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柔道整復師の初任給ガイド~給与の疑問や生活水準まで気になる疑問を一気に解決~

柔道整復師(柔整師)としての就職を前に、多くの方が気になるのがお金事情ではないでしょうか?

柔整師の初任給や生活水準はどのくらいなるのか、不安も多いことでしょう。夢にまで見た柔整師になっても、生活できないのでは困りますよね。

そこで今回は、そんな就職を前にした柔整師の卵さんに向けたリアルなお金周りのお話です。

柔道整復師の初任給と金額の違い

初任給とは就職後に初めてもらうお給料のことですが、柔整師の初任給はいくら位でしょうか?まずは柔整師の初任給について深堀をしていきます。

平均的な初任給について

毎年2月頃にニュースを賑わす春闘。労働組合と企業とで条件交渉が行われますが、初任給もその一つです。近年は、人手不足や物価上昇などから企業も初任給を引き上げる傾向にあります。

厚生労働省(厚労省)の令和4年賃金構造基本統計調査では、以下のように学歴別での初任給の平均を公表しています。(男女計)

・大学院  :267.9千円(5.7%)
・大学   :228.5千円(1.4%)
・高専、短大:202.3千円(1.3%)
・専門学校 :212.6千円(2.8%)
・高校   :181.2千円(0.8%)
※()の中は対前年増加率

厚労省から令和5年の調査結果は未公表ではありますが、一般財団法人 労務行政研究所の調査では過去10年で最大の引き上げ率であったと報告されています。

では柔整師はというと、初任給に関する公的機関の調査は行われてはおらず、正確な金額は分かりません。そこで、厚労省の職業情報提供サイトjobtagを利用して推定します。

〇学歴
・博士課程、修士課程卒:6.5%
・大卒        :18.2%
・高専、短大卒    :3.9%
・専門学校卒     :85.7%
・高卒        :6.5%

合計値が100%を超えているので、専門学校卒業後に大学へ進学した、あるいは大学進学後に専門学校へ進学して柔整師になった人々を指しているものでしょう。筆者の同級生でも大卒で養成学校に進学していた人が幾人かいました。

また、上記のデータは全柔整師の学歴を示した数値であって、昭和45年の柔道整復師法の施行以降は専門学校卒以上でなければ国家試験の受験資格は得られないことから、高卒も除外して良いでしょう。つまり、ここ最近の新卒者のほとんどが専門卒者といえます。

続いて、jobtagの年齢別の年収を確認すると令和4年時点の20~24歳で年収338.53万円とあります。養成学校が3年制の場合、就職は21歳が初任給のとなります。そこで、各年のベースアップ率から21歳時点の金額を割り出します。

厚労省の令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査でも医療・福祉関係企業の85.6%が賃上げを行った、あるいは行うと回答しているので賃上げは行われているという仮定です。

同調査では、平均賃金改定率は令和5年は1.7%、令和4年は2.8%、令和3年は1.5%、令和2年は1.5%とあります。仮に、令和4年時に24歳で年収338.53万円の 人の3年前の年収は、

3,385,300÷(1+0.028)×(1-0.015)×(1-0.015)=3,195,041.52967
3,195,041.52967 ÷12=266,253.460806

つまり、月収約26.6万円と推定できます。このように見ると、一般的な専門卒の初任給よりも(大学卒よりも)高いように感じますが、まだ検討することはあります。

柔道整復師の推定初任給額

まずは社会保険料などです。源泉所得税、健康保険料、所得税などが引かれるのですが、利率計算が複雑なので仮に手取り額は総支給額の75~85%で計算します。

もう一点、賞与です。参考として厚労省の毎月勤労統計調査から令和元年の夏季、年末賞与の平均額を確認すると、

・夏季賞与:276,147円
・年末賞与:317,351円

社会保険料などは賞与にも掛かってきますので、それらを踏まえて再計算すると、

〇修正初任給
3,195,042(総支給額)-593,498(賞与)=
2,601,544÷12=216795.333333(円)

〇社会保険料などが引かれて残りが75%の場合
{3,195,042(総支給額)×0.75}-{593,498(賞与)×0.75}=
1,951,158÷12=162,596.5(円)

〇社会保険料など引かれて残りが85%の場合
{3,195,042(総支給額)×0.85}-{593,498(賞与)×0.85}=
2,211,312.4÷12=184,276.033333

