あん摩マッサージ指圧師は国家資格?取得までの流れを解説
業界動向・知識
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、超高齢社会において医療機関のみならず介護施設などでも多岐に活躍しています。
実際にこのあん摩マッサージ指圧師になろうと思った際にどうすればいいか解説します。
あん摩マッサージ指圧師の第32回国家試験の回答速報ページはこちら
あん摩マッサージ指圧師とは
あん摩マッサージ指圧師は厚生労働省の管轄する医療系国家資格の一つです。
厚生労働省が発信する職業情報サイトJobtagでは以下の通り記載さています。
“体の痛みやこりなどの症状を訴える人たちに対して、主に手や指などを用いて押し・揉み・叩きなど力学的な刺激を身体に与える指圧・マッサージにより身体のこりをほぐし血行を良くしたり、脊椎のゆがみを矯正することにより、症状の緩和・改善、体力回復、健康増進を図る。”と紹介されています。
臨床と呼ばれる、実際に愁訴に悩む患者さんを治療する現場では、指先に感覚を集中しコリを見つけ出し、それらを変化させる技術が求められます。
あん摩マッサージ指圧師は国家資格の一つ
患者さんの愁訴に対して手技を用いてアプローチするあん摩マッサージ指圧師になるには、厚生労働省が管轄する国家資格に合格する必要があります。
誰しもがこの国家試験の受験資格があるかというとそうではなく、既定の年月。課程をこなした上で試験に合格する必要がありあます。
まずはその概要についてご紹介します。
国家試験について
あん摩マッサージ指圧師国家試験は、年に1度行われています。例年2月4週目の土曜日に行われることが多いです。
試験会場は、晴眼者であれば宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県及び鹿児島県で、また視覚障害者であれば各都道府県で受験することが出来ます。
また受験科目は以下の科目です。
・医療概論(医学史を除く。)
・衛生学・公衆衛生学
・関係法規
・解剖学
・生理学
・病理学概論
・臨床医学総論
・臨床医学各論
・リハビリテーション医学
・東洋医学概論
・経絡経穴概論
・東洋医学臨床論
・あん摩マッサージ指圧理論
出題総数は160問で、上記13科目に関する総合的な知識について問われます。
問題総数に対して60%以上を得点することで合格となる四者択一のマークシート式の筆記試験です。
勉強する内容
あん摩マッサージ指圧師として学ぶべき内容は、上記に記載した国家試験科目が中心となります。
その他にも実習を通して様々な手技を学んだり、また学校によってはトレーナーコースが付随している場合はスポーツに特化した勉強など多岐に渡ります。
また学校独自に主催する特別セミナーなどでは、第一線で活躍する卒業生が生の声を話したり、またあん摩マッサージ指圧師として活動していくうえで必要な経営などが学べたりする場合もあります。
合格率は?
以下のグラフは、直近10年のあん摩マッサージ指圧師国家試験の合格率の推移です。
毎年8割5分の人が合格している試験です。
誰でも合格するといったわけではありませんが、着実に勉強を進め知識を身につけていくことで得られる資格の一つではないでしょうか。
どこで資格取得できるのか
盲学校・大学
あん摩マッサージ指圧師は江戸時代に杉山和一により、世界初の視覚障害者教育施設とされる「杉山流鍼治導引稽古所」の開設を機に、視覚障害者の専業仕事の一つとして今日に至ります。
大学であん摩マッサージ指圧師を取得できるのは筑波技術大学のみです。
この筑波技術大学は国立大学で視覚障害が入学要件となり健常者は受験することは出来ません。
また日本視覚障害者団体連合によると盲学校は国・公・私立合わせて約70校あるとされています。
このように視覚障害者への学校職業教育の一つにあん摩マッサージ指圧術は組み込まれており、国や都道府県が主導で施設が整備されている背景があります。
専門学校
晴眼者があん摩マッサージ指圧師資格を取得するとなると専門学校に通う必要があります。
あん摩マッサージ指圧師は鍼灸師と合わせて三療師と呼ばれており、あん摩マッサージ指圧師と合わせて鍼灸師資格が取得できる課程があります。
学校によってはあん摩マッサージ指圧師のみの単科もあるので、自分が取得したい資格に合わせて課程を選ぶのが良いでしょう。
オンラインでは取得できない
あん摩マッサージ指圧師の資格は残念ながらオンラインで取得することは出来ません。また通信課程も同様です。
特定の養成課程に進学し既定の課程を修了し、初めて国家試験の受験資格を得ることが出来ます。
中にはあん摩マッサージ指圧師と想起させる「もみほぐし」や「整体」などの文言で”オンラインで資格取得”などと謳っている広告などが見受けられたりしますが、これらは国家資格ではないので注意が必要です。
あん摩マッサージ指圧師に向いている人
では、あん摩マッサージ指圧師に向いている人とはどのような人なのでしょうか。
自己研鑽が積める人
あん摩マッサージ指圧師は人の身体に触れ、生体へ刺激を与えて治療を行う仕事です。
当然ながらこれらにはリスクや責任が伴うと同時に、リスクを最低限に抑えるためにも正しい知識を身につける必要があります。
医学は日々研究の成果が報告されており、これまで明らかとされていなかった機序が明らかとなったり、これまでは当たり前にしていたことでもしてはいけないリスクが明確になったりと、最新の情報を収集し続け患者さんへ還元する必要があります。
これらの学びは試験勉強とは違い、期限や目標が定められているわけではありません。
あん摩マッサージ指圧師として活動するうちは、常に求められます。
試験勉強のように一夜漬けで済まないからこそコンスタントに自己研鑽が積める人は向いていると言えるでしょう。
接客が好きな人
あん摩マッサージ指圧という職業は一人で完結できる仕事ではありません。
特に治療を行う現場では必ず患者さんがいますし、会話だけでなく身体に触れるなどの密なコミュニケーションが発生します。
中には多くを語らない無口な職人気質の治療家…
もいないことはないですが、そのような治療家は極稀で、卓越した超能力者(見ただけで悪いところが分かる等)でないと、そのような境地には達することは出来ません。
従来であれば、コミュニケーションを取りながら患者さんが訴える愁訴や痛みをヒアリングし、それらに対して伴走しながら共に治療していくというのが主流ではないでしょうか。
もちろん患者さんを治せる技術は必要ですし、それらがある前提で同じぐらいコミュニケーション能力に優れていることは、より患者さんに親身に寄り添った治療家になれます。
まとめ
国家資格のあん摩マッサージ指圧師は魅力にあふれた素敵な仕事の一つです。
勉強は大変かもしれませんが、患者さんの笑顔やありがとうと一言頂けたときの感動は忘れられないものとなります。
【参照URL】 ・厚生労働省 職業情報サイトJobtag ・あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行 ・公益財団法人 東洋療法研修試験財団 過去の受験者数 ・国立大学法人 筑波技術大学 鍼灸学専攻 ・社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 盲学校教育の課題 |
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