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柔道整復師は儲かるの?年代別平均年収や年収アップの方法を紹介

柔道整復師はいったいどのくらい稼いでいるのか?年収はどれくらいなのか気になる人も多いでしょう。柔道整復師の平均年収は決して低くありません。しかし、常にレベルアップを図らないと年齢に見合った年収を得るのは難しいケースもあります。稼げる柔道整復師になるために必要なものとはなにか、年代別の平均年収と合わせて解説します。

柔道整復師の年代別平均年収

まずは柔道整復師の年代別の平均年収について見ていきましょう。

▽柔道整復師の年代別の平均年収

柔道整復師の平均年収 全給与所得者の平均年収
20代 250~270万円 約300万円
30代 300~320万円 約460万円
40代 約400万円 約530万円
50代 約360万円 約550万円

引用:国税庁「平均給与」他より編集部作成

年代別の柔道整復師の平均年収と、全給与所得者の平均年収を比較すると、全世代において柔道整復師の平均年収のほうが低いという結果になりました。

特に経験が浅い20代は、給与が少ないと感じる人もいるかもしれません。ただし、柔道整復師は就職先や勤務する地域、選ぶキャリアによって年収に大きく差が出る職業です。

たとえば、整形外科でリハビリを担当する柔道整復師の場合、北海道の医療施設の求人情報では月給約20万円の求人が多くなっていますが、東京では25万円以上の求人が数多くあります(2021年8月現在)。

さらに接骨院や整骨院では施設によって給与に大きな幅があり、月給20万円以下の治療院もあれば、30万円以上、なかには100万円という治療院もあります。少数ではありますが、なかには20代で年収1,000万円超という人もいます。

年収を上げたい場合は、勤務先をよく選ぶ必要がありそうです。

 

柔道整復師の雇用形態別収入

次に、雇用形態別の収入を紹介します。アルバイト、正社員、院長クラスでどのくらいの差があるのでしょうか。

柔道整復師の雇用形態別収入1:アルバイト

柔道整復師の求人のなかには、時給制で働けるアルバイトの募集も多くあります。地域により異なりますが、柔道整復師のアルバイトの時給は、おおよそ1,000円~1,500円です。

時給約1,000円で1日8時間、週5日働いた場合、月の平均収入は16万円ほどです。出産・育児などで一度退職し、パートタイムでの働き方のほうが、融通がききやすいなどの理由があれば別ですが、学校を卒業して柔道整復師として働くのであればアルバイトではなく正社員を目指すほう月の収入は高く、キャリア形成にもよいでしょう。

柔道整復師の雇用形態別収入2:正社員

正社員の場合、前述の通り募集している治療院によって収入が大きく変わります。新卒の正社員募集では月給23万円ほどの求人が多いようです。

月給が比較的高いのが、パーソナルトレーナーとして働く柔道整復師です。新卒・実務経験なしの求人も多くあります。パーソナルトレーナーの場合、担当するお客様の数によってインセンティブを支給する施設が多くあります。

柔道整復師の雇用形態別収入3:管理職・院長

月給が30万円以上の求人は管理職や院長などのポジションになると得られることが多いようです。一般スタッフより給与が高くなるのは、責任ある立場を任されることに加え、役職手当などが加算されるためです。

管理職・院長の場合、柔道整復師としてのスキルに加え、スタッフのマネジメントスキルも求められます。また、売上目標と売上情報、コストを確認して適切に宣伝を行うなど経営者的な判断を求められることもあります。

「売上によるインセンティブ」を用意している治療院もあります。この場合、売上金額にあわせて給与が変わるのが特徴です。

ちなみに、個人の治療院の場合、代替わりなどをしない限り、院長のポジションにつくケースはほとんどないでしょう。管理職や院長につくことでの収入アップを目指すのであれば、ポジションが確立されているグループ院の求人に応募するのがよいでしょう。

柔道整復師が年収を上げるために必要なこと

柔道整復師の平均年収は、同年代に比べて少し低いことがわかりました。より収入を上げたいのなら、次のポイントを踏まえてスキルアップ・キャリアアップを目指してみましょう。