以上より、初任給は約21. 7万円~であると推定できます。よって、一般の専門卒の21.2万円より、高いであろうことが伺えます。そのうち実際の手取り額は、約16. 2万円~であるということです。

初任給の違いはどのように生じるのか

専門卒の平均に比べれば柔整師の初任給が高そうですが、同じ医療系国家資格と比べたときはどうでしょうか?主な職業毎の初任給は、

・看護師(高卒+3年過程卒):月給263,711円(公益財団法人 日本看護協会より )
    (   大学    ):月給271,730円(公益財団法人 日本看護協会より )
・理学療法士        :月給214,632円(jobtagデータを加工して作成)
・作業療法士        :月給214,632円(jobtagデータを加工して作成)

御覧のように、柔整師の初任給は看護師を除き、他の医療系国家資格と大きく差はないことが分かります。看護師の初任給が高い理由としては、他の医療系国家資格よりも残業や夜勤が多いという点が考えられます。

また、看護師の就職先に関しても令和4年衛生行政報告例で分かるように、67.8%が病院であるとあり、その内、設置主体の53.3%が医療法人であり、許可病床数も100床以上が全体の73.9%を占めていると2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書にはあります。

このことからも、看護師の職場の多くが規模の多い企業団体であるため、福利厚生の面でも優れていることが予想されます。ちなみに設置主体毎と病床規模毎の平均給与額は以下のようになります。

高卒 大卒
国立 263,759 276,835
公立等 259,721 270,022
公的医療 258,201 268,282
社会保険 269,905 279,711
公益法人 263,468 271,090
医療法人 263,787 270,246
高卒 大卒
99床以下 260,559 267,500
100~199 261,954 269,253
200~299 263,585 270,810
300~399 268,330 278,238
400~499 270,566 279,854
500床以上 267,805 278,167

設置主体により1万円以上の差があり、中でも社会保険関係団体が高いのは国家公務員法に基づいた給与体系を採用していることが多いためと思われます。病床規模は500床までは給与平均は増加していますが、500床以上は低下しています。

これは、診療報酬改定の影響を受けやすくなるなどの経営上の観点と地方など設置地域の影響も強く受けているものと考えられます。このように、初任給にも施設形態や規模、地域によりばらつきがあることが分かります。

柔整師の初任給の格差

それでは、柔整師における初任給はどうでしょうか?まずは就労環境に関して調べてみると、厚労省の令和2年衛生行政報告には以下のようにあります。

・柔道整復師数:75,786人
・柔道整復の施術所:50,364か所

つまり、1か所の施術所につき約1. 5人の柔整師が在籍しているということになります。しかし、詳細な調査は公的機関では行われておらず、細かな就労先の職種割合は分かりません。一般的な認識として、柔整師の代表的な就労先と立場は以下のものです。

・接骨院:柔整師
・病院:みなしPT
・介護施設:機能訓練指導員
・他民間施設(リラクゼーションサロン、スポーツジムなど):施設スタッフ

ただ、先述の報告からも7割は接骨院であり、この背景には柔整師が医療系国家資格の中でも数少ない開業権を持つ資格であり、多くの柔整師が開業を目指す風潮があることからもこの割合は頷けます。

なぜなら、柔道整復施術療養費の受領委任を取り扱いは施術管理者の研修を受ける必要があり、その受講要件を満たすためにも接骨院への就職が求められるからです。

すると、柔整師の就職先の多くが接骨院であることが分かりましたが、この接骨院にも個人事業と法人の2つの事業形態があります。結論から言えば、半数以上が個人事業だと思われます。

というのも、法人化のタイミングは、多くの場合が所得税率の上がる売上500万円を超えたときか消費税納税の必要性が発生する売上1000万円を超えるタイミングだと言います。 公益社団法人 日本柔整師会の調査によると平成30年度の会員の売上高は、

・500万円未満:45.8%
・500万円超~1,000万円未満:32.3%
・1,000万円超~:21.9%

以上から、多くの施術所は小規模の個人事業と思われます。そのため、企業はスタッフに社会保険に加入させる義務もなく、福利厚生面でも病院職員に劣る可能性があります。

もう一点は地域性による初任給の差ですが、こちらも明確なデータはありません。jobtagの求人統計データには一部の地域のみ平均月額賃金が公表されており、そのうち下限額をその地域の初任給の平均額と仮定して以下の表にまとめました。

