鍼灸師に向いている?鍼灸師の適正と向いていない人の特徴
業界動向・知識
鍼灸師
自分は鍼灸師に向いているのか、実際に鍼灸師として働き続けることができる適性はあるのかが分からないと心配になってしまうものです。鍼灸師という職業は、一般的にイメージしづらいのも不安に思う要因のひとつとなっているかもしれません。
今回は、鍼灸師に向いている人の特徴や主な活動分野、鍼灸師としての適性をアップさせるために意識すると良い心構えなどをご紹介します。
鍼灸師に向いている人の特徴と適性
鍼灸師は、鍼やお灸を用いて治療を行う医療技術職のひとつで、国家試験を受けて合格した後に資格を得られる国家資格となっています。
自然な治療方法として近年注目が集まっている東洋医学のひとつである鍼灸では様々な分野で活躍が期待できますが、どのような人が向いているのでしょうか。
治療家としてのコミュニケーション能力
治療を行うためには鍼灸の技術が必要ですが、患者さんとのコミュニケーションを適切に行うことも重要な要素のひとつです。
鍼灸師は患者さんに対して、今はどのような状態なのか、今後どのような状態に導くことが理想なのか、など患者さんの気持ちを理解するために医療面接を行います。身体に辛い箇所がある患者さんに対して、共感(エンパシー)を行う能力を高めることも大切です。
東洋医学への興味と学びの姿勢
中国で生まれた東洋医学のひとつである鍼灸は、病気を未然に防ぐという未病治という概念があり、自然治癒力も高めると考えられています。なじみのある西洋医学では病気の治療が中心であり、生活習慣をはじめとした病気を防ぐという予防の側面にも重きを置かれるようになったのは比較的最近ですので、この辺の価値観はこれまで積み重ねてきた東洋医学では違うものがあります。
また、西洋医学よりも長い歴史を持つ東洋医学は、古い書物を参考にした鍼灸理論がベースとなっています。日々進化する鍼灸技術に対して、常に学び、興味を持ち続ける姿勢が重要です。
精密な技術と身体へのアプローチを支える冷静さ
鍼灸師は、鍼師と灸師という2つの別々の資格でなりたっていることから、それぞれの技術の習得が必要となり、また試験も別々に行われます。
少し大変に感じるかもしれませんが、2つの異なった技術を使い分けて、患者さんの主訴に対してアプローチを行うことができるのは魅力でもあります。
また、鍼灸施術の前には、四診と呼ばれる、望診、聞診、問診、切診で主訴を見極めることも大切です。
患者さんの状態を見極め、適切な手法で身体へアプローチするためには、知識や技術に加え冷静さも求められます。
鍼灸師としてのストレス耐性と心の準備
鍼灸師は患者さんと常に接することから、対人関係におけるストレスを感じやすい職業と言えるかもしれません。
そのため、人が好き、誰かのためになりたいという前向きな気持ちを持ち続けることが鍼灸師として活動することの基本となるでしょう。患者さんのためを考え行動した結果、喜んでもらえることは、最大のモチベーションアップになります。
長時間の立ち仕事に耐える体力
活動する分野にもよりますが、実は鍼灸師は立っている時間が長く、体力が求められます。加えて、患者さんの症状を和らげるための施術は思った以上に気力も消耗します。
鍼灸師は、患者さんに対してだけではなく、自分自身の体調に関してセルフマネジメントを慎重に行うことも重要な要素です。
鍼灸師に向いていない人もいる
鍼灸師に向いている人がいる一方、鍼灸師に向いていない人もいるかもしれません。
例えば、どのようなタイプの人が向いていないと言えるのでしょうか。また、どうすれば鍼灸師に向いている人になれるのでしょうか。
学習意欲がない
鍼灸師になるために学び、国家資格を受験して合格するまでの勉強量は想像以上に多いものです。また、鍼灸師の資格を取得して働き始めた後でも、鍼灸技術は日々進化するため学び続ける必要があります。
現代ではインターネットで情報収集を行うことができ、またデジタル媒体も身近になったことから、以前より手軽に素早く勉強することができる時代となりました。このような環境下において、少しずつでも学び続けるという意欲を持つことが出来ない人は鍼灸師に向いているとは言えないでしょう。
医療職としての自覚がない
鍼灸師は医療従事者のため、患者さんを取り巻くさまざまなリスクに対する危機管理も求められます。解剖生理学などの基本知識から東洋医学概論などの専門知識を用いるのはもちろん鍼や灸による感染症のリスクを認識しておく必要があります。これらリスクに対しての認識が甘い人は、鍼灸師に向いていると言えません。
普段の活動から鍼灸師であることを自覚し、常に患者さんのことを一番に考えて行動することで、医療人としての自覚を持ちやすくなるかもしれません。
鍼灸師の活躍が期待できる分野と職場環境
鍼灸師の活動範囲は、鍼灸院や鍼灸整骨院、一般的なクリニックや病院など多岐に渡ります。
主な鍼灸師が活躍できる分野
鍼灸院
鍼灸整骨院
病院やクリニック
介護や福祉施設
美容エステやサロン
ホテルのスパやサロン
スポーツトレーナーとして
出張治療
独立開業
近年では、スポーツトレーナーがプロスポーツ選手に鍼灸治療を行ったり、美容クリニックや美容サロンなどでも鍼灸施術が行われています。
また、中にはクルーズ船などに乗り込み、海外で活躍している鍼灸師もいます。さらに、今後需要が益々広がる介護や福祉現場においても鍼灸の必要性が高まると予想されます。
同じ施設形態でも職場や労働環境は全く違う
様々な分野で活動可能な鍼灸師ですが、働く職場や現場に左右されやすく、向き不向きも出やすくなるかもしれません。そのような時に、職場や環境を変えることができるのは、国家資格である鍼灸師の強みと言えるでしょう。
職場や環境によって鍼灸師の働き方は多様なため、自分に合う働き方を見つけることができるところは魅力のひとつです。一般的な会社員よりも、労働環境が幅広く、資格を持っていることで転職が有利になることもあります。
さらに、鍼灸師は独立開業も可能なため、将来は個人で鍼灸院を開業したり、出張治療を行うなど、自分自身で活躍の場を広げることも可能です。独立開業を目指す場合には、どのような分野で活動していきたいか、目標を持って鍼灸師としての経験を積むと良いでしょう。
鍼灸治療の効果と患者へのサポート
鍼灸師として一番やりがいを感じるのは、患者さんに、ありがとう、楽になったよ、またお願いしたい、と言われる瞬間です。患者さんをサポートしたいという思いや気持ちが伝わった瞬間は、鍼灸師としてかけがえのないものです。
認知度はまだまだ低いかもしれませんが、鍼灸は大変精密で奥が深く、効果も感じられる治療のひとつとして飽和状態の西洋医学の代替医療 として各方面から注目されています。
まとめ
鍼灸師になるまでの道のりは思った以上に長く大変なうえ、自分が本当に鍼灸師に向いているかどうか不安に思うことがあるかもしれません。
そんな時は、どのような鍼灸師になりたいか、どんな活動を行っていきたいかなどのビジョンを明確に持ちながら勉強を進めていくと良いでしょう。
今はビジョンがはっきり分からない、決まっていないという場合でも、人のために役立ちたい、喜んでもらいたい、という思いや気持ちを持つだけでも十分に鍼灸師としての適性がアップするでしょう。
選択肢が多く、様々な活躍が期待できる鍼灸師を目指すため、今まず何をすべきか考えてみてはいかがでしょうか。