年収を上げるために必要なこと1:勤め先で院長やマネージャー職にステップアップする

自身が勤めている治療院で昇格を果たすことは、最も身近な年収アップの方法です。「いち先生」から、院長やマネージャークラスへ昇格すれば、任される責任が大きくなったりスタッフの管理など発生したりしますが、その分、基本給のアップが見込めるでしょう。また、役職手当を支給しているところもあります。

しかし、個人事業主として開業し、必要最低限の人数で運営している治療院の場合、院長が代表者を務めていることがほとんどで、そのほかのポジションも明確でないこともあります。将来、院長やマネージャーのポジションにつくことで年収を上げることを目指すのであれば、多店舗展開しているグループ院のほうが実現の可能性は高いかもしれません。

年収を上げるために必要なこと2:技術力を向上させる

年収を上げたいのなら、技術力を上げることも大切です。技術力の高い柔道整復師は、どのような職場でも求められ活躍できます。収入は職場での評価によっても変わります。患者様に求められ、高く評価される柔道整復師を目指しましょう。

また、高い技術力を備えていれば、転職時に自分を安売りする必要がなくなるでしょう。高い技術力に見合った待遇を伝えることができますし、技術力を聞きつけた治療院から高待遇で声がかかることもあるかもしれません。

年収を上げるために必要なこと3:複数の資格を取得する

「資格取得手当」などを支給している治療院も多くあります。そのため、柔道整復師以外の複数の資格を取得して、収入をアップさせるのも1つの方法です。柔道整復師とセットで取得しておきたい資格として、ポピュラーなのが、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ師です。いずれも国家試験に合格する必要がありますが、専門学校在学中に、柔道整復師と同時に取得できることもありますので確認しておきましょう。

それ以外では、アスレチックトレーナーやスポーツトレーナーなどの民間資格を取得して、パーソナルトレーナーを目指す道もあります。

年収を上げるために必要なこと4:講師など副業をする

本業のほかに副業を持てば、そのぶん収入増につながります。柔道整復師の副業としては、スポット的に講師やインストラクターを行うなどの方法があります。なお、ほかの治療院等でアルバイトすることは情報漏えいの点からNGとしているところが多いようです。

副業を行う場合は、勤め先が副業を認めているか確認するようにしましょう。副業を認めている会社は増えているものの、一度は就業規則をチェックしておきたいものです。また、副業をはじめたとしても、本業に影響を与えないように気をつけましょう。副業が忙しく収入が増えたとしても本業に支障をきたすのでは社会人としてNGです。

また、給与所得者の場合、本業以外の収入が年間20万円以上になると確定申告が必要になる点に気をつけましょう。

年収を上げるために必要なこと5:独立開業する

経験を積み重ねて独立する自信がついたら、思い切って自分の治療院などを持つ方法もあります。独立開業した場合、経費などを除いた売上をすべて自分の収入にすることも可能です。

ただし、独立開業するためには開業資金が必要です。また、個人事業主として開業するのか、法人として開業するのかでも収入の形態が異なります。

個人事業主の収入は、「売上-経費」です。売上を伸ばして経費を抑えれば、残るお金が増えるので、その分を個人の収入とすることが可能です。法人の場合、経営者であれば「役員報酬」というかたちで毎月、決まった額を得ることになります。役員報酬を定める経営陣が自分一人の場合、金額は自由に決められます。ただし、役員報酬は決算の翌月から3か月以内でしか変更できません。

また、法人を設立した場合は、法人税、法人住民税、事業税などの支払いも発生します。税金の支払いに備え会社に現金を残しておかなくてはいけないため、「「売上-経費」がそのまま役員報酬とはなりません。安定運営に必要なお金を会社に残しておく「内部留保」分もしっかり頭に入れたうえで、役員報酬を決める必要があります。

ほかにも忘れてはいけないのが、社会保険や年金の支払額の負担です。金額は個人事業主として活動するのか、自身が代表となり法人を設立するのかによって変わってきますが、これまで会社が負担してくれた社会保険はこれから自分で支払うことになり、年金の支払額も変わります。

保険や税金、各種経費の支払いを含め、治療院勤めのときよりも収入のアップが見込めるようであれば、独立開業も年収アップの有力な選択肢となるでしょう。

年収を上げるために必要なこと6:歩合制の職場に就職する

給与に歩合(インセンティブ)制を取り入れている職場に就職する手もあります。毎月固定給を支払われる雇用契約では、作業内容や対応する患者様の数にかかわらず一定の給与しか受け取れません。

