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理学療法士と柔道整復師はどっちがいい?独立を目指すなら柔整一択の理由

患者様の治療に手技を用いる医療資格として、柔道整復師とよく比較されるのが理学療法士です。柔道整復師と理学療法士には共通点もありますが、具体的な業務内容や医師の指示が必要か不要など、異なる部分も多々あります。また、それぞれの一番の違いは「独立開業の可否」にあります。理学療法士との仕事や働く環境の違いやそれぞれのキャリアパスなどを理解し、柔道整復師として活躍していく具体的な道筋を立ててみましょう。

柔道整復師と理学療法士の違い

はじめに、柔道整復師と理学療法士の違いについて説明します。それぞれどのような業務を行うのか、詳しく見ていきましょう。

柔道整復師の仕事は「けがの治療」が主

柔道整復師は柔道整復術を用いて、投薬せず骨折や脱臼、打撲、捻挫などのケガに対して治療を行います。医師の指示がなくとも自分の判断で患者の治療にあたれるのが特徴です。

▽柔道整復師の「けがの治療」の特徴

  • 非観血的療法(出血を伴わない内科的治療)による治療が可能
    (整復法、固定法などのほか、低周波・超音波などによる物理療法、運動療法など)
  • 医師の指示なく治療を行える

理学療法士の仕事は「リハビリ」が主

理学療法士は、病気や事故によって障害を受けた人に対して、筋力トレーニングや歩行訓練・関節稼働領域訓練などのリハビリや電気刺激による物理療法などを行います。理学療法士は医師の指示に従って各種施術を行います。なお、柔道整復師のように、自分の診察、診断により患者を治療することはできません。

▽理学療法士の施術の特徴

  • 医師の指示が必要
  • リハビリが主
  • 運動療法、マッサージ、電気刺激などで治療を行う

柔道整復師と理学療法士の働く職場の違い

柔道整復師と理学療法士は、活躍する場所にも違いがあります。

▽柔道整復師と理学療法士の働く場所の比較

柔道整復師が働く主な場所 理学療法士が働く主な場所
・整骨院
・接骨院
・整形外科
・リハビリテーション科
・スポーツジム
・スポーツチーム
・介護老人保健施設
・デイサービス等通所施設
・独立開業(整骨院、接骨院等)
・整形外科
・リハビリテーション科
・介護老人保健施設
・障害者通所施設
・地方自治体の介護課
・保健センター

柔道整復師は、治療院、病院やスポーツ関連施設、介護施設に就職するほか、独立開業が可能です。対して理学療法士は、病院や介護施設、行政などに就職できます。理学療法士は開業ができないため、基本的に医療施設等で働くかたちとなります。

柔道整復師と理学療法士の資格取得について

柔道整復師と理学療法士はどちらも医療系の国家資格です。柔道整復師、理学療法士ともに、資格を取得するには、受験資格を得られる養成学校や短大、大学に3年以上通う必要があります。

どちらの資格でも、解剖学や生理学、運動学などについて深く学びます。

柔道整復師と理学療法士の国家試験の合格率の違い

柔道整復師と理学療法士の国家試験の受験者数と合格率を比較してみましょう。

▽柔道整復師と理学療法士の国家試験合格率(2021年実施)

受験者数 合格率
柔道整復師 4,561人 66.0%
理学療法士 1万1,946人 79.0%

引用:厚生労働省「国家試験合格発表について」より編集部作成

受験者数は、理学療法士が柔道整復師の2倍以上多く、合格率も理学療法士のほうが高くなっています。受験者数の多さと合格率の高さから見て、国家試験の難易度は柔道整復師のほうが高いといえるでしょう。

柔道整復師と理学療法士の待遇・キャリアパス

柔道整復師と理学療法士は、活躍する場所の違いから待遇やキャリアパスにも違いがあります。

柔道整復師は個人で経営している整骨院や接骨院などに就職する人も少なくありません。個人院では規模にばらつきがあることから、給与その他の待遇が治療院によって大きく異なることがあります。

厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、柔道整復師の就業者数は全国で11万9,920人、平均年収は426万4,000円です。

理学療法士は病院や介護施設に就職することが多いため、給与は比較的安定しています。同じく厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、理学療法士の就業者数は全国で14万3,490人、平均年収は418万9,000円です。

受験者数は理学療法士のほうが2倍以上多いにもかかわらず就業者数にそれほど開きがないのは、柔道整復師は独立・開業している人が多いことが考えられます。独立して個人院を経営している場合、定年制は採用されないケースが多いでしょう。そのため、就業者の平均年齢は柔道整復師が38.1歳なのに対し、理学療法士は33.9歳と5歳ほど若くなっています。

病院や介護施設、行政などが主な勤務先となる理学療法士は、勤務を通じてのキャリアとなることがほとんどです。具体的には社内で管理職を目指す、専門性を高めてスペシャリストとして活躍するなどに限られてきます。

対して、介護施設や病院に勤めるほか、メディカルトレーナーやスポーツトレーナーなどを目指すことも可能です。加えて独立開業可能なため、柔道整復師のほうが幅広いキャリアを選べるといえるでしょう。

まとめ:将来性を考えると、やっぱり柔道整復師

柔道整復師と理学療法士は、似ているようでまったく異なる資格です。理学療法士は勤務先によって安定した給与を得られますが、キャリアに幅があまりありません。柔道整復師であれば、治療院への勤務はもちろん開業も可能ですので、柔道整復師のほうがキャリアの選択肢が多く、より幅広く活躍できる可能性があります。

人生100年時代、独立開業可能で年齢に関わらず働ける柔道整復師のほうが、理学療法士に比べ将来性が高いといえそうです。

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