北海道 宮城 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉
月額 20.9 22 19.7 22.6 23 23.7 23.6
千葉 東京 神奈川 静岡 愛知 京都 大阪
月額 23 23.3 23.2 20.1 23.7 24 23.1
兵庫 和歌山 岡山 広島 愛媛 福岡 沖縄
月額 23.2 22.9 19.9 20 21.5 22.3 19.5

ここから推測できることは、

・物価水準:物価水準の高い東京、神奈川などは月額は高く、物価の低い地方は低い。
・医療需要及び競争率:施術所数の多い地域は需要が多いことと、一方で人材確保のために給与を高めに設定する可能性がある。

このように、柔整の世界にも市場原理が働いていることで、初任給にも差が生まれるものと考えられます。
 

忘れてはいけない確認ポイント

先程簡単に触れましたが、施術所のほとんどが日勤ですが接骨院での勤務時間は長くなる傾向にあるため、残業が発生しがちです。そこで確認する必要があるのが残業代です。

労働条件の中には、残業を前提とした契約もあります。法定労働時間を超えた分は、時間外労働として通常の1.25倍の賃金が発生しますが、「みなし残業」といって、ひと月当たり〇時間の時間外労働を前提に〇時間の1.25倍の賃金を事前に給与に含める場合です。

仮に、総支給額が20万円であったと求人情報に合っても、みなし残業が20時間あったとすれば(月の所定労働時間が160時間とします )、

基本給=総支給額/1+残業割増率×みなし残業時間÷所定労働時間
   =200,000/1+0.25×20÷160≒181,819

なども引かれての額なので、もっと下がります。基本給が低いということは、基本給を基に計算される賞与額が減るため、年収は大幅に下がります。上記の場合、夏と年末合わせて3か月とすれば、年間で5万円の差がつきます。

また、福利厚生も就職先を決めるときには大きな基準となります。従業員が5人以下の場合、個人事業主は社会保険への加入義務はありません。従業員にとっては、万が一のときの保証や老後の年金、また扶養家族の扱いが変わってきます。

それとは別に、法定外福利厚生の確認も必要です。法定外福利厚生とは、住宅手当や家賃補助、通勤費や食事補助、独自の健康補助や休業補助、提携施設の利用補助や資格所得補助、財形貯蓄など企業独自の制度やサービスのことです。

面白いものだと、知人の会社では書籍購入補助制度を設けています。ざっくりと説明すれば、実用書に限らず知識欲が満たされるもので、明確な購入理由を説明できれば会社が規定額まで書籍代金を補助してくれるというものです。

これらは、その企業の経営理念や経営者の哲学をよく現れる部分です。ただ、法定外なので企業に導入義務はありません。また、内容も社内規則を見ないと詳細は分からないため、面接時に確認を行う必要があります。

福利厚生も、自身の将来設計に影響を与えます。例えば、将来家庭を持ちたいと考えている場合、扶養に入れられる社会保険の方が保険料は少ないことが多いです。

前述の通り、加入する保険者によっても受けられる保証は変わります。例えば、急な病で仕事を休んでいる間の傷病手当金の給付額は、標準報酬の2/3と言われます。しかし、保険者によっては独自の保証で不足分の1/3補填するところもあります。

他にも住宅手当や通勤手当もとても助かります。事情で現在より職場から遠い場所に引っ越しをした際などに、通勤手当がないとそれだけ元の給与からの持ち出しが増えますが、通勤手当があれば手取り額は下がりません。

長期的な視点に立って、就職先を探すことが大切です。
  

 

新人柔道整復師の暮らしぶり

柔道整復師の初任給や手当について見てきましたが、それだけでは柔道整復師としての生活をイメージするのは難しいでしょう。そこで、具体的な生活風景について見ていきます。

初任給での暮らしぶり

柔整師の暮らしぶりを知るためには、まず基準が必要となります。

総務省の行った令和4年の家計調査年報で公表された、単身の34歳以下(平均年齢は27.1歳)の1か月あたりの収入と支出とその金額と、そのデータに対する柔整師の収入割合から消費支出などを以下の表にまとめました。

