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柔道整復師の「就職先」11のパターンを徹底解説!

治療家業界に特化した就職・転職支援サービスとして、業界最大級のウィルワンエージェントで、学生を専門に就職サポートを行うキャリアパートナーの山田さんにお話を伺いました。

記事を書いた人

山田 陽

株式会社エス・エム・エス ウィルワンエージェント キャリアパートナー
柔道整復師 帝京平成大学卒業
 
高校までクラブのサッカーチームに所属。サッカーをプレーする中で多くの怪我に見舞われ、「怪我の予防・選手の怪我に寄り添える治療家になりたい」と考えて柔道整復師資格を取得。
現在は治療家業界に就職をする学生に向けて、自身の経験や業界の市況を伝え、有資格者がキャリアについて悩むことがないよう就職活動のサポートをしている。

昨今、柔道整復師の活躍の場が広がっています。柔道整復師の資格を所有する人は、捻挫や骨折の治療ができ、さらにリハビリに対する知識とスキルも有しています。
今回は、接骨院・整骨院以外に広がる柔道整復師のニーズと、就職先として考えられる11のパターンを徹底解説します。

日本社会の高齢化で高まる柔道整復師のニーズ

柔道整復師は骨折や脱臼などの外傷の治療にあたるだけでなく、リハビリなど機能訓練のサポートも可能です。そのため整骨院や接骨院だけでなく、さまざまな場でその役割が求められています。

日本は超高齢化社会を迎え、介護分野においても柔道整復師は重宝されるようになってきました。高齢になると身体能力や筋力が低下し、これまでできていた動作が難しくなることも増えてきます。
また、近年は高齢者が要介護状態になるのを防ぐ「介護予防」に社会全体で力を入れています。
そんなとき、専門的な提案をできる存在が柔道整復師なのです。

外傷の治療や機能回復、リハビリを担える柔道整復師の活躍の場はまだまだ増えていくと考えられます。

柔道整復師の就職先は多岐にわたり、さまざまな業界でその知識やスキルが求められています。

柔道整復師には具体的にどのような就職先があるのでしょうか。早速、10のパターンをみていきましょう。

柔道整復師の就職先1:整骨院・接骨院

整骨院や接骨院はもっとも一般的で、採用枠も大きい就職先です。
急性の外傷でもある骨折や脱臼、ねんざなどの外傷に対し手技を使って治療する保険診療だけでなく、近年は肩こりや腰痛など慢性的な症状に対した施術、ダイエットのサポートなどの自由診療を取り入れる院も増えてきています。
一つの院の中に国家資格者、民間資格の整体師など様々な資格を持ったスタッフが在籍している院も珍しくなくなり、院によってカラーは様々です。
一概に整骨院や接骨院といっても、どんな施術を売りにしているのか?自分のやりたいことに合うのか?など院によってセールスポイントは異なるため、自分がどんな施術をしたいかなどをしっかり見極めて、就職先を選ぶようにしましょう。

整骨院や接骨院で働く場合、就職先によって収入も待遇も大きく異なります。そこで、2023年1月20日現在の整骨院の求人の給与・待遇を調査してみました。

▽複数の求人からみた柔道整復師の整骨院における給与・待遇例

A院 B院 C院
月給 23万円~
賞与年2回(1-2ヶ月分)
24~32万円(週休1.5~3日)
賞与なし
20万円+歩合(実績:初月26~27万円)
※売上の40%をスタッフの能力に合わせて配当
賞与年2回
休日 ・シフト制の月8日休み
・夏季休暇・年末年始休暇あり
・土曜午後・日曜・祝日休み+シフト制
・GW休暇・お盆休暇・正月休暇・ハネムーン休暇(4日)
・1.5休/完全週休2日/土日固定休/2.5休/完全週休3日/時短勤務 選択可
・週休2日
・夏季休暇・年末年始休暇あり
その他 ・入社1ヶ月間は有期雇用契約となる。
期間中は雇用保険・労災のみの加入となる。
・交通費支給(月上限17,000円)
・月6日休みも相談可能
・20:20完全退勤
・営業時間外の勉強会なし
・交通費支給(全額、ただし、転居手当をもらう場合は交通費と相殺)
・書籍代支給(月上限10,000円)
・セミナー代支給(月上限30,000円)
・昼食代支給(売上80万以上達成が条件)
・学費一部負担(入社後、新たに資格を取りたい場合)
・飲み会やイベント、レクリエーション(全額、会社負担)
・交通費支給(全額)

