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鍼灸師のスキルアップと資格~鍼灸師の成長戦略~

鍼灸師の資格を取得したいと考え学校に通い、無事に取得して鍼灸師として働き始めると、鍼灸師の資格だけではなく他の資格やスキルを得て、さらに深く患者さんのために活かしたいと思うことは多いものです。

実際に現場で活動していると、鍼灸師の資格だけではなく、別の資格を複数所持している鍼灸師も少なくありません。今回は、鍼灸の施術に取り入れることで相乗効果の期待できる、おすすめの資格やスキルについてご紹介します。

鍼灸師の基本的なスキル

鍼灸師は、医師や看護師などと同じ国家資格である医療技術職のひとつです。主に鍼や灸を駆使して、患者さんが抱える痛みなどの悩みにアプローチして改善を目指すことが大きな役割となっています。

 

鍼灸の基本技術

中国で発祥した長い歴史を持つ東洋医学は、西洋医学が急速に発達する前まで、医療として重要な位置付けとなっていました。

画像診断などが行える精密機器がない時代から、患者さんに対して四診と呼ばれる問診で現状を診断し、体のあらゆる場所に広がる経絡やその上にあるツボを使用して改善に努めていました。

長年、鍼灸施術や効果にはエビデンスが乏しいと言われていましたが、現在ではその効果について研究が盛んに行われています。頸部痛や腰痛、頭痛などの痛みに対して有効とされる可能性が明らかにされつつあります。

観察力と治療計画の立案

鍼灸師に最も必要なスキルのひとつは観察力です。患者さんをしっかりと観察し、抱えている問題点の見極めを確実に行うことができないと、治療を行うことはできません。

また病院において診断を受けてから鍼灸治療を希望する患者さんには、それに加えて陰陽論や気・血・水といった東洋医学を用いることもあります。

それらをもとに治療方法を考え、どの経絡やツボを使用するか決めた上でアプローチを行います。

鍼灸や東洋医学に関する知識だけでも十分に治療を行うことはできますが、鍼灸以外の様々な知識を用いてアプローチも行うことで、適応範囲を増やすことができ、患者さんに喜んでいただくことにつながります。

鍼灸師のスキルアップにおすすめの資格とキャリア

ここからは、鍼灸師としてさらにスキルアップするためにおすすめの資格やキャリアアップ方法をご紹介いたします。

おすすめのスキルアップの資格8選

鍼灸師は、主に人体の体を取り扱う職業です。そのため、おすすめなのは鍼灸師と同じ医療系の国家資格、セラピーなどのリラクゼーション資格、海外では国家資格である医療として考えられている資格です。

鍼灸師におすすめの国家資格
 柔道整復師
 あん摩指圧マッサージ師

鍼灸師におすすめの民間資格
 アロマセラピー
 カイロプラクティック
 オステオパシー
 キネネシオロジー
 エステティシャン
 スポーツトレーナー

鍼灸師が取得する資格として最もおすすめなのは、柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師の資格です。共に鍼灸師と同様の国家資格であること、資格取得までに必要な要素が鍼灸師と近いことから、取り組みやすく患者さんの信頼度も高まりやすいです。

日本では国家資格は鍼灸師のほか、医師、看護師、美容師、調理師など多岐に渡りますが、身体を取り扱う国家資格は非常に少なく、民間資格が多い傾向があります。民間資格は、日本国内では理論、制度などが確立されていないため、慎重に調べて資格取得などを行う必要があります。

これらの資格に関して日本では民間資格であるが、海外では国家資格とされているものもあります。中には大学などで4年間理論や養成講座を受ける必要がある資格もあります。これらの課程に所属し学び理論を知ることは鍼灸師としてのスキルアップにもつながるでしょう。

また、美容鍼灸に応用可能な美容の資格を取得したり、スポーツやスポーツ障害に特化した資格を取得するなど、必要な資格を学ぶことは適切なスキルアップに繋がり、描くキャリアに近づく一歩になるでしょう。

資格取得を通じたキャリアアップの可能性

鍼灸師が、鍼灸師以外の医療資格を持つことで、治療のためのアプローチ方法が広がるため、適応範囲が広がります。例えば、あん摩指圧マッサージ師の資格を持つことで、鍼、灸に加えて、マッサージや指圧などへ、症状によって治療方法をスイッチすることが可能になります。

国家資格ではないものの、カイロプラクティックやキネオロジーの知識を学ぶことは、より深く骨や筋肉の動きを理解して施術することに繋がります。

まだまだ敷居が高いイメージのある鍼灸ですが、美容やアロマなどを一緒に打ち出すことで、若い人でも鍼灸に触れてもらえる可能性が高まります。また、鍼灸師の資格を持つスポーツトレーナーであれば、国家資格保持者としての知識を駆使することができるため、信頼度が高まります。

資格以外のスキルアップの方法

鍼灸師のスキルアップにおすすめなのは資格取得だけではありません。鍼灸師は医療技術職のひとつですが、同時に患者さんの対応が中心の接客業と言っても過言ではないでしょう。

そのため、接客に関するスキルやマナー、心理学などのセミナーは鍼灸師の仕事に活かしやすいのでおすすめです。鍼灸師としての技術に加え、患者さんから選ばれる鍼灸師となるためにも、鍼灸院などに来院される時間を快適に過ごしてもらえるよう考えて学ぶと良いでしょう。

近い将来、独立開業を考えているならば、経営やお金に関するセミナーに参加するなどして準備を進めておくとスムーズです。

鍼灸師のスキルアップの重要性

鍼灸師、鍼灸院の数は年々増加しています。他の鍼灸師や鍼灸院のほか、他の治療院やリラクゼーションサロンなどと差別化を図るためには、ひとつの資格だけにとどまらず、多角的な治療方法を提案していくことが重要になります。

患者さんを確保するうえで各治療院がしのぎを削っている状況では、画期的なサービスが生まれやすく、患者さんの期待値も自ずと高まっていきます。そのなかで、患者さんに鍼灸の技術力以外の部分で還元することができれば、多くの患者さん獲得へ大きなステップアップにつながるでしょう。

例えば、エステの民間資格を取得することで、年々需要が高まっている美容鍼灸を行うことができ、新規顧客の開拓につながります。スポーツトレーナーに関する資格やキャリアを得ることで、近隣のサッカークラブに帯同したり、治療院でスポーツに関連する障害の施術を行うということも期待できます。

まとめ

鍼灸師が、鍼灸以外の資格を持ったり、スキルアップを行うことは患者さんの満足感の高まりにつながり、鍼灸師や鍼灸院の数が増えて競争が激化するなかで、大きな強みとなります。

鍼灸師の資格取得だけでも大変ではありますが、先を見据えて他の資格取得を目指したり、セミナーに参加するなどして、自身のスキルアップを行うようにしましょう。資格取得やセミナー参加は、すぐに活用できる知識もあるため、思い立ったら早めに行動をして学ぶことがおすすめです。

様々なジャンルの資格を取得することは、鍼灸師としてだけの活動よりも治療方法の幅が広がり、治療家としての自信にもつながります。患者さんに対してのアプローチ方法にバリエーションが生まれることで良い治療を行い、喜んでもらえることを目指して、ぜひ鍼灸師以外の資格取得を検討してみてください。

【参照URL】
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

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