34歳以下(平均27.1歳) 柔整師の想定初任給
持ち家率(%) 4.4 持ち家率(%)
家賃支払っている(%) 83.2 家賃支払っている(%)
定期収入 279,593 定期収入 216,795
消費支出 160,919 消費支出 124,776
食料 35,014 食料 27,150
外食費 14,023 外食費 10,873
住居費 36,380 住居費 28,209
家賃 36,253 家賃 28,110
光熱・水道代 9,158 光熱・水道代 7,101
交通・通信費 20,756 交通・通信費 16,094
交通費 7,546 交通費 5,851
通信費 6,183 通信費 4,794
教養娯楽費 22,488 教養娯楽費 17,437
旅行等 14,409 旅行等 11,173
社会保険料など 57,491 社会保険料など(%) 0.15~0.25

右表は、あくまで収入割合から見た消費支出なので、生活するには一部苦しい金額の部分もあるかもしれません。しかし、双方の金額を見たときに皆さんはどう感じますか?

筆者の感覚からすると、十分余裕のある生活ができているように感じます。仮に左表と同水準の生活を行って消費支出が16万円でも、柔整師の初任給が約16.2万円なので±0です。

ただ、感じ方は人それぞれです。全く自炊をしない方からすると、この食費では無理です。左表でも外食込みで3.5万円ですが、全て外食で1食あたり500円、3食きっちり食べると食費は4.5円万です。

また、地域差は水道光熱費に反映します。各自治体で金額が違うのも含め、沖縄などの暑い地域は冷房の使用率が多いでしょうし、雪国は暖房費も入ってくるためです。

交通費もまちまちです。首都圏であれば公共機関が発達していますが、地方は自動車中心の生活が一般的です。ガソリン代以外にも、保険や定期的にやってくる車検や税金、雪国はスタッドレスタイヤの準備資金など大きな出費に備える必要があります。

通信費も筆者は概ね妥当と思います。格安SIMを活用することが前提なのでスマホ代が2,000円、自宅のインターネット使用料(集合住宅の場合)が4000円位で予算内です。

問題は趣味に掛ける金額ですが、個人の人生観によりますよね。ただ、毎月1.1万円~1.4万円の旅行代なので、年で13.2万円~16.8万円の予算です。2泊3日の韓国旅行ならば10万円から行けますので、筆者はまずまずだと思います。

これだけ使って、34歳以下程度の水準だと毎月の貯金はせいぜい2万円程度ですが、初任給の比率に合わせた生活に調整すれば6万円程度の貯金は可能となります。
 

平日の生活

どこにどの程度お金を掛けるかは人によりますし、生活感も人それぞれです。ただ、何の情報もないとイメージがわかないとも思います。そこで、筆者とその周辺の柔整師の入社当時の話を中心に語らせていただきます。

筆者は、事業仕分けだなんだかんだやっていた民主党政権時代に就職したのですが、別に景気が良かった記憶はありません。初任給は、地方ということもあってか 総支給額20万円程度だったかと思います。

それでも、近隣では儲かっていた接骨院だったので高めの給与設定だったはずです。接骨院にしては珍しく社宅があり、家賃は月3万円でした。木造の8帖1K、バス・トイレ付、ロフトもある部屋だったので、意外に広く感じる作りでした。

職場へは歩いて5分、最寄りの駅も5分の距離で立地の良いところでした。近くのスーパーも歩いて10分、途中にコンビニもあるため生活には苦労しない環境です。ただ、田舎なので車の必要性を感じ、後に車を買うことにはなりますが・・・

さて、日々のタイムスケジュールは以下となります。

8:00 開院
12:00 受付終了 休憩(1.5時間)
14:00 診療再開 
18:30 受付終了

出勤は早出、遅出のシフト制で、土曜日は午前中のみの診療でした。7時間勤務に1時間の固定残業、早出は7時30分出勤なので17時退勤、遅出は9時出勤の19時退勤です。ほとんどのスタッフが社宅に住んでいたこともあり、仲良く出勤したものです。

昼間は、診察と施術の嵐でてんてこ舞いです。そんな中、暇を見て研修を行う毎日。柔整の仕事は肉体労働と人の身体を扱う緊張でいっぱいいっぱい、そんな午前中でした。

お昼休憩は社内食堂や仕出し屋からお弁当を取っている接骨院もあるようですが、その接骨院は社宅が近いこともあり、皆それぞれ帰って休憩を取っていました。自炊派の筆者は、お昼が安く上がるので実に助かりました。

