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海外で輝く柔道整復師!国際的なキャリアを築くプランとスキル

未知の地で新たな挑戦に身を投じ、世界中の健康とパフォーマンスの向上に尽力する――柔道整復師(柔整師)が描く未来の可能性を冒険への一歩と捉えてみましょう。国内での基礎を築き、一歩を踏み出せば、そこには海外での活躍が待っています。

オリンピックの舞台裏でアスリートのケアを担当し、国際的なスポーツ大会に貢献することも夢ではありません。あるいは、異文化の医療機関で日本の医療技術を発揮し地域社会と深く結びつくことや、国籍を超えスポーツや医療の分野で国際的なリーダーシップを発揮する――

そんな可能性が待っています。今回は具体的な事例を交えつつ柔整師がどのようにして海外で輝けるか、そのプランとスキルに焦点を当て未来の冒険への一歩を踏み出すための手引きを提供します。

柔道整復師資格の取得と海外勤務に向けて

柔整師として国際的な舞台で活躍するためには、まず国内での基本的な資格取得が欠かせません。このプロセスは以下のステップに分かれます。

①専門課程の修了と国家資格の取得

柔整師になるには、専門学校や大学で提供されている柔道整復学科に進学し、3年以上専門的な知識や技術(柔道整復学、解剖学、生理学、リハビリテーションなど)の修得に励み、柔道整復技術を学ぶ必要があります。

最終的に柔整師国家試験に合格することで日本国内において柔整師として活動が可能となります。

②国内実務経験の積み重ね

資格取得後は、国内での臨床実務経験を積み重ねることが大切です。患者とのコミュニケーションや実践的な治療経験を通じて自身のスキルを磨き、一定の知識と技術、経験を習得することで柔整師としての基盤を築きます。

③専門的なスキルの向上と国際的な視野の拡充

国内での実務経験を積んだら、海外での活躍に向けて特定の分野での専門的なスキルを磨き、国際的な視野を広げることが重要です。

言語スキルを向上させ、異文化への適応力も培います。これによって、国際的なステージでのキャリアに備えます。

この他にも、各国の商習慣や法規制も把握しておきましょう。
このプロセスは柔整師として国際的な舞台で活躍するために必要となる前提の情報です。

 

海外で働くための準備と資格

未知の医療環境に挑むのは不安も多いでしょう。そこで、言語スキルや地域に適した資格取得、異文化への対応力などの必須スキルを紐解き、世界で輝くための具体的な準備について深く探ります。

言語スキルの重要性

異なる国で治療を行う柔整師にとって、まずぶち当たるのが言葉の壁です。的確なコミュニケーションは、治療の基盤として患者との信頼関係を築くために不可欠です。

特に英語の習得は国際的な舞台でのキャリアを広げる重要なスキルであり、柔整師が患者との円滑な対話や治療計画の共有において自信を持ち、成功への道を切り拓く助けとなります。

地域に応じた資格の取得

柔整師が異なる国で活動するには、その国の法令や規制に従う必要があります。例えば、米国において日本国内のように医療従事者として活動は出来ません。

活動を検討する国家の制度に照らし合わせて必要な条件や資格を満たし、柔整師として活動していくことの柔軟性が求められます。

柔道整復師として海外で活動する

柔整師資格は日本国のみで認められた国家資格であり、残念ながら世界各国共通で認識された資格ではありません。一部の国においては限られた条件下で、民間資格として柔整師資格が認められ業務が可能な場合がありますが、国や地域によってその有効範囲も異なってきます。

柔整師が他国で業務を行う際には、その国の法的要件を正確に理解し、必要な資格や許可を取得することが必要です。

一方で、日本国内において柔整師は広く普及していることからも高度な技術や知識を身につけていることは事実であり、海外でも高いレベルの治療を提供することができます。また、海外では日本よりも高額な報酬を得ることができる場合もあり、経済的なメリットもあります。

様々な国や地域の人々と出会い、治療の経験や知識を広げることができる海外活動は、柔整師のやりがいと自信に繋がることでしょう。

柔道整復師としての知識を応用して海外で活動する

上述しましたが、柔整師資格は日本国のみで認められた資格です。

海外において日本国内と同様の医療国家資格者として活動することを目指すとした際に、例えばNATA-ATC やカイロプラクティック資格などは米国では広く国家資格として普及しており、州毎にではありますが資格を取得することで医療行為が可能となります。

こういったことは米国に限ったことではなく、オーストラリアではカイロ以外にもオステオパシーなどが国家資格として普及しています。

柔道整復術は日本独自の技術であり、海外ではまだあまり知られていないため、新たな市場やニーズを開拓することができます。現地での活動資格さえ取得できれば、現地の他の治療家との差別化を図ることが期待できます。

柔道整復師として海外で活躍するための基本

国内とは異なるスキルや役割に焦点を当て、海外での活躍に向けた準備と期待される柔整師の基本を探ります。

日本と同じ?まずは抑えておきたい柔整師の基本

海外での成功に向け、柔整師は日本国内で培った知識、技術、経験を現地で活かす必要があります。特に解剖学や生理学の堅固な理解は治療の根幹です。さらには豊かなコミュニケーション能力は異文化での対応力を高め、患者との信頼関係を築く鍵となります。

現地の文化を重んじ、それぞれの地域に応じた柔軟な姿勢が、国際的な舞台で柔整師として輝くための礎です。

海外での柔道整復師の役割

国によって求められる役割は大きく変わりますが、日本の柔整師が海外で活躍した例をもとに、どのような役割が求められたかを見ていきましょう。

2001年、WHO発行「伝統医療と相補・代替医療に関する報告」にて日本の伝統医療として柔道整復師が世界に紹介されました。これは、柔整師の国際化のきっかけとなりました。