表はあくまで一例ですが、同じ整骨院でも、給与・休みの取り方・福利厚生の内容が全く異なりますよね。
もちろん、条件だけでなく、ターゲットにしている患者様の層、施術の単価、店舗数が大幅に異なっており、だからこそ勤務条件にも違いが出ています

また、給与については、基本給にみなし残業代が含まれている院がほとんどです。
みなし残業とは、1か月で発生するであろう、おおよその残業時間のことです。
みなし残業代含むとは、一定時間分のみなし残業分の賃金を基本給のなかにあらかじめ組み込んで支払うことを指します。

たとえば、基本給18万円+みなし残業代4万円=月給22万円、といったようなかたちになり、みなし残業代を含む給与体系の場合は、「毎月、一定時間の残業がある」と考えていいでしょう。
なお、その月の実残業時間がみなし残業時間を下回った場合でも、残業しなかった時給分が給与から差し引かれることはありません。

C院は基本給に歩合も上乗せされるケースです。経験を積み患者様から指名を受けるような施術者になれば、月給50万円を超えることもあるようです。

柔道整復師の就職先2:整形外科等医院

整形外科や外科などの医院やクリニック内にあるリハビリ室で働く柔道整復師もいます。
多くの場合、みなしPTとして、患者様の運動機能回復のためのリハビリを担当することが多いです。テーピングやギプスなどの固定も任せていただけることがあります。

医師や看護師、理学療法士や作業療法士などとの連携が多く、治療家以外の様々な資格を持った医療従事者とともに働くことができるのが大きな特徴で、外傷など多くの臨床経験が積めると志す学生も多く、日常的に情報交換がしやすいことから人気の就業先の一つです。
特に整骨院勤務では機会のないレントゲンでの画像診断の場に立ち会うことが出来ることもあり、そういった環境に恵まれた職場であれば、医療者としてスキルアップを図ることも可能です。

一方で、整形外科での勤務=外傷が診られるというわけではないことや、理学療法士や作業療法士を優先的に採用することが多いため、柔道整復師の募集枠は少なく、募集が出てもすぐに埋まりやすいのが実情です。また就業先によって治療家が担当する業務が異なるため、整形外科での就職を考えている場合は注意が必要です。求人票の読み解き方!~「思っていたのと違う!」とならないために~の中で、整形外科・クリニックで働くときの注意点を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

数少ない病院・整形外科求人ですが、就職する場合、収入や待遇はどうなるのでしょうか。現在の柔道整復師の給与・待遇を調べてみました。

▽複数の求人からみた柔道整復師の病院における給与・待遇例

A医院 B医院 C医院
月給 21.5万円~ 21~23万円 23.5万円~
休日 ・月10日公休
・年間休日119日
・年末年始休暇あり
・変形労働時間制
・年間休日110日
・年末年始休暇あり
・土日祝日休み
・年間休日120日以上
・GW、夏季、年末年始休暇あり
その他 ・残業月20時間程度
・交通費支給
・住宅手当
・家族手当
・残業月10時間程度
・交通費支給
・教育研修制度あり
・残業月10時間程度
・教育研修制度あり
・資格取得支援制度あり

病院の場合、治療院のようにみなし残業を想定しているところは少ないようです。その場合、月で発生した残業時間分の残業代が支給されることになります。
また、年間の休日数も多いことから、労働環境は安定していることが予想されます。月給もほぼ横並びで差がありません。

前述の通り、整形外科・クリニックで働く際は、条件よりも「きちんと求める業務内容ができるかどうか」が注意点です。しっかり見学もしてから選ぶようにしましょう。

柔道整復師の就職先3:リハビリ施設

介護・福祉業界でも柔道整復師の需要は高まっており、デイサービスでの就業も一般的な選択肢であり、特にリハビリ特化型デイサービスなど、リハビリ施設でも柔道整復師は必要とされています。
介護福祉施設では法律に基づき、機能訓練指導員を施設ごとに必ず一人以上、配置しなければなりません。
専門的な知識を持つ柔道整復師は、利用者の運動機能や生活機能の回復に務める機能訓練指導員として重宝される傾向にあります。

利用者のリハビリを担当することはもちろん、身体機能を評価し、どのような機能訓練が必要か判断したり、機能訓練計画表を作ったりすることも機能訓練指導員の役割です。
体の構造を熟知した柔道整復師の知識や経験を生かすことができます。
デイサービスで働く場合の主な業務内容は、デイサービス利用者への適切なリハビリテーションの提供であり、整骨院や接骨院に比べ、利用者との円滑なコミュニケーションが求められることが多いです。

▽複数の求人からみた柔道整復師の介護施設における給与・待遇例

A施設 B施設 C施設
月給 23.5~27.9万円 25~30万円 20万~
休日 ・変形労働時間制
・年間休日124日
・夏季休暇あり
・完全週休二日制
・夏季・年末年始休暇
・長期休暇
・特別休暇
・土日祝日休み
・夏季・年末年始休暇
その他 ・残業月5時間程度
・交通費支給
・家族手当
・住宅手当
・資格手当
・食事手当
・夜勤手当
・財形貯蓄制度
・残業月10時間程度
・交通費支給
・資格手当
・昇給あり
・研修制度あり
・副業OK
・交通費支給
・住宅手当
・昇給あり
・治療賠償保険完備

デイサービスでは、病院同様、みなし残業を想定しているところは少ない傾向にあります。

整骨院や病院以上に、利用者様の利用時間が決まっており、残業時間が少ないため、家庭を持ちながら働く方も多くいらっしゃいます。

一方で、送迎(運転)業務も兼任が必要になる、院長などの役職がある整骨院と比べて昇給がしづらいことはデメリットとして挙げられます。

柔道整復師の就職先4:介護施設

特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなどの介護施設でもリハビリ施設と同じように機能訓練指導員を配置する必要があり、こちらも柔道整復師が活躍できる場です。

施設形態によって役割や業務は変わり、介護の度合いによっては運動機能の積極的な回復を目指すよりも、日常的に必要な機能を取り戻していくことが目標とされる場合もあります。
もちろんリハビリ体制が整った施設も多く、就職を考えるときには自分にどういった役割が求められているか確認しておきましょう。

施設によっては利用者の身体介護やレクリエーション担当など、一般の介護スタッフに近い業務を任されることもあります。
実務経験を5年以上積むことでケアマネージャーの取得資格も得られるため、介護分野に幅広く携わりたいと考えている方にとって最適な職場だといえます。

柔道整復師の就職先5:訪問介護

数は多くはありませんが、訪問介護の現場でも柔道整復師は活躍できます。訪問リハビリの担当者として実際に利用者の自宅を訪れ、身体機能訓練などを行います。
リハビリ施設や介護施設と異なるのは、利用者の自宅で行うため、実際の生活シーンに即した訓練もあわせて行えるという点です。

歩行練習やトイレ、入浴、家事などの動作、外出の訓練など、日常生活に直接つながる活動へ働きかけることができます。
また、ご家族に対してより実践的な介助方法や過ごしやすい環境の整え方などのアドバイスも可能です。利用者一人ひとりの心身に合わせたリハビリを行えることは、訪問介護での大きなやりがいといえるでしょう。

柔道整復師の就職先6:プロスポーツチーム

厳密には就職ではありませんが、柔道整復師はプロスポーツチームのトレーナーとして働く道もあります。
これら一言でスポーツトレーナーといっても、いくつかの種類があり、業務内容も少し異なります。

  1. アスレティックトレーナー
  2. コンディショニングトレーナー
  3. フィットネストレーナー
  4. ストレングストレーナー

アスレティックトレーナーとは、スポーツ選手の怪我に対処する役割を担っています。柔道整復師は骨や筋肉に対する施術の専門家であるため、スポーツ選手の怪我にも対処することができるのです。コンディショニングトレーナーは、その名の通りスポーツ選手のコンディションを管理しパフォーマンスの最大化を援助する役割を担います。

フィジカル面の管理だけでなく、メンタル面の管理も担う場合が多く自主的な研鑽が求められます。

フィットネストレーナーは、スポーツ選手に限らず一般のジム利用者にトレーニングの指導をおこないます。スポーツジムなどを利用したことのある方にはイメージしやすいのではないでしょうか。柔道整復師の資格が、必ずしも必要になるわけではないため求人の数はあまり多くはありません。

ストレングストレーナーとは、スポーツ選手にトレーニングなどの指導をおこなうトレーナーです。プロのスポーツ選手や実業団のスポーツ選手を相手として、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、トレーニングの指導をおこないます。

一般的には、個人事業主としてプロスポーツチームと業務委託契約を結び、そのチームスタッフとして所属する場合がほとんどです。
スポーツ選手は常にケガと隣り合わせであり、筋肉や骨格についての知識を持ち合わせている柔道整復師にとってぴったりの仕事です。

チーム付きのトレーナーとして働くために必ずしも柔道整復師の資格は必要ではありません。
しかし、体の構造に詳しく、打撲や脱臼、捻挫などを手技で治療できる柔道整復師は、普段のケアから遠征への帯同まで重宝されます。

プロスポーツチームへの就職は、門戸が広いとはいえません。また、条件も非常に良いとは言い難い状況にあります
チーム専属のトレーナーになれば、チームの大会について回るため、自分の都合で休みを取ることが難しいことも多いです。
また、個別に契約を結んで成り立っている仕事ですので、最悪の場合、契約が打ち切られれば、仕事がなくなるということもありえます。
そんな厳しい側面もありますが、それでも、前線で活躍している選手を支えることができる、夢のある仕事です。
プロスポーツ選手を相手に、スポーツトレーナーとして長く活躍することを目指すのであれば、スポーツ医学や栄養学など、柔道整復師以外の知識も身につけていきたいところです。

いずれも柔道整復師の就職先としては人気が高く狭き門となっています。整骨院や整形外科に勤務するのと異なり、個人でスポーツ選手や実業団と契約するケースも多く、経験を積んだうえで個人的なつながりなどから就業するパターンが一般的です。

そのため給与に関しても一般的な目安がなく、個人の実力次第となってきます。

柔道整復師の就職先7:スポーツジム

一般の人が通うスポーツジムなどでフィットネストレーナーとして働くこともできます。
ジム利用者にトレーニングの指導を行うのが主な業務で、体力作りやダイエットなど目的に応じたプログラムの作成を行うこともあります

この場合も柔道整復師の資格は必ずしも必要ありませんが、トレーナーには体の構造などに関する正しい知識が必要です。
したがって筋肉や骨格など体に関する知識を体系的に身につけている柔道整復師はスポーツジムでも存在感を発揮できるでしょう。フィットネストレーナーに向けた民間資格を合わせて取得しておくとさらに活躍の場が広がります。

スポーツジムでは、スポーツトレーナーとしてだけでなく、ジム併設の治療院で働くケースもあります。

▽複数の求人からみた柔道整復師のスポーツジムにおける給与・待遇例

A施設 B施設 C施設
月給 20万円~+歩合給 25万円~ 22万円+歩合
休日 ・シフト制
・月6~8日休
・夏季・年末年始休暇あり
・完全週二日制
・土日祝日休み
・シフト制
・月7日休
・長期休暇可能
その他 ・残業時間不明
・交通費支給
・独立支援制度あり
・研修制度あり
・治療賠償保険あり
・残業時間不明
・勉強会あり
・開業支援制度あり
・副業OK
・施術者保険加入
・フィットネスクラブ利用優遇
・残業時間不明
・交通費支給
・昇給あり
・独立支援制度あり

スポーツジムやトレーニング施設の求人では、その他の就職先に比べて休日が少ない傾向にあるようです。
残業時間についてはいずれも不明でした。3つの施設に共通しているのは、独立開業を支援する制度があることです。

将来的にスポーツジムの設立を考えている方には、必要なことを学びながら働ける就職先となるでしょう。

柔道整復師の就職先8:企業の福利厚生

従業員の福利厚生の一環として、企業やオフィスビル内の一角を敵訪問し、そこに勤務する従業員へ施術を行う仕事です。

従業員の休憩時間などを利用して施術を行うことが多く、治療ではなくリラクゼーション目的がメインのため整骨院のメニューとは異なるのが特徴です。

従業員の生産性向上やセルフケア意識の向上、癒しを目的に導入する企業がここ数年で増えていて注目されています。近年の働き方改革など新たな就業環境に対応してでてきた新しい働き方といえます。

このような企業へ訪問を専門とする会社も徐々に増えてきており、今後の成長が期待される分野です。

柔道整復師の就職先9:リラクゼーションサロン・エステサロン

アロママッサージやタイ式マッサージ、カイロプラクティック、リフレクソロジーなどのリラクゼーションサロンでも、筋肉や骨格のスペシャリストである柔道整復師が重宝されることがあります。

マッサージなどの方法でお客様の体へ直接アプローチするため、柔道整復師の持つ筋肉や骨格についての知識やスキルを生かして、根本からのアプローチが可能です。国家資格を持つセラピストとしての付加価値をあげれば差別化も図れ、ニーズも高まるでしょう。

エステサロンにおいても、リラクゼーションサロンと同じようにお客様の体に直接触れるため、柔道整復師の知識や経験を十分に生かせます。

また、女性の柔道整復師にとって女性スタッフの多いエステサロンやリラクゼーションサロンは働きやすい職場でもあります。ライフステージに合わせた働き方が可能だったり、育児休暇などの福利厚生が充実していたり、女性が働きやすい仕組みが整っていることが多いためです。

柔道整復師の就職先10:教員

柔道整復師の養成学校で教員として教壇に立つこともできます。そのためには、5年以上実務に従事したのちに柔道整復師専科教員認定講習会を受講し、「専科教員」となる必要があります。
専科教員は専門学校や大学で柔道整復師になるために必要な教育課程だけでなく、実技も教えることが可能です。

教員の先生方の中には、教員の勉強だけするつもりで、教員になるつもりはなかった、という方もいらっしゃいます。
ご自身のスキルアップのために講習会を受講したけれども、ご縁があって教員として働くうちに、学生の指導に熱が入っていった、という話をしばしば伺います。

教員も、未来の柔道整復師を育てる素晴らしい仕事です。興味がある方は、母校の先生方に話を聞いてみるのも良いでしょう。

柔道整復師の就職先11:経験を積んだ後には独立開業という選択肢も

柔道整復師には医師などと同じように独立開業権が認められています。
「どんな仕事でも開業するのは自由じゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は医療系の国家資格で開業権が認められている資格は

  1. 医師
  2. 歯科医師
  3. 獣医師
  4. 薬剤師
  5. 助産師
  6. 柔道整復師
  7. 鍼灸師
  8. あん摩マッサージ指圧師

の8つしかありません。医療系の国家資格として知名度の高い「理学療法士」「作業療法士」「看護師」などは開業権が認められていないのです。

開業する場合は、柔道整復師の資格取得後に2~3年の実務経験を経た後、柔道整復師施術管理者の研修を受講することで独立開業できます。

近年では従業員に経営のノウハウの研修を行い、開業を支援する企業が増えています。グループ院であれば、院長やエリアマネージャなどの経営感覚を養えるポジションを経験してから独立するのも手です。グループ院によっては、フランチャイズ展開・独立支援などの制度を設けているところもあります。

ただし、独立資金の準備や、開業後は経営手腕も必要になるため、数年ほどの実務経験で開業するのはハイリスクといえます。

当然ながら経営スキルや柔道整復師として高いレベルの施術ができるか、など実力が問われることにはなりますが、独立開業してサラリーマンでは目指せないような収入を目指すことができるのも柔道整復師の魅力の一つです。
将来、自分がどんな院を開業したいのかを考えながら就職先を決めることもおすすめです。

給与が高い職場は?

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、柔道整復師全体の平均年収は426万4,000円です。
患者様からの指名が入るなどによる歩合制を採用している院であれば、実力次第で収入を増やすことが可能でしょう。

また、独立開業し、経営を軌道に乗せることができれば、さらなる年収アップも期待できます。ニーズに応じた施術や、確かなスキルなど求められることは多いものの、多くの患者様の信頼を得られれば、年収1,000万円を目指すことも夢ではないかもしれません。

ワークライフバランスを整えやすい職場は?

整骨院や接骨院の営業時間は9:00~20:00までなど長い場合が多く、開店前準備や閉店後の業務も含めると拘束時間も長くなりやすい特徴があります。
一方で整形外科・クリニック、リハビリ施設・介護施設は、院にくらべると拘束時間が短いため、比較的ワークライフバランスが整えやすいといえるでしょう。

ただし、近年整骨院でも働きやすい勤務時間の院が増えてきています。早番・遅番制度や、週休3日制などを取り入れている院もあるので、面接の際に実働時間について確認するようにしましょう。

柔道整復師の仕事内容

柔道整復師の仕事内容

ここまで紹介してきたように柔道整復師の就職先は多岐にわたりますが、いずれも業務の根本は「柔道整復師」としての施術になります。

「ほねつぎ」「接骨師」とも呼ばれる柔道整復師は、骨折や捻挫、脱臼、打撲など骨や関節に関する不調に対して「非観血療法」という手術をしない施術を用いて治癒を目指します。

骨や筋肉、関節や筋に関して専門的な知識を身に着けているため、整骨院のみならずスポーツトレーナーや整形外科での勤務の需要があるのです。

柔道整復師の就職活動

柔道整復師の就職先に多くの選択肢があることは、ここまでご紹介してきた通りですが、就職活動はどのようにおこなうのでしょうか?