午後の診療は過酷でした。なぜなら、学生と仕事終わりのサラリーマンが集結する魔の夕方が待ち受けているからです。結果、早出はほぼ残業です。最後の患者をお帰しして、後片付けが終わるのは、20時近くということも。

そんな修羅場を乗り越えた先に待ち受けるのは、有志で行われる勉強会です。材料費などは会社の備品を使うことが許されていたので助かりますが、白熱するその会は時に2時間を超えることもざらにありました。

へとへとになって帰ると22時、これが大体の平日です。早出の場合、なんと14.5時間の拘束です。平日の楽しみと言えば、筆者は趣味がギター演奏だったのでビールをちびちびしながらギターをポロロンといった毎日でした。

他の同僚のところも大体同じだったようです。違いは、自炊中心か外食中心かの違いぐらいだったようです。
 

休日の生活

休日はどうであったかと言えば、筆者は1週間分の買いだめして作り置きと、溜まっていたお掃除をこなすような感じでした。まめな同僚は、入浴しながら掃除をしていたとか言っていたので、平日にも掃除は出来るんだと後に知りました。

あとは、ライブ観戦によく行っていました。夜行バスで行き帰りは安く抑え、宿は取らずに適当に観光して、疲れたらネットカフェで仮眠をとるなど。今思えば体力があったんだなと思う今日この頃です。

柔整師の平日は身体的にも精神的にも負荷が多いので、このように休日はリラックスした時間に使う人は多いです。もちろん、休日も自己研鑽に費やすこともあります。

各地で勉強会が定期的に行われていたりするので、遠征もしました。参加費は1万円位が多かったように思います。中には総額十数万円~数十万円の勉強会もありました。

他にも、トレーナーの先生の紹介などでスポーツ大会のブースに参加している同僚や自身が選手で参加している同僚もいました。さて、このような生活をしていた当時の筆者の支出の内訳は以下のようになります。

消費支出 108,000
食料 24,000
外食費 6,000
生活用品 5,000
家賃 30,000
光熱・水道代 12,000
交通・通信費 7,000
交通費 1,000
通信費 6,000
教養娯楽費 30,000
旅行等 20,000
社会保険料など(%) 0,15

20万円の収入だったので、手取りは17万円万円程だったかと思います。ですので、安定して5万円程は貯金に回せていたかと思います。4年後に結婚を機に転職するときの総支給額は約30万円、手取りで25万円だったかと思います。

しかし、車を買ったり、ギターを爆買いしたりと散財をしていたので貯金は100万円位だったはずです。みなさん、ご利用は計画的に。
  

収入をUPしていく方法

初任給の生活感は感じていただけたでしょうか?独身でかつ、贅沢をしなければ何不自由なく生活できる収入だと思います。余程の僻処でもない限り、コンビニやスーパーがあり、欲しいものはネット通販などで自宅に届けてくれます。

しかし、より良い生活を求めるのであれば心許ない収入です。家族ができたら不安な金額です。いくらあれば良いのかは、時期ごとに、個人の考え方によるとは思いますので言及はしませんが、将来を見据えて収入UPの方法について考えていきたいと思います。

まず、柔整師としての収入を分解して分析していきたいと思います。収入は基本給に加えて、資格手当、職責手当、歩合給、賞与などがあります。

・基本給:年齢、学歴、経験、能力などを基に企業が判断する給与のベースです。
・資格手当:企業が定めている特定の資格を有している場合に発生する手当です。
・職責手当:管理職などの職責に対して支払われる手当です。

・歩合給:仕事の成果や売上によって賃金を支払う給与体系で、「固定給+歩合給」と「完全歩合給」があります。
・賞与:定期給与とは別に支払われる給与で、多くの企業は夏季、年末の支給です。

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に転換させようという政府の方針もあるため、基本給の評価基準は今以上に能力面が重視されていくように感じます。基本給は賞与額にも影響を与え、能力評価は管理職へのチャンスにもなるので最重要ポイントです。

人事評価は自己評価、能力考課など様々ありますが、評価する側からすれば数値化できるものが最も評価し易いです。歩合給を導入している場合は、自身のリピーターや売上は評価の面でもアドバンテージになります。