歩合制なら、対応した患者様の数や売上によって高い給与を得られる可能性があります。ただし、歩合制では固定給を下回る給与になってしまう可能性もある点に注意しましょう。

また、ひと口に歩合制といっても種類があります。

完全歩合制は、給与のすべてが歩合のみで構成されるため、がんばればがんばるほど給与が高くなります。しかし、病気やケガで仕事を休まなければならなくなった場合には給与が大きく下がってしまいます。

歩合手当の場合、基本給に頑張った分が上乗せされる形で支給されます。場合によっては、歩合手当をボーナスに上乗せされることもあります。

歩合制の職場を探すときには、完全歩合なのかそれとも歩合手当なのかをよく確認してから応募しましょう。完全歩合の場合、自分を指名してくれる患者様が一定数つかないと満足な給与が得られません。実務未経験でいきなり指名されるのは現実的ではないため、まずは基本給ありの歩合手当制の職場を選ぶ方がよさそうです。

独立開業後に収入を上げる方法

将来的に独立開業を考えている方は、開業後の収入の安定・向上を図るために今から次の点を考え行動していきましょう。

独立開業後に収入を上げる方法1:集客方法を学ぶ

開業したばかりの個人には、大手院や老舗院のようなブランド力や知名度がありません。治療院の名前だけでは集客できない新設の個人院の場合、大手院や老舗院よりも効果的な営業が必要です。柔道整復師としての技術力の向上だけでなく、マーケティング視点を持って経営できる事業主を目指しましょう。

独立開業後に収入を上げる方法2:リピーター様を増やす

収入を上げるのに大切なことは、目の前の売上をアップはもちろん、経営を安定させることです。安定した売上を残すには、リピーター様の存在は重要です。広告宣伝をたくさんし、新規の患者様に来てもらうには限界がありますし、広告宣伝費をかけ続け成ればなります。そこで、新規顧客の開拓以上に重要となるのがリピーター様を増やすことです。誠実な対応や確かな施術の提供で信頼される治療院になることが大切です。患者様が継続的に通ってくれるようになれば、売上も安定していくでしょう。

しかし、リピーター様を増やす即効薬はありません。地域に根づいた治療院として地道な努力を続けることでリピーター様が徐々に増え、それが収入アップにつながっていくでしょう。

独立開業後に収入を上げる方法3:多店舗展開する

1つだけでなく複数の院を経営できれば、収入源を増やすことができます。ただしこの場合、テナント料などの不動産関連費用、人件費が大幅にアップすることも念頭に入れましょう。

多店舗展開による売上増、経営の安定化が期待できる一方で、採用・人材育成費が膨れ上がったり、マネジメントに関わる時間が膨大になったりすることが想定されます。店舗数を増やすのは機をよく考える必要があります。

独立開業後に収入を上げる方法4:豊富なスキルと資格で独自のサービスを生み出す、またはサービスの幅を広げる

柔道整復師としてスキルアップを重ね、さらに必要な資格を取得し続けて独自のサービスを生み出し、唯一無二の治療院やサロンをつくる方法もあります。独自のサービスが提供できるようになれば差別化につながり、価格競争に巻き込まれる恐れなどもなくなります。

「体が痛くなったとき、ケガをしたときに行く場所」ではなく、「普段から行きたくなる場所」を目指しましょう。女性向けのマッサージを取り入れる、アロマを取り入れる、運動機能向上をサポートするスポーツ専門の院をつくるなど方法はさまざまです。

開業までに数多くの経験をして、患者様が求めていること、柔道整復師にできることを考えながら自分だけのサービスを生み出してみましょう。

まとめ:収入は自分次第!やりがいのある柔道整復師という仕事

年齢別の平均年収を見ると、どの年代でも全給与所得者の年代別平均年収を下回ることがわかりました。だからといって、すべての柔道整復師の収入が低いわけではありません。また、20代でも1,000万円以上の年収を得ている人もいるほど、人によって収入に大きな幅があるのが柔道整復師です。

年収アップの近道は、技術力の向上にあります。歩合制の職場に就職する場合でも、開業する場合でも、リピーターの獲得に高い技術力は欠かせません。さまざまな経験とスキル、資格を組み合わせて活躍できる、そんな柔道整復師を目指しましょう。

 

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