士や作業療法士などのリハビリ分野で働く為、整形外科で用いられる固定や歩行具、疾患の病期分類などを理解しておく必要があります。
リハビリテーション科で働くということは柔道整復師が学ぶ骨折や脱臼患者のみではなく、癌患者や認知症患者、脳疾患患者(脳梗塞など)、麻痺患者のリハビリを行うことも少なく在りません。脳が損傷していたとしたら喋れなかったり、体を思ったように動かすことが出来ない状態です。その為に、対応を出来るようにそれぞれの症状や、何が出来ないからどうやって対応していくかなどが重要になります。
また柔道整復師は機能訓練指導員として介護施設で勤務することが可能です。そういった意味でも様々なことに触れられるためリハビリテーション学は重要な科目になります。
まとめ
柔道整復師は患者さんとの距離が近くまた様々な年齢の方や職業の方と接する仕事です。
とても大変な勉強をする資格ではありますがそれ以上に得られることは多く楽しい職業です。
これから資格を取る学生の皆さん、一緒に頑張って行きましょう。