一方で、他者評価に左右されづらくも資格さえ取得すれば以降の給与UPになり、技術や勤務態度などにも影響を与えるのが資格手当の良いところです。つまり、一にも二にもスキルUPが給与UPへの鍵だと言えます。

次に、別の切り口からの給与UPを考えると以下のものがあります。

・副業:他の接骨院、あるいは全くの異業種でのダブルワークです。時間調整と企業との調整が重要になります。
・独立開業:経営者として接骨院を経営することで、収入UPに繋げます。

副業は主に柔整の資格を活かす仕事か柔整とは関係のない仕事かになりますが、同業種同職種の場合は競業避止義務があるかもしれないので慎重になる必要があります。

副業と言っても、柔整師の養成学校講師や塾講師、インターネットを利用したビジネスなど様々あるので、広い視野から考えましょう。ただし、いずれの場合も本業を疎かにしないことと身体的、精神的ストレスへの対策も意識しましょう。

もう一方の独立開業は、ある種、柔整師皆の夢ですよね。経営次第では大きく儲けることができます。前述の通り、柔整師の2割は年売上が1000万円を超えています。ただ、初期投資が必要であることと、実際に開業しても業績が安定するかは分かりません。

以上を踏まえて、上手に収益UPさせましょう。
  

これから柔道整復師として働き始めるあなたへ

柔整師の生活を覗くと、苦労も多いですが、夢がないわけではないことが分かるのではないでしょうか?専門卒としては高給で、医療資格としても平均の初任給からも、その歳の平均的な生活をするには困らない水準です。

ただし、少数の施術所への勤務が一般的であるため福利厚生などの整備が整っておらず、そういった点で一般企業に劣ることも多いでしょう。拘束時間も長いのでワークライフバランスもとりづらいです。

しかし、自分の技術次第で患者の生活を改善し、感謝される仕事であり、自分の稼ぎも増やしていける仕事です。鍼灸の資格も取得して、施術の幅を広げることもできますし、アスレチックトレーナーの資格でスポーツの現場で活躍を目指すこともできます。

ケアマネージャーを介して介護施設への訪問治療や、自身がケアマネージャーの資格を取得してダブルワークも考えられます。やり方は千差万別、夢は無限大なのです。もし今就職を前にして思い悩んでいるのらば、今一度、理想の柔整師像を思い描いてみましょう。

Boy’s be anbitious!!
  

まとめ

柔整師の初任給は約21. 7万円で地域差によって±2.3万円、手取り額は約16.2~18. 4万円で地域差により±1.7万円です。この金額は専門卒の初任給の平均額より少し高く、同じ医療系国家資格の中では平均的な金額になります。

福利厚生に乏しく拘束時間が長い仕事ですが、全ては働き方次第。地域住民の健康を守るという使命とやりがいに溢れ、自身の技術次第では大きな収入も得られます。このように、柔整師の仕事には夢と希望でいっぱいです。

【参照URL】
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (9)新規学卒者の学歴別にみた賃金
一般社団法人 労務行政研究所 調査・研究報告 2023年度 新入社員の初任給調査
厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 柔道整復師
厚生労働省 厚生労働省法令等データベースサービス 柔道整復師法 (受験資格)第十二条
厚生労働省 令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
厚生労働省 令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
freee株式会社 手取り計算の方法とは? 早見表や収入から引かれる項目を紹介
厚生労働省 毎月勤労統計調査-令和元年9月分結果速報等
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和2年2月分結果速報等
公益財団法人 日本看護協会 看護職の給与に関するデータ
厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 理学療法士
厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 作業療法士
厚生労働省 令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
公益社団法人 日本看護協会 日本看護協会調査研究報告シリーズ 2022年 病院看護・助産実態調査 報告書
公益社団法人 日本看護協会 看護職の給与に関するデータ 自施設の看護職の賃金水準の確認に役立つデータ 2022年看護師の基本給与額・税込み給与総額のデータ
一般社団法人 日本運動器科学会資格取得研修会開催情報
公益社団法人 日本柔道整復師会 日本機能訓練指導員協会
公益社団法人 柔道整復研修試験財団 柔道整復師施術管理者研修
全国柔整鍼灸協同組合 【接骨院開業】個人開業と法人開業の違いとは?
厚生労働省 第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料
全国柔整鍼灸協同 都道府県別の柔道整復施術所(接骨院・整骨院)数について

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