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鍼灸師の離職率を徹底解説!辞めてしまう理由と実態

鍼灸師を目指しても長く続けていけるのか、と不安に思う方は少なくありません。

また、「鍼灸師として働いているけれど他業界に転職したい」と自分で決めて入ったはずの鍼灸業界は、本当に正しい選択かどうか悩んでいる鍼灸師は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、そんな鍼灸師業界の離職率の実態やその理由、どのようにすれば離職につながらないようにできるかなどについて解説します。

鍼灸師の離職率は高い?その実態について

正確なデータはありませんが、一般的に鍼灸師の離職率はおよそ3割程度ではないかと言われています。少なくとも私の実体験や友人から話を聞く限りだと、3~4割のイメージです。

鍼灸師に特化したものはありませんが、厚生労働省が発表している「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」では、3年以内の全業界の離職率が発表されています。

そのデータによると、全業種の3年以内の離職率は高校卒業で35.9%、短大等卒業が41.9%、大学卒業はで31.5%となっています。

鍼灸師は医療、福祉業界に分類されますが、新規学卒就職者の3年以内離職率は大学卒業で38.6%と(TOP4) となっており、離職率の高い業種としてTOP5にランクインしています。

新卒かつ医療・福祉業界という少し大きな括りではありますが、私の体感値とも大きくずれておらず、イメージとして3~4割ほどと思っておけば良いでしょう。

 

鍼灸師の離職率が高いと言われる理由

その他の医療・福祉業界と大きな差はないと思いますが、鍼灸師の離職率は高いというイメージがあるかもしれません。ここでは、私なりに鍼灸師の離職率は高いと言われる理由についてご紹介していきます。

鍼灸師の離職率について鍼灸師はどう考えているか

そもそも医療・福祉業界の離職率が高いため、鍼灸師も他業界から見ると離職率は高い傾向があると言われるのだと考えています。

また、働く中で「この業界は人手不足だ」とぼやく声も耳にするため、離職率とは少しずれてしまいますが、人の定着という視点で考えてみると良い業界ではないのかもしれません。実際、スキルアップの観点から職場に不満がなくても転職する鍼灸師も少なくありませんが、鍼灸師という職業から離れて別分野に転職してしまう人もいます

鍼灸師の職業特性

鍼灸師はひとつの職場で20年、30年、定年まで勤続する、というのが通常ということではなく、ステップアップや開業を目指して様々な事業所を経験する傾向にあります。近年はどの業界も同じような傾向にあると感じますが、鍼灸師はその傾向が強いと考えています。

例えば、新卒で鍼灸院に就職して3年間働いた後に、スポーツトレーナーになるための転職を行うということが、よく行われます。

自分自身の目標設定が明確にある場合には違和感がないかもしれませんが、ない場合にはその文化が受け入れられず、続けることが難しいと感じることもあるかもしれません。

給与や待遇の問題

鍼灸院は個人経営が多く、一般的な大企業と違って給与などの待遇面、福利厚生面では決して優れているとは言えないこともあります。

鍼灸師という職業自体は続けたくても、給与や待遇が理由で離職するということも起き得ます。

人間関係やストレス

鍼灸師が関わるのは主に患者さんであるため、人間関係のストレスを感じやすい職業であると言えます。痛みや苦しみを抱えている患者さんへの対応は思った以上に大変で、鍼灸師自身も心身ともに疲労を感じやすいものです。

もちろん、鍼灸院やクリニックなどやとわれとして働く場合には、職場で働く上司や同僚などの対人関係もありますので、実際の業務内容に加えて、職場での人間関係によるストレスが原因での離職もあると考えることもできます。

専門性やキャリアパスの不明瞭さ

鍼灸師は、病院やクリニック、鍼灸院や鍼灸整骨院、スポーツや美容など様々な業界で活動することが可能です。

キャリアの選択肢が広がっている分、自分自身で明確なビジョンを持って行動しない限りは、専門性やキャリアパスに限界を感じてしまうかもしれません。

就職時のミスマッチを下げる方法

最後に、不要な離職リスクを避けるためのミスマッチの防ぎ方についてみていきましょう。

職場環境の確認

職場環境は資料を見ているだけではわかりません。実際に就職を希望する鍼灸院など就職訪問を行うことで、実際に就職した際に自分が働く環境を確認することが出来ます。

また学校の先輩が就職していたらお話を聞いてみるなど、不安に思う点は事前に解決しておくことで、「辞めたいな。想像していたのと違うな。」といったギャップを埋めることが出来るでしょう。

給与や待遇の確認

実際の勤務時間、残業時間数、社会保険加入の有無、賞与実績、有休消化率等…
働くにあたり自分ではどうしようもできない周辺要因はたくさんあります。

一人でも困っている人を目の前にしたときに何とかしてあげたいと思うのは治療家として大切なことです。そのためにも、まずは自分が十分納得して働くことが出来るのかどうかは大切なことです。

最近では週4か週5かの勤務形態を選ぶことができる、リフレッシュ休暇・アニバーサリー休暇などを取得することができるといった企業も増えてきています。

そうした制度を事前に確認し、どのような働き方が自分に合っているのかを想像しておくことで、「思っていたのと違う」を避けることが出来るでしょう。

教育や研修の充実

鍼灸師は医療技術職のひとつとして長い歴史があります。憧れの先生に直接教えてもらうなど弟子入りを行うようなイメージもあり、時には厳しく指導されることもあることから、現代社会では良し悪しがあるかもしれません。

また鍼灸師という職業は一生学ぶ姿勢が必要です。鍼灸院などの職場で過ごす時間は大きなウェイトを占めることから、その場で得られる経験や学びが多いと、鍼灸師自身のプラス要素となります。

鍼灸施術に関する勉強会が企画されているのか、接客対応を行ううえで必要な知識など研修の時間はどれぐらい準備されているのかを知ることは、新人の自分が、鍼灸師として長く働きたいと思えるきっかけの一つの要素になりうるかもしれません。

まとめ

今、鍼灸師を目指しているけれど離職率は高いのではないか、あるいは鍼灸師として就職したけれど辞めたいと不安に思うこともあるかもしれません。実際にはどの業界でも3割ほどは離職しており、鍼灸師の離職率だけが際立って高いということではなさそうです。

鍼灸師は、長くひとつの職場で働くこともありますが、経験を積んだ後は独立することもあります。定年まで勤続するということは非常に少なく、キャリアアップやステップアップを目指す性質があるため、離職率だけで考えることが難しいのが実情です。鍼灸師自体が自分に合う職業であるかの見極めを行い、自分に合う良い職場を探すことで、不可抗力による離職を防ぐことにつながります。時間をかけてじっくりと考えるようにしましょう。

【参照URL】
新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)

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