柔道整復師が求人先を見つける手段は学校の求人票や、求人サイト、学校の先生・先輩・友人からの紹介など様々なものがあります。

国試黒本がおこなった「求人先はどうやって見つけた?」というアンケートによると最も多いのが「学校の先生からの紹介」ついで「求人サイトなど」、「紹介会社」と続きます。

国試黒本を発行している株式会社エス・エム・エスでは柔道整復師など治療家求人に特化した求人サイト「JOBNOTE」を運営しています。JOBNOTE経由で採用された場合、採用祝い金として最大2.5万円が支給される特典もあるので、求人情報をお探しの方はぜひ利用してみてください。

柔道整復師の就職活動開始時期

柔道整復師の国家試験は例年3月となっています。

そのため卒業を間近に控えた中で国家試験に臨む必要があり、国家試験受験時にはすでに就職先を決めているのが一般的です。

国試黒本がおこなった調査によると就職活動の開始時期は

  • 夏休み   50%
  • 10月ごろ  20%
  • 国家試験後 20%
  • GW前後  10%

となっています。好待遇や魅力的な内容の求人は早めに埋まってしまうので、早めに始めたほうが求人は豊富です。

また国家試験直前は試験勉強に集中できたほうが良いので、年内に決まっていると安心して試験勉強に臨むことができます。

柔道整復師が就職先を決めるうえでのアドバイス

柔道整復師が就職先を決めるときには、どういった点をポイントに決めるべきでしょうか。

おすすめなのは軸を決めて、絶対に譲れない部分を明確にすることです。

絶対に譲れない部分は何なのか?どんな治療をしたいのか?を明確にし、そこがブレないようにきめていきましょう。この時に条件だけでなく会社・院長先生の考え方、院内の雰囲気などトータルで考えることが重要です。

そのため、可能であれば就職先は事前に見学をさせてもらうことをおすすめします。仕事をするイメージがより明確になりますし、どんなスタッフが働いていてどんな患者さんが来院しているのか、どんな治療をおこなっているのかを実際に目で見て、働くイメージを掴むことができます。

就職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐためにも可能な限り見学は積極的におこないましょう。

柔道整復師の就職活動は何を自己PRすればいい?

柔道整復師の就職活動でも一般的な就職活動同様に「自己PR」が求められます。この自己PRではどういったことをアピールするといいのでしょうか?

自己PRではいままでの経験で頑張ったこと、そこから得られたものをわかりやすく書きましょう。

また、その経験を活かして自分がどのように貢献できるのかを書くとアピールポイントにつながります。

学生時代の部活動、アルバイト、なにか特別にやっていること、自身のモットーなどが書きやすいのではないでしょうか。

まずは自分が今までどのような経験をしてきたのか、箇条書きで書き出してみてから作成を始めるとわかりやすいです。

実際に柔道整復師として就職活動をおこなった人は、なにを自己PRしたのでしょうか?柔道整復師として就職活動をおこなった人を対象に、国試黒本でアンケートをとってみました。

就職活動での自己PRではどこをアピールポイントにしましたか?

  1. 自分が打ち込んだスポーツなど
  2. 職歴(アルバイト歴など)
  3. 志望動機

あくまでこれは他の人がどういった点で自己PRをおこなっているかに過ぎませんが「なにを伝えればいいかわからない…」という方は参考にしてみてください。

【柔道整復師】国試黒本就職フェア

国試黒本就職フェア

柔道整復師の国家試験対策参考書「国試黒本」を発行している株式会社エス・エム・エスは、柔道整復師としての就職活動をおこなっている方向けに就職フェアを開催します。

2021年は東京と大阪の二会場で、また地方にお住いの方にはオンラインでの就職フェアを開催します。

柔道整復師の資格取得を目指している方はぜひご参加ください(参加無料)。

治療家就職フェア | 国試黒本

まとめ:柔道整復師の就職先はさまざま!自分にぴったりの職場を見つけよう

柔道整復師の就職先は整骨院や接骨院だけにとどまりません。介護やスポーツ、美容など多岐にわたり、それぞれに特徴があります。
また、実務経験を積み、経営者として独立開業することも可能なのは柔道整復師の特長でもあります。

とはいえ、いずれの道に進んでも柔道整復師として学んだ知識を活かして活躍することができるので、どんな施術がしたいのか、どのように働き、キャリアアップしたいのかなどをしっかり洗い出し、ご自身の目標に向けて理想のお仕事を目指していきましょう!

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