平成18年から28年、独立行政法人国際協力機構(JICA)の活動として日本の柔道整復術をモンゴルで普及させる教育プロジェクトが進められ、モンゴル国内の教育機関で柔道整復術を身に着けるコースも新設されました。

この背景には、モンゴル国内での骨折、脱臼などの外傷への治療ニーズがあり、特に地方での医療人材の不足や医療知識の不足に起因します。こういった医療の乏しい地域での柔整の期待は高まっています。国際的な柔道整復術の普及活動は直近では、2023年のベトナムでも行われています。

このように、アスリートのケアやリハビリテーションにおいて専門的な知識の他にも、柔道整復師はオリンピックや医療技術の普及などの国際的な場面で活躍し、選手や国を越えて患者の身体の回復や健康維持に貢献しています。

国際的なキャリアを築くためのヒント

異文化で柔整師として輝くためには、豊かで国際的な視野が欠かせません。前述の通り、まずは言語のスキル向上と海外の生の情報を把握するために、オンラインプラットフォームや言語交換アプリを活用し様々な国の同業者と交流しましょう。

国際的なネットワークを構築する方法として、政府や公的団体の活動に参加するというものがあります。また、異文化に適応する力を高めるために、国内外での研修プログラムや留学も検討してみましょう。

国際キャリア総合情報サイトの「PARTNER 」を活用すれば、JICAだけではなく幅広い機関の情報や募集が見つけられます。

また、スポーツトレーナーとしての活動を想定しているのであれば、やはり必要資格の確認を進めることです。NATA-ATCなどは、広く欧米では国家資格として認められているので取得も検討しましょう。

ただ、あくまで柔整師としてのアイデンティティを持ちながら、異なる文化や価値観を尊重する姿勢が国際的な舞台での成功に繋がると思います。柔整師としてのグローバルなキャリアを築くためには、学び、交流し、適応することが不可欠です。

海外における柔整師の需要

WHOにてJudoTherapyとして世界に紹介された柔整師ですが、世界での認知度はまだまだ低いのが現状です。現在までに国際活動を行ったモンゴルやベトナムと、そのほかの国や地域とでは、柔整師のニーズ差は顕著です。

しかし、決してニーズがないというわけではなく、近年のグローバルな健康志向の高まりに伴い、運動等に付随したスポーツ外傷において海外での柔整師の潜在的需要は確実にあると考えられます。

医療の普及が乏しい地域での柔整師のニーズは間違いなくあるでしょうし、欧米諸国でもスポーツやフィットネス、健康増進の分野にはチャンスがあると思います。

スポーツトレーナーというと、日本では未だにスポーツジムのスタッフからアスリートの専属トレーナーまで混同されて認識されるくらいの状況ではありますが、前述の通り、欧米でのアスレチックトレーナーの地位は高く国家資格として扱われます。

我々は世界から見れば民間資格の扱いかもしれませんが、柔整師は外傷性が明らかな損傷において整復・固定法を施す行うスペシャリストであり、それは国を超えても変わらない事実です。この技術は海外のスポーツトレーナーと差別化できるポイントになると私は信じています。

海外で柔整師として活躍するためには、地域のニーズに敏感であり柔軟かつ国際的な視野を持つことが不可欠です。地域ごとに異なる患者の期待や文化的な背景に適応し、その地域において不可欠な医療提供者として認知されるよう努めることが成功への一翼を担うでしょう。

海外で活躍する柔道整復師の事例

筆者の知人は当時インドプロサッカーリーグで活躍していた日本人選手であり、大学卒業後にインドのプロチームからのオファーがあり渡印しましたが、不慣れな気候風土に当初苦労していたそうです。

そんなときに出会ったのが、スポーツトレーナーとして活躍する柔整師だったそうです。健康管理やケガの予防、体作りなどの他に、知人に地元の言語や文化を紹介を行ったり、他の選手たちとの信頼関係を築く中での橋渡しなどを行ってくれたらしく、心理面でも不可欠な存在となったようです。

異なる環境においても、柔道整復のスキルを中心としたアプローチと患者やクライアントに寄り添う精神を大切にできるならば、国際的な舞台でも活躍が可能だと感じます。

まとめ

柔整師としてのキャリアを国際的に広げるには、柔軟性、継続的な学びの意欲、異文化への理解が鍵です。海外での活動は新たな挑戦を意味し、そこから得られる経験は豊かな成長をもたらします。

未知の医療環境で柔道整復のスキルを発揮し、異なる背景を持つ患者に対応する中で自身も専門性を高めていくことが期待されます。柔整師としての旅路を楽しみ、国際的な舞台で輝く未来へ向けて積極的に前進していきましょう。

  

【参照URL】
厚生労働省 第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料 柔道整復師について
公益財団法人 国際医療技術財団 活動内容 柔道整復医療の国際貢献&海外展開
JATO JATOとはNATA/ATCとは
厚生労働省 『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』海外の情報 カイロプラクティック
日本オステオパシー学会
外務省 ODA(政府開発援助) モンゴル 約束状況 平成18〜20年
公益社団法人 日本柔道整復師会 国際活動
独立行政法人 国際協力機構草の根技術協力事業 草の根パートナー型 2019年度第1回採択 柔道整復術普及事業 ~手術を必要としない外傷治療技術(保存療法)で保健サービスを改善~
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