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面接準備って何すればいいの?「逆質問」「志望動機」を解説!

治療家業界に特化した就職・転職支援サービスとして、業界最大級のウィルワンエージェントで、学生を専門に就職サポートを行うキャリアパートナーの今川さんにお話を伺いました。

記事を書いた人

今川 航

株式会社エス・エム・エス ウィルワンエージェント キャリアパートナー
新卒専任のキャリアパートナーとして3年間担当(2022年現在)。
年間200名以上の治療家学生の就職活動をサポート。
 
これからの治療家業界を担う新卒学生と、仕事を通して人生そのものが豊かになるような職場とのご縁をつなぐことを自身のミッションとしている。
就職のプロとして、自分にあった就職先の見つけ方やキャリア形成、将来を見据えた職場選びなど求人選びから内定獲得までフルサポート。
就職活動を通して、その方が今後歩まれる人生全体が豊かになるように、価値観や考え方の理解を深めることを心がけている。

就転職をするうえで、避けて通れないのが面接です。面接官の人数や面接の回数・雰囲気は、応募先の企業によって異なります。
しかし、同じ業態であれば、企業がスタッフに求めたいことはおおよそ似通っています。
応募者に求めたいことが似通っていれば、面接での質問内容もある程度似てくる部分があります。事前準備によって通過率を高めることもできます。
今回は、多くの方が迷いがちな「逆質問」「志望動機」「面接準備」にフォーカスし、解説していきます。

面接なのにどうして?面接における「逆質問」の意図とは

突然ですが、「面接」と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
多くの場合、面接官が次々と質問し、それに対してまじめに答えていくような場面が思い浮かぶでしょう。
しかし、実際の面接では、面接官からの質問だけでなく、応募者側へ面接官が質問を促す「逆質問」が行われることがあります。
この逆質問は、どうして行われるのでしょうか。その理由は主に3つあります。

逆質問を行う理由1:逆質問で応募者の熱意を見る

1つめが「応募者の熱意を読み取る」ためです。

職場についてよく調べているからこそできる質問なら、「自社のことを事前に勉強している」「就職したい熱意が高い」と思われるでしょう
面接官であれば、できるかぎり意欲のある応募者を選定したいと考えるものです。このように、自社への志望度合いが高いかを見るために、逆質問が行われているのです。

逆質問を行う理由2:逆質問から応募者の性格を読み取る

逆質問が行われる理由の2つめは、面接官が応募者の性格や性質を読みとるためです。

逆質問では自発的に発言しなければならないので、積極的なコミュニケーションが苦手な人は、難しく感じるでしょう。
ハキハキと発言できているか、自分の考えをうまく伝える術を持っているか、的確な質問ができるかを見ているのです。

コミュニケーション能力は、柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師として働くには欠かせないスキルです。
実際に施術にあたるとき、症状や生活習慣など、患者様に質問する機会は多くあります。

さまざまなタイプの患者様とうまく付き合えるか、問診で患者様の不調を引き出せそうかなどの判断材料を、面接官は逆質問から得ようとしているのです。

逆質問を行う理由3:応募者の不安解消のためにも重要

逆質問には、応募者側の不安を解消するという役割もあります。多くの応募者は、「なるべく安心して働ける職場の方が、長続きする」と考えるでしょう。
面接官も同様で、「せっかく採用するなら、長く続けてほしい、不安やギャップが少ない状態で働いてもらいたい」と考えています

働くうえでの心配事を解消するよい機会ですので「特にありません」といわず、小さなことでも質問をしてみるとよいでしょう。

逆質問を受けたときの対処法:自己PRにつながるよい質問例

質問の仕方を工夫することで、逆質問を通して、職場で活躍できる人材であることをアピールすることも可能です。
自分の要望を伝える・疑問を解消するだけではなく、他の候補者を採用するよりも良いと思ってもらえるような質問をしてみましょう。

よい逆質問1:就職後をイメージしようとしている質問

例「貴社で働くために心得ておくべきことは?」

少しぼんやりとした質問ですが、だからこそ患者様への向き合い方や、社会にどのように役に立とうとしているのかなど、院ごとの特徴が表れやすく、応募者側にもためになる質問です。

よい逆質問2:働きたい熱意が伝わる質問

例「研修の内容と期間は?」

「内定後、研修は行われますか?行われるなら内容と期間を教えてください」という質問は、働くことへの熱意を感じさせます。自分がその職場に入ってまず何を学ぶのか、いつから実務に入れるのかを聞いてみましょう。

研修制度についてよく聞くことも大切です。新人研修だけでなく、働きながらスキルアップできる研修制度があるのかも聞くことで、「向上心」のアピールにもつながります。

よい逆質問3:努力の姿勢をアピールできる質問

例「入社までに勉強することは?」

「入社までに少しでもスキルアップを心がける」「一日でも早く役に立てるように努力する」ことをアピールしましょう。

学生の場合は、まずは目の前の国試合格に向けて努力することが前提ですが、実際に勤めることになった場合、一日でも早く戦力になりしたい、治療にあたって患者様に貢献したい、という点から、「後に役に立つ」ことを聞いてみるのも良いでしょう。

入社後には研修が行われますが、研修を受けるだけで必要なスキルが身につくわけではありません。採用後から入社までの間を遊んで過ごすか、自主学習を行い少しでもレベルアップを目指すかで、入社後のスタート位置が変わる可能性もあります。仕事で必要な知識を積極的に身につけたい気持ちが面接官に伝われば、好印象を与えられるでしょう。

逆質問を受けたときの対処法:悪い質問例

逆質問の時間は、うまく使えばアピールポイントになる反面、下手をすると、情報収集不足・自己中心的などのマイナスイメージを持たせてしまうこともあります。どんなケースなのか、見ていきましょう。

悪い逆質問1:調べればすぐにわかることはNG

「貴社の理念は何ですか?」というような、調べればすぐにわかることを聞くのはやめましょう。ホームページに掲載している内容では、「会社のことをよく調べずに応募している」と思われてしまいます。

面接官に「準備不足」と思われないように、ホームページに掲載されている内容はチェックしてから面接に臨みましょう

もちろん、調べたうえで「より詳しく聞きたい」という場合は、質問しても構いません。むしろ、「より深く理解をしようとしてくれている」と好印象に映るでしょう。

その場合は、例えば、「貴社のホームページで、○○という理念を掲げていらっしゃると拝見したのですが、根底にある思いなどがあればお伺いできますか?」というような質問の仕方をすると良いでしょう。

悪い逆質問2:待遇に関しての質問は悪印象になることも

就職後のミスマッチを防ぐために、待遇について聞くことは大切です。「残業手当はありますか?」「平均年収は?」「前年のボーナスの支給実績は?」「年間休日日数は?」など、給与や待遇について疑問がある場合は確認しておきましょう。

しかし、待遇についての質問ばかりになり、他の質問が一切ないと、「もらえるものばかり気にしていて、もらうために自分が成長するという視点がない人」というイメージになりかねません。給与・待遇以外の質問も用意しておきたいところです。

悪い逆質問3:短所を改善しないつもりの質問はNG

「自分は人づきあいが苦手なのですが、それでも仕事はうまくできるでしょうか?」というような質問の仕方は出来るだけ避けましょう。
苦手だ、と自覚しているからこそ不安な気持ちはわかりますが、この質問の仕方では「短所を改善するつもりはないがそれでもいいか?」と言っているように聞こえてしまいます

苦手であること自体が悪いのではないため、この場合は「人付き合いが苦手なので、どのように克服したら良いか」など、成長意欲を示せるような内容に変えたいところです。

よい逆質問時の回答を準備するための、履歴書の書き方

逆質問はもちろん、面接でいい回答をするためには、自分で書いた履歴書を頭に入れておき、一貫性のある受け答えをする必要があります。
面接にも関係する履歴書の項目として、特に力を入れたいのが志望動機欄です。志望動機欄はどのようにして書けばいいのでしょうか。

実際、志望動機のどこを見られているか

志望動機とは、その企業になぜ就職したいのか、その理由のことです。志望動機として「どこに魅力を感じたのか」「なぜ魅力を感じたのか」の2つを書き記すのが一般的です。

しかし、求人側は「どこに魅力を感じたのか」の部分はあまり注視していません。なぜなら、「どこに魅力を感じたのか」では、企業の事業や理念などの「この点がよかった」だけになりがちです。つまり、応募者の好みをただ述べているだけにすぎず、本人に関する要素はほとんど含まれていないためです。

対して「なぜ魅力を感じたのか」は注目されます。企業は応募先への熱意の高さ、そこで働くことへのモチベーションの高さを、志望動機からくみ取ろうとします。「なぜ魅力を感じたのか」という部分には、少なからず応募者の価値観が表れるため、重視されるのです。「なぜ魅力を感じたのか」の部分には、自分の価値観やこれまでのライフヒストリーまで伝わる内容をつづりましょう。

また、治療院への応募の場合は特に、事前に見学する機会が多いと思いますので、志望動機には「見学時に感じたこと」も盛り込みたいところです。見学時の雰囲気や働く環境が自身の動機にどのような前向きさを与えたのかを積極的に伝えましょう。

志望動機を書く時のポイント

志望動機を書く前に、次のポイントを整理しましょう。

  • なぜ応募先に魅力を感じたのか
  • 自分とその院の仕事や理念とのつながり
  • どのように活躍したいか

これらをいったんメモに書き出したうえで、100~120文字でわかりやすく文章をまとめます。
伝えたいことが多く、文章量がそれ以上になりそうな場合は、口頭で補足できる(書かなくてもよい)ところを削るか、履歴書とは別に志望動機書を作成しましょう。

文章の構成は「なぜ魅力を感じたのか」を7~8割、残りで自分の価値観とその院の理念等との共通点や、就職後どのように活躍したいかを記します。
「なぜ魅力を感じたのか」の部分には、これまでのライフストーリーを絡めると説得力が増します。

「入社後に挑戦したいこと」や「自分の強みをどのように仕事に活かすのか」などは、欄内に収まりそうであれば書いてもいいでしょう。

また、面接で聞かれたときのためにも、志望動機はできるだけ具体的に書き記します。応募先の理念に関して書く場合は、「理念に共感して」とだけ書くのではなく、どのような部分に共感できたのかまで具体的に書き記します。

理念のどの部分に共感し、それはなぜなのかを、自身の考え方やエピソードなどを交えて伝えられるようにするとなおよいでしょう。

いずれにしても、あいまいな志望動機では歓迎されません。より具体性をもたせることがポイントです。

志望動機例

  • なぜ応募先に魅力を感じたのか
    →見学の際に教えてもらった「患者様に接するときの方針」に共感した。スタッフが笑顔で明るく、印象が良かった。
  • 自分とその院の仕事や理念とのつながり
    →自分は、高校時代の大会にけがで出られなかったときに、整骨院の先生に怪我のケアだけでなく先生の過去の体験談を話してもらったことが心の支えになった。
    だからこそ、「患者様に寄り添える先生になりたい」という思いがあり、この院の「患者への接し方」が自分の理想に近いと思った。
  • どのように活躍したいか
    →「患者様に寄り添える先生になりたい」
  • 自分は、怪我で試合に出られなかった時に支えてくれた先生のような、「患者の心に寄り添える先生」を理想としています。
    そのため、貴院の患者様への接遇方針や、スタッフ様がそれを体現されているところに魅力を感じ、志望させていただきました。(114字)

面接への対策で大事な3つの準備とは

逆質問・履歴書以外にも、準備できること・意識できることはあります。面接の前に次のような準備がしておけるとよいでしょう。

面接前に準備しておくこと1:応募先のリサーチ

逆質問の悪い例でも伝えましたが、応募先に関するリサーチは最低限必要な準備です。応募先の理念や事業内容、事業規模、など、ホームページなどをチェックすればわかるものは目を通しておきましょう。

理念は、言葉を覚える事よりも「どのように体現されているのか」をチェックする方が大切です。自分たちで立てた理念を大切にしている会社であれば、事業展開の方針・患者様への接遇方針・スタッフへの待遇・研修内容等、節々で理念に基づいた行動を取っているはずです。
ホームページから分からなければ、逆質問で「会社として、理念を体現するためになさっていることは何かありますか?」などの聞き方で聞いてみても良いでしょう。

整骨院のみを運営しているのか、往診も行っているのか、どのエリアに多く出店しているのか、1社で複数店舗展開しているのか、フランチャイズなのか、などは基本となる情報なので、確認しておけると良いでしょう。

面接前に準備しておくこと2:身だしなみを整える

見た目は人に与える印象を変えます。第一印象は出会ってから数秒で決まるといわれています。特に目から入る情報は、その人の印象の多くを決定づけるため、身だしなみを整えていない場合、面接官の心情によい影響を与えないことはいうまでもありません。

面接では、私服で来るようにという指示がない限り、原則としてスーツを着用するのがマナーです。スーツはクリーニングに出すなどして、シワやシミがないようにしましょう。染髪している人はスケール8以下の黒色に戻しましょう。髪が長い人はヘアピンやヘアゴムを使い、きれいにまとめます。

男性はヒゲをそり忘れないようにしましょう。大切なのは清潔感です。治療を行う仕事ですから、患者様に不快感を与えないよう清潔感を重視しています。面接時にも清潔感のある服装、身だしなみを心がけましょう。

面接前に準備しておくこと3:正しい姿勢と言葉遣い

面接の間、常に背筋をしっかり伸ばせるよう、練習するのも大切な準備です。普段から心がけていないと正しい姿勢はキープできません。日頃から正しい姿勢で歩き、着席できるように練習しておきましょう。

また、言葉遣いについても同様です。面接の場では普段使わないような言葉で話すことが多いので、尊敬語や謙譲語の誤用がないよう、正しい言葉遣いを身につけておきたいものです。、尊敬語と謙譲語の違い、二重敬語などについて学んでおきましょう。

<面接で間違えやすい敬語・謙譲語・二重敬語の例>

履歴書になります 履歴書です
大丈夫です 問題ありません
なるほど おっしゃるとおりです
おっしゃられる おっしゃる
伺わせていただきます 伺います

まとめ:面接は「相手と自分と患者様のための時間」

柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の活躍の場は広がり、正直、下手を打たなければ受かる求人もたくさんあります。

だからと言って、貴重な面接の場を「受かればいい」とおざなりにしてしまうのは、企業だけでなく患者様や自分の将来に対して不誠実な行動です。

面接の時間と、その前後半日だけでも、相手の企業のため、その企業を利用する患者様のため、その企業で働くことになったときの自分のために、しっかり準備をして臨みましょう。

この記事が参考になった方は、「絶対内定!(下) ~NG履歴書・逆質問~」もぜひご覧になってみてください。

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