黒本を購入する

女性が活躍する鍼灸業界~専門知識とワークライフバランスの秘訣~

現在、様々な業種において女性の社会進出が進んでいますが、鍼灸業界でも多くの女性鍼灸師が活躍しています。

特に医療技術職である鍼灸師は、女性による対応を希望する女性や子どもの患者さんにとって、施術への精神的負担を下げることにもつながります。女性への施術に特化した鍼灸院やサロンも増えており、今後さらに女性鍼灸師の需要が高まると期待されています。

一方、女性であるが故に、鍼灸師のキャリアにおいて男性では直面しない課題をクリアにすることも必要です。今回は女性鍼灸師の現状、問題を乗り越えていくために大切なワークライフバランスについてご紹介します。

女性鍼灸師と鍼灸師業界

患者さんのに触れるなどのコミュニケーションを行う必要のある医療技術職において、女性である事は、同性である女性の患者さんや小さな子どもの施術を行う際には安心感を持ってもらえるなどの強みがあります。

ここでは、女性鍼灸師の現状や直面しやすい問題をまとめます。

女性鍼灸師の現状

2019年に行われた中小企業機構の調査では、鍼灸院の利用割合は女性と男性に大きな差はなく、利用者の半分は女性ということになります。

一方、東洋療法学校協会が2016年に実施した調査では、鍼灸師の女性と男性の割合は、女性:男性=46.7%:48.5%となっています。それまでの調査では男性が過半数を超えていたという報告を見ると、女性鍼灸師の社会進出が年々進んでいる状態であると言えるでしょう。

鍼灸師の養成専門学校が公表しているデータを見ると、学校によっては7割近くが女性生徒であったり、女性の生徒数が数年で1.2倍に増加しているなど、女性鍼灸師の数は今後も増えると予想されます。

活躍している女性鍼灸師

上述したように、鍼灸院を利用する患者さんの半数は女性ですが、近年は美容鍼灸に注目が集まっていることから今後益々女性の利用が増えることが期待されています。

女性鍼灸師が活躍する現場は、都市部に多く見られる美容に特化したエステなど鍼灸以外の施術も受けられるサロン、不妊治療のサポートを行う鍼灸院など様々です。

男性鍼灸師ももちろん各分野で活躍していますが、女性鍼灸師であれば女性ならではの体の変化や疾病に対する理解を深めやすく、患者さんからの信頼を得やすくなります。

美容に関する悩みにおいても同様で、美に対する目標設定がクリアになり、満足感の高い施術を行いやすいです。

また、古くは子どもの夜泣きや癇癪に小児鍼が多く用いられてきました。現在でも副作用のない施術として需要があり、施術を行っている院が多くあります。

鍼灸院に通う小さな子どもにとって、安心できる女性鍼灸師に施術してもらえることは同伴する保護者にとってもプラス要素となります。安心することで施術や鍼灸院の恐怖感が和らぎ、効果もより感じられやすくなるかもしれません。

女性鍼灸師が直面する問題

鍼灸師に限らず、女性の社会進出に伴うキャリアの進め方は社会の抱える問題の一つです。
女性ならではのキャリア中断の原因としては妊娠・出産、子育てなどがあり、勤務時間の調整やそれまで培っていたキャリアの変更を強いられることがあります。

鍼灸師は独立開業が可能なため、復帰のタイミングで自分のペースで活動できる働き方にキャリアチェンジすることも可能です。妊娠出産、子育てで得た経験は決して無駄になることはなく、様々な患者さんに対応する必要のある鍼灸師にとっては、かえって強みになることも多くあると考えることもできるでしょう。

実際に筆者の周りでは、退職して鍼灸師から離れてしまう人もいますが、子育てが落ち着いたら復帰したり、時短で働くことでキャリアを再開する人も多かったです。

 

鍼灸師としての女性の強み

女性鍼灸師の強みは多くあります。女性ならではの悩みや不調は幅広く、健康に関する症状から美容の悩みまで数多くあります。例えば、女性特有のホルモンバランスの変化やそれに伴う不定愁訴、疾病や妊娠出産に関わる悩みなどは、同じ女性として共感が得られやすく、相談し易いことから、女性鍼灸師を希望する患者さんも多いと考えられます。

ヘルスケア以外の分野でも、鍼灸を取り入れている鍼灸院や美容サロンなどで、女性ならではの悩みである美容に関する悩みに共感し寄り添った施術が行えるといったことは、採用されやすさに繋がったりと、女性鍼灸師が圧倒的な強みになります。鍼灸理論を重視した鍼灸の施術においても、陰陽論に基づく陽気を持つ男性に対して、陰気を持つ女性ならではの施術は心身の不調を訴えている患者さんにとってプラスに働くこともあります。

気になるワークライフバランスについて

様々な分野において、女性鍼灸師の需要は益々高まることが予想されます。一方で、ホルモンバランスや妊娠出産に伴うキャリアの変化に直面することも多く、ワークライフバランスをより良く保つことが鍼灸師を長く続けていくための鍵となるでしょう。

そのためには、ストレスを溜めないよう、定期的に気分転換を行うなどのセルフケアを行うことが大切です。ヘルスケアを取り扱う職業である鍼灸師自身のメンテナンスも怠らないようにして、心身ともにより良い状態で現場に立つことを意識すると良いでしょう。

これから鍼灸師を目指す女性へ

女性鍼灸師が活躍できる場所は、私たちが想像する以上に多くあります。実際に、女性鍼灸師が良い、希望したい、指名したいというお声も多いです。体力面での課題のほか、定期的なホルモンバランスの変化でストレスを感じやすい、妊娠出産で離れざるを得ない、など女性鍼灸師は直面する問題が多くあるのは事実です。

その一方で、開業ができる鍼灸師という職業特性のひとつである、自分のペースで仕事をするという選択肢も可能です。キャリアを中断したとしても、その間に得た経験を活かしやすいのも鍼灸師の魅力と言えるでしょう。

鍼灸師の資格取得までも大変なことが多くあると思いますが、女性鍼灸師の施術を希望している患者さんが多くいますので学生のうちにしっかりと学び、素敵な鍼灸師を目指しましょう。
 

まとめ

女性鍼灸師は今後の鍼灸業界にとって欠かせない存在です。一方で、女性だからこそ鍼灸師を続けていくためには乗り越える必要のある課題も多くあります。

まずは、鍼灸師である自分自身のワークライフバランスをより良い状態に保って、健やかな状態をキープすることが大切です。さらに、結婚妊娠出産などの影響でキャリアの中断が予想される場合には、その後はどのように自分のキャリアを進めていくべきかを考えることも必要不可欠です。

課題は多くありますが、一般的な会社員とは違い、細く長く続けることも可能な鍼灸師は女性にもおすすめな医療技術職のひとつです。自分自身の人生の経過と共に、鍼灸師としても成長できるように勉強を行い、今できることを進めていきましょう。

【参照URL】
中小企業機構 市場調査データ 鍼灸院
東洋療法学校協会 第5回あん摩マッサージ指圧師はり師及びきゅう師 免許取得者の進路状況 アンケート調査報告書
東洋鍼灸専門学校 女性鍼灸師について
日本医学柔整鍼灸専門学校 女性が活躍できる資格・鍼灸師

関連記事

鍼・灸・あん摩マッサージ指圧師編/柔道整復師編
国試黒本の購入はこちら

